過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常 作:かゆ、うま2世
静かな部屋だった
部屋の隅にはエナジードリンクの空き缶が数えきれない程転がり、ベッドは何日も使われていない。
電気もつけられず真っ暗な部屋の中を、パソコンのモニターだけが頼りなく照らしていた
──がちゃり、と金属音が響く
地獄のような部屋の中、男は椅子に腰掛け、古いライフル銃を持っていた
金属音の正体、それはライフル銃に銃弾を込めた音。男は銃口を自らの口に咥え、引き金に指をかけ、そのまま──
「我が子よ、お母さんだ──」
あっ、終わった
「ッ──!」
ティアマトは心の底から焦ったような表情を浮かべ、未知の力でライフル銃を二つに割った。俺のお手軽ラ◯ナーセットがっ!
違うんです。本当に自殺しようとした訳じゃないんです。ただ息抜きにラ◯ナーの真似をしようと思っただけなんです。信じてください
「いや、これは違──」
「何も、言わなくて、いい」
色々でっかくなったティアマトに抱き締められる。柔らかっ、ああ……生きててよかったぁ……
それはともかく、とんでもない誤解を与えてしまってるぞこれ! なんとかして弁明しないと!
「まじてちょっと息抜きしようとしただけで……!」
「もう、大丈夫だから」
だめだこりゃ聞いてない。というか全然離してくれないしこの人力強い!
「……やはりお前は、いい子すぎる」
「ちょ、待って……」
「だから、お前はこのままじゃ壊れて、しまう」
「一旦離してくれない!?」
「ダメだ。私はお前の、お前だけの母だからな」
ダメだもう何もできないっ…!まだ仕事が残っているというのにっ…!
「…あつい」
「ちょちょちょちょ!?」
ティアマトは俺に顔を近づけ、額同士をくっつける。熱い吐息が顔にかかり、頭がくらくらしてくる。
ん?頭くらくら?
「熱だ」
「え?」
俺、風邪引いた?
「医務室だけは嫌だぁぁぁぁ!!!」
「ダメだ。ちゃんと診てもらわないと」
エナドリパワーが切れて体に不調が起こり掛けているが、それでも俺は抵抗しなければならない。医務室に行けばクリミアの天使に消毒(意味深)されてしまう。そうなればもう命はない。
不本意だけど仕方がない。言葉を選ぶ余裕は俺にはないのだ
「やだっ!母さん嫌い!」
「……………………」
あ、固まった
「……きらわ、ないで」
「嘘嘘大好き」
泣いちゃった!
ごめん、想像の五億倍ぐらい効いたみたい……
「好き…?私、も、大好き」
ゔっ
─────────────────
「……ここは」
「私の部屋だ。調子はどう?」
「…母さん」
目が覚めたらティアマトの部屋のベッドで寝ていた。さっきの大好きで気を失ったんだった
今のティアマトは色々とでかくない。こっちだとでっかいほうよりも少し流暢になる
にしても体がとてつもなくだるい
「……母は少し怒っている」
「え?」
ティアマトはベッドに腰掛けると、真剣な眼差しでこちらを見つめてきた
「仕事は大事だ。でも、お前の方がずっと大事だ。もっと自分を大事にしなさい」
「まだ仕事………いや、そうだな」
俺は息抜きでラ◯ナーごっこを始めたが、息抜きでラ◯ナーごっこを始めるぐらいにはおかしくなっていたわけだ
「ありがとう、母さん。今日はここにいてもいい?」
「勿論だ。たった一人の息子だからな」
ん?????????????
「待って、生命の母じゃないの?」
「…?お前の母だぞ?」
あっ(察し)ふーん(諦め)
ベッドに完全に体を預ける。なんかもうどうでもいいや、ゆっくりしよ
「子供の時以来だね、こういうの」
「…何の、こと?」
「目が泳いでるよ。ずっと見てたんでしょ、俺の事。俺が生まれた時からずっと」
「……ふふ」
「……本当、母さんに育ててもらったようなものだよ、俺」
「うん、まぁ、そうですね」
子供の頃、眠る時にいつも聞こえた優しい声と暖かさ。カルデアに来て初めてティアマトと出会った時は互いに抱きしめあったっけか
「お前は、本当にいい子だ」
ティアマトは優しく微笑みながら頭を撫でてくれる。圧倒的包容力。さっすがぁ
「だから、もっとダメになってもいいぞ。私が助けるからな」
「う~んそれはちょっと…」
「ふふふ」
すごいゆるふわ空間だ、ここ。流石の安心感だ、母性が違いますよ
「…元気にしているのも大事だが、良い伴侶を探すのも大事だ」
「その話するといらん修羅場を招きかねないんですけど」
「恋人ができたら連れてくるように、ティアマトチェックでどんな奴でもふるい落とす」
「チェックの意味よ」
「……やっぱりダメだ、私が伴侶になる」
えなに?告白された?
微妙に混乱している俺に構わず、ティアマトはベッドに入り込んで抱きしめてくる
「私よりもお前に相応しい女はいないからな」
「愛されてるなぁ」
「当然だ。この世で唯一の生命で、私の息子だからな」
は??????????
……愛されてるね!(ヤケクソ)