過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常 作:かゆ、うま2世
過労スタッフと段蔵
カルデア職員は多忙である
それもそのはず、我々の組織はとてつもなく人手不足に喘いでいる
それに対し、仕事の量は非常に多い
異聞帯に関するレポート、度々発生する特異点に関する報告書等々
言ってしまえば事務作業である。馬鹿みたいに多いが
泣き言は言えない。最前線で戦っている藤丸君に対し、私のような一般職員ができる事はこれぐらいしかないのだから
さて、ここからは私の仕事時間についての話をしよう
まず、徹夜は基本である
夜は寝る時間?甘えんな仕事しろ
1日24時間を完全に使い切った上で初めて処理し切れるのがカルデアの事務作業だ
そうなった時、課題となるのが食事という行為による時間ロスだ
以前まではカロリーメイト的なやつを食べて時間を作っていた。食べながらでも仕事を進められるし、すごい便利だった
で、そんな事を繰り返していたら食堂のオカンとメリュジーヌにキレられた。オカンはまだしも、メリュ子は洒落にならない。『カルデアを……』とか言ってるのが聞こえてしまった。まずい
と、言う事で食事はしっかり食堂で食べる事になった。まともな味がする食事をするのは久しぶりだったからね、涙で前が見えなくなったのはいい思い出
さて、次は睡眠時間についてだ
動物は一切眠らない状態が続くと生命活動を維持できなくなっていく
人が眠らずに過ごした時間の最高は約11日だそうな。つまりそんぐらいなら寝ずに動いてもヨシ!
とはいかないのが人間の体である。不便
実際、少しでも眠った方が仕事は捗る。徹夜は基本だが、割と睡眠自体はとっているのだ
え?いつ寝てるのかって?
寝れる時間は割とある。例えば──
朝食の時の食堂への移動時間、朝食を待っている時間、仕事でカルデア内を移動する時間
そう、歩きながら寝ているのである
無駄な時間を有効活用し、生命維持と仕事の効率を向上させる、素晴らしい技術である
ちなみに、体の記憶に従って道を歩いている。俺視点では寝て起きたら目的地についている、便利である
問題があるとすれば、歩いている途中に何者かからの干渉を受けると目的地に辿り着けなくなる事だ。寝てるから抵抗もできんし
「そう、あれは立派な睡眠時間であって、別に過労で寝落ちしてたとかじゃないの」
「間違いなく過労かと」
目覚めたらすっごい美人に押し倒されてた時の気持ちを答えよ
結論から言うと、私を掻っ攫ってベッドに入れたのはアサシンのサーヴァント、加藤段蔵こと段蔵ちゃん
今は髪を下ろした第3再臨の姿だ、関係ないけど俺はこの姿が一番しゅき(直球)
話を戻すと、恐らく睡眠移動を行なっていた俺を見つけて回収したのだろう。やられたぜ
「ダ・ヴィンチ殿から話は聞いております。マスターが無理をしすぎだと」
「うん、取り敢えず話をするなら俺の上からどこうか」
「……?」
何故そうなる。首を傾げられても困るんだが
「仕事が残ってるんですけど」
「マスターがお休みになられる事は既に皆さんに連絡済みです」
「休むなんて言ってないんですけど」
「段蔵は忍びなれば。主君の身を案ずる事もまた務めなのでございます」
「うーん……」
ダメみたいですね
こうなった以上俺にできる事はない。諦めよう
ていうか何で俺がマスターなんだよ。段蔵ちゃんのマスターになった覚えはないんだが……?
「──マスター?」
「ヒェッ」
乾いた声が口から漏れた。俺を見下ろす彼女の目からはハイライトが完全に消えていた。代わりにドス黒い何かが見える気がする
「段蔵のマスターは貴方様だけです。例えこの身が滅び、再度現界しようと、貴方様以外に仕える気は毛頭ありませぬ」
「あ、はい。どうも」
ナチュラルに思考を読まれるのはもう慣れた。慣れたくなかったけど
「取り敢えずさ、上からどいてくれないかな。ここまで密着されてると休めないんだ」
「では、失礼します」
俺の上から退き、ベッドの側に座り込んだ
ま、今日はもう何もさせてもらえないだろうし本当に休むくらいしかすることがない
となると、俺には一つの問題が発生する
(……寝れない)
騙し騙しのカスみたいな睡眠で生命維持をしていた今の生活の弊害で、しっかり寝ようとしても寝られなくなってしまったのだ
なので、しっかり寝たい場合にはオベロンに頼んでいる。彼女に頼むと嫌な顔しながらスキルで寝かせてくれるので助かる。その顔でパンツ見せてくれないかな
もう言いたい事はわかったな?
俺はもうオベロンがいないとまともに寝られないんだ。厳密に言えば、寝られない事はないが寝落ちという手段を取るしかなくなってしまう
そして今の状況、オベロンを呼べない。ヤベーイ!
……まぁいい、降って湧いた休みだ。たまには寝る以外の事をしよう
「……?どうかされましたか?」
「せっかくだし、見たかった映画でも見ることにする。寝落ちするかもだから付き合ってよ」
「承知しました。喜んでお供致しましょう」
モニターの電源をつけ、映画鑑賞の準備を進める
「どの映画を?」
「武器人間」
「武器人間」
〜鑑賞中〜
「段蔵もあのように改造を……」
「やらなくていいからね」
そして、映画も終わりかけてきた頃
「…段蔵ちゃん……膝貸して」
「はい」
段蔵ちゃんの太腿を枕にして寝転ぶ。柔らかい。段蔵ちゃんはずっと頭を撫でてくれている。段蔵ちゃんの手つきがあまりにも優しくて、すぐに眠くなってきた
「いかがでしょうか」
「最っ高……ごめん、このまま寝るわ」
「お休みなさいませ、マスター」
起きた後、それはそれは仕事が捗ったそうな
尚、仕事が捗るからと働きすぎてまた段蔵ちゃんに捕まるのは別のお話