過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常   作:かゆ、うま2世

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親罪

「うめぇ……」

 

 

食堂の飯を部屋に持ってって食ってるけど美味いね。食事自体数日ぶりだし、英霊達は流石に気を遣って一人にさせてくれてるし、幸せだわぁ……。

 

 

「失礼しますね」

「気遣えない奴が来た。おはよ、カレン」

「おはようございますお兄さん。とうとう刺されたとか、大変でしたね?これを機に私の元に戻られては?」

「やめとく」

「残念です」

 

 

俺をお兄さんと呼び慕う敬虔な?シスター様が部屋に入ってきた。まぁ何でもいいか

 

 

「今お兄さんが食べてる朝食、私が作ったんですよ」

「へー、上手くなったね。最初は黒い何か作ってたのに」

「お兄さんが離れてからどれだけ経ったと思ってるんですか」

 

 

うん。何かしんみりした。ちゃんと成長してるみたいで安心───しちゃダメだ。こんな父親みたいな事思うわけにいかない

だからこそ、俺はカレンから離れたんだ

 

 

「……?どうかしましたか?」

「…何も」

 

 

以前、カレンが一人でいるところを見かけた事がある。その時のカレンは何というか、抜け殻みたいな……

だとするなら、俺はカレンの側に居るべきなのだろうか

 

カレンにとって、俺は───

 

そこで思考を切り、コーヒーを飲み始める。そうある事はカレンの元を離れた時に否定した筈だ。そもそも、俺はそこまでいい人じゃない

"父親"なんて言語道断。お兄さん、ですらおこがましい。そもそもカレンはもう一人で──

 

 

「ときにお父さん」

「ブッ!ゴホッ!」

「あら、大丈夫ですか?」

 

 

咽せたわ。急に何を言ってんのこの子

 

 

「お父さんじゃねーよ何言ってんだお前は」

「私を育てたのはお兄さんでしょう?」

「……確かに親代わりみたいなマネはしたが、お前の父親は俺じゃなくて───」

「お兄さんですよ」

 

 

迷いなく、さも当然であるかのように言い切るカレン

 

 

「私の父親は、お兄さんだけです」

「…………そっか」

 

 

言峰綺礼は歪んでいた

奴はそれをわかっていて、俺にカレンを預けた。人選ミスと言わざるを得ないが

 

 

「だからこそ、聞きたい事があります」

「…何だよ」

「どうして──私から離れて行ったのか」

 

 

ああ、それか。いつか聞かれるとは思ってたが、やっぱり来てしまった

幸いなことに、真相と建前は、この件においては同一だ

 

 

「……俺は、人の親にはなれな──ッ!?」

 

 

一瞬だった。いつの間にか目の前まで移動していたカレンに押し倒され、馬乗りされる形で床に抑えつけられる

 

 

「っぐ…!カレン!!」

「……何も、いらなかった。お兄さん、貴方さえいればよかった」

 

 

カレンの手が喉元に迫る。その瞳は虚ろで、俺以外の存在を映していないようだった

 

 

「そんな理由で、お兄さんが離れていくわけがない」

「ぐ、ぁ……!離せ……!!」

「お兄さんは責任はきちんと果たす人です。なら何故私から離れていったのか」

 

 

カレンの腕を掴むがビクともしない。流石英霊の力……!!

 

 

「答えて下さいお父さん」

「っ……マリス、ビリーだ」

「………!」

 

 

カレンの力が緩む。手の位置はそのままだが、ひとまずしゃべる事はできる

 

 

「スカウトされたんだよ。お前の身の安全と引き換えに、お前の元を離れてカルデアに来た。もっとも、それは建前だ。事実だけどな」

「建前、ですか?」

「あぁ、どっちにしろ、お前が一人でも大丈夫になったら離れるつもりだった。人の親にはなれないからな。わかったらどけ、重いんだよ」

「……その判断は、間違いでしたね」

「……え?」

 

 

カレンは袖を捲り上げる。そこには包帯が巻かれていた。ちょうど、手首のあたり

 

 

「あと、こんなものも」

 

 

襟元を引っ張って首を露出させると、カレンの首に巻き付くような赤い跡があった

 

 

「……お前、まさか」

「お兄さんに会えないのに、生きていても仕方ありませんから」

「何やってっ…!」

「事切れる直前に、頭の中をちらつくんです。貴方の顔が。だから、ただ傷を増やすだけでした」

「……何で、こんな」

「お兄さんのせいですよ?お兄さんのせいで私はおかしくなったんです」

「違う、俺は……」

「いいえ違いません。私はお兄さんがいないとダメになってしまいました。なので、責任を取ってもらうためにも一緒にいて貰わないと困ります」

 

 

頭が真っ白になる。自殺未遂?何故?

───俺の、せい?

 

耐えきれなくなって、カレンの体を抱き締める

 

 

「お兄さん?どうしましたか?」

「ごめん……カレン、俺…」

「いいんですよ。これからずっと一緒に居てくれるなら」

「……それは」

「多分、今度こそ死にますよ、私」

「っ………!」

「何も、独り占めしたいわけではありません。何番目でも構いませんし、殴ってくれたっていいんです。お兄さんの側にさえいられれば、それで」

「……カレン」

 

 

ただ抱きしめて名前を呼ぶことしかできない。自分の無力さが嫌になってくる

 

 

「ただ、もう一つ望むことがあるとすれば───」

 

 

カレンは俺の耳元に口を寄せ、囁くように言う

 

 

「貴方の娘ではなく、女でありたい」

「─────ッ!!!」

「これからも、お願いしますね?」

 

 

カレンの顔が、俺の目の前に近付いてきて───

 

 

お父さん(お兄さん)?」

 

 

その距離が、ゼロになった




違う……元々は食堂でパパ♡って囁かれて修羅場る筈だったのに…どうしてこうなった
まぁええか

あとサーヴァントなのに何で傷残ってんのとかいうのは無しで()
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