過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常 作:かゆ、うま2世
「……よ」
……まずい、意識が浮上してきた。この激務の中やっと取れた休日だってのに、もう起きるわけにはいかない
幸いクッソ眠いし、今なら寝れるはずだ
「…きよ」
誰がいるのか知らんが、絶対に起きんぞ。例えビーストが相手だろうと俺はここを動かん
だから…頼む……静かに…
「ええい!起きぬか!それは余の欲する堕落ではない!」
「……ねろ?」
「ドラコーだ。間違うな」
ベッドの側に立って俺を起こした何処かの皇帝によく似たロリ、これでもビースト、ドラコーだ
ていうか肋浮いてない?ちゃんと食べてる?
「怠惰は許さぬ。獣の手綱を握ったからには──!?」
なんか言ってるドラコーをベッドの中に引き摺り込む。そしてそのまま抱き枕にして二度寝に入ってやる
うん、柔らかいね
「や…めよっ、離せ!こら!」
じたばた暴れるドラコーを抱き締めて大人しくさせる。くそぅ、子供特有の体温の高さが心地いいぜ。これは抗えない
「怠惰は好まぬと…!」
「最後に休んだのは去年の一月で……今は五月入ったぐらいだから……」
「……すまぬ」
「わかったならもうちょっと強く抱きます」
「それとこれとは違──あふっ」
表面上は嫌がってても腕を普通にして抱きやすくしてるあたり素直じゃない。かわいいね
「さっさと離さぬか!そして起きよ!くっ、力の強い───!」
……流石にここまで暴れられると面倒だな、声もでかいから寝起きの頭にに響くし
しゃあなし、わからせますか
「余は貴様と──!?」
「でーい!」
ドラコーが下になるように体勢を変え、正直無駄だとは思うけど精一杯力を込めて抑え込む。よし、ここからが本番だ
「ちょっと黙ってろ、頭に響く」
「っだが──」
「口答えするな。あぁ、それとも首輪でも付けて欲しいのか?」
ドラコーの首元にゆっくりと手を近づけていく。ビクリと震えるが抵抗しない辺り諦めてくれたらしい。賢明な判断だね
「何を思い上がっていたのか……獣が、飼い主に逆らう事など出来ぬというのに……」
「ん?」
「余の全ては貴様の思うがままだ。好きにせよ」
あっ、わからせすぎた
ちょっと黙っててもらおうとしただけなのに上下関係構築されちゃったよ。どうしよ、まぁええか
「えぇ……そこまでしろとは…」
「貴様の言葉は下手な令呪よりも重い。そもそも、余は貴様がいなければビーストになる事さえ叶わぬ身だ」
「それじゃあ抱きしめるから抱き返して」
「……こうか?」
姿勢を戻し、互いに密着するように抱き合う。尻尾まで絡めてきてるじゃん可愛い
「こういうのも悪くないでしょ?」
「……そうだな。怠惰も存外悪くない」
やっぱりロリを抱いて眠る事は健康にいいと思うんだよね。てかどうしたのドラコー、そんなに首元気にして
「…………」
「……まじか」
ドラコーは落ち着かないと言った感じで首元を気にしていた。ここにきてお前のタイプがわかったわ、そういう感じね、無害なタイプ
「……!」
以前コヤンスカヤに貰った首輪を取り出して見てみる。『気が向いたら私にどうぞ☆』って渡されたけどすまんな、お前に使う事は無さそうや
「お、気になる?見てみて首輪首輪。コヤンスカヤに貰ったんだけど何に使えっていうんだろうね?」
「っ……貴様…!」
「どうしたの?何か機嫌悪い?それとも──して欲しい事でもあるのかな」
「っ……!」
「睨まれてもわかんないなぁ、ちゃんと言葉で言ってくれなきゃ」
楽しい。ギルの時もそうだったけどこういう気の強い人は虐めたくなるよね
「……よいのか?」
「え?」
「それ以上は戻れなくなるぞ」
「……?」
言ってる意味がよくわからない。どういう事だろう?
「本当にいいのだな?」
「え、うん」
「では──」
ドラコーは俺の胸に手を置いて、告げる
「首輪を、嵌めてくれ」
「……あぁ」
へいへーい、態度がアレなんじゃない?敬語を使えYO!とか言える雰囲気ではなかったので大人しく言うことを聞いて首輪を嵌めると、ドラコーは首輪の紐を俺の手に握らせる
「おめでとう。貴様は堕落の獣を飼い慣らした」
「お、おう」
「だが、それだけではまだ不十分だ」
ドラコーは俺の体を持ち上げてその下に入り込み、押し倒されるような体勢になる
「獣には躾が必要だ。躾がなっていなければ──飼い主に噛み付くやも知れぬからな?」
「えぇ…」
「何を呆けておる?貴様が望んだ事であろう?獣を飼うとはそういう事だ」
あの意思確認はこういう事かぁ……まずった。全然無害じゃないじゃんこいつ!
「どうした?怖気付いたか?あぁ、噛まれる方が好みなのか?」
「いや、その…あう」
顎に手を添えられ、強制的に目を合わせられる。怖い。この子ガチだ。やばいものに手を出しちまった
「ギルとは違ったかぁ…」
「おい」
「あっ」
姿勢が逆転して今度は俺が組み敷かれる。顔が近いしなんかいい匂いする。まずった
「よくわかった。噛み付かれるのが好みのようだな?」
「あ、あの……?」
「安心しろ、痛くはせん。ただ少し、余に溺れてもらうだけだ」
「あふっ」
口に指を入れられて舌を撫で回されて思わず変な声が出てしまう。それを楽しげに見つめながらドラコーは笑う
あーっこれはまずいですよ!逆◯コースだ!何とかしないと……やるしかない!
「っ──!?」
首輪の紐を思い切り引っ張って引き寄せ、思い切り抱きしめる
「躾はいらないよ、もう充分躾けられてる。抱きしめられたら何されてても許しちゃうくらいにはね」
「……そうか」
「おっけー、それじゃ寝よっか」
「あぁ、そうだ──いや」
ふっ、勝った。ビーストなんてチョロいチョロい───
「わん」
「ん??????」
「ペットの返事はわん、だろう?これからは貴様への返事はこれで返そう。案ずるな、関係性は柔軟だ。それが嫌ならペットでなくてもよい。例えば……番、とかな?」
「……」
「余の全ては貴様に捧げよう。だから、余を好きにせよ。飼い主殿?」
「…………はい」
相当厄介な事に………今更か!