過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常   作:かゆ、うま2世

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難産じゃった……


獣の献身

「お」

「ん?」

 

 

カルデア内を歩いていたら角を生やした長い金髪の女性に出会った。俺は見たことないので、恐らく藤丸君が新しく呼んだサーヴァントだろう。本当に色んな人を呼び寄せるな

 

 

「どうも」

 

 

まぁ、知り合いでも何でもないので軽く会釈だけしてすれ違うつもりだったのだが……

 

 

「待て」

 

 

思いっきり肩を掴まれてしまった。うわー、これ絶対面倒事だろ。いやマジで勘弁してくれよ……

 

 

「あー…知らないかもしれませんけど、俺一分一秒無駄にできない立場なんすよ。離してもらえます?」

「わざとやっているのか?余だ、貴様のドラコーだ」

「はぁ?」

 

 

いやドラコーはこんな見た目じゃ……いや待て

 

 

「んー?」

「んぐっ」

 

 

自称ドラコーの周りをぐるぐるしつつ、髪を触ったり目を見たり口の中に指を突っ込んだりしてみる。言われてみればどことなく似ている気がしないでも……………違うか!

 

 

「なりすますならドラコーだけは辞めといた方がいいよ!あいつ俺のペットだから!じゃあね!」

「逃さぬ」

 

 

服を掴まられてズルズル引き摺られ、行き先は俺の部屋だった。こいつマジで何なんだ!?

 

 

「本当に忘れたのか!?」

「だからあんた誰だよ!」

「ドラコーだと言っておろうが!ほら首輪!」

「あっ、ドラコーだ」

 

 

首輪の存在を確認してやっとドラコーだと理解した。すごい変わったねぇ

 

 

「これは男装の麗人だわ。またえらく変わったね」

「嫌なら戻る。どちらがいい?」

「どっちもドラコーだから好きだよ」

「……そうか」

 

 

あ、照れてる

 

 

「……腕と足は大丈夫なのか?」

「骨折なら三日で治したよ。あんまり長いことリタイアしてるとコヤンスカヤが退去しちゃうからね」

「……まぁいい」

 

 

腕を優しく撫でるように触ってきた。骨折を心配しているみたいだけど、距離が近いっす

 

大人しくドラコーのいい匂いを堪能していると、彼女の角が目に入る。ちょっと気になったので触ってみた

 

 

「んっ!?」

「いや、ごめん。つい出来心で……」

 

 

思ったよりも反応が大きかったので即座に手を離そうとするが、その前に腕を掴まれた

 

 

「…何を遠慮する必要がある?好きに触れ。余は貴様のものだ、はい以外の返事はしない」

「…へぇ、じゃあ遠慮なく」

「っぁ……」

 

 

優しく、割れ物を扱うように触っていく。先端まで行ったら今度は根元までゆっくり戻していく

 

てか聞いてなかったけど、これどういう感覚なんだろうね?痛み……ではないよね

 

 

「どう?」

「んっ……気持ち、いい…」

 

 

マッサージ的な感覚なのかな?

今度は少し力を込めて握ってみる

 

 

「っああっ!?」

「あっごめん痛かった!?」

「き、さまっ……誘って、おるのか…?」

 

 

言ってる意味はよくわかんないけど……楽しいしもっと握ろ!

 

 

「はぁ…はぁ…ん、く…んんっ!」

 

 

……何か勘違いされそうなボイスになってる。このままじゃちょっとまずいな、せや!

 

 

「声がうるさいよ!」

「んぐっ!?」

 

 

押し倒して口を手で塞ぐ。これで声が外に漏れて修羅場を生む事は無くなるだろう。もちろん角をいじるのも止めない

 

 

「ん、んんっ!んーっ!」

 

 

見た目では暴れてるけど全く力がこもってない。俺でも容易に押さえつけられるレベルだ

ドラコーの瞳は涙目で、必死に首を横に振っている。思いっきり握ろうかと思ってたけど、流石にやめてあげよう

 

 

「ぷはぁっ!はぁ……はぁ……はぁ……!」

「とと、大丈夫?」

「あんなやり方では…抑えが…効かなくなる…!」

「え?ちょ!?」

 

 

逆に押し倒されてしまった。ドラコーは息も荒く目も変だ。明らかに正気じゃない

 

 

「もう我慢できぬ……!」

「待て待て待て!落ち着け!ステイ!ハウス!ドラコー!」

「っ!」

 

 

名前を呼んだのが良かったのか、ドラコーの動きが一瞬止まり、目には僅かな理性が宿った

 

 

「……すまぬ。この姿の余はかなり浮かれていてな……迷惑をかけた」

「いや……別に…寧ろ名前呼んだだけで止まってくれるのはありがたい」

「……大変だな」

「癒しになってくれるタイプなのね」

「迷惑はかけぬ。……できる限り」

 

 

元々色々手伝ってくれたから割と好きな方だったけど、ここまでくるとかなり俺の好感度高いぞドラコー!

 

 

「お前……いいな!」

「あぁ、いくらでも頼るがいい。余は貴様の獣だからな」

 

 

─────────────────

 

 

 

それから少しして、ドラコーは自分の膝で眠る男を撫でていた

 

 

「──あぁ、芝居の甲斐があったというものだ」

 

 

歓喜を抑えきれずに口元が歪む。あちらの姿に戻ればきっと羞恥でおかしくなるであろうが、それでもやった価値はあった

 

角に触れられた時の反応、襲いかかろうとしたあの時、名前を呼ばれて止まったあの時、全て──ドラコーの演技だ

 

 

「貴様の心が余に堕ちるまで待つとするか。楽しみだな?」

 

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