過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常   作:かゆ、うま2世

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キスと妖精と休みの日

朝は至福の時間である

 

あらゆる不安を忘れ、惰眠を貪る。朝の時間は僅かだが、それでも素晴らしいものである

それが休みの日なら尚のこと。時間を忘れ、10徹の疲れを癒すのだ

 

 

「……今日はオプション付きか」

 

 

俺にしがみついて寝息を立てている最強種の幼女がいるならなおさらのこと。普段の凛々しい姿とは裏腹に、ピンクと白の縞模様の可愛らしいパジャマに身を包んだランサーのサーヴァント、メリュジーヌが俺の胸に顔を押し付けて眠っている。稀によくあることだ

 

 

「……あったか」

 

 

竜である彼女の体温は布団と俺の体温の影響を受けて普段より高く、心地よい安らぎを与えてくれる。抱きしめてその熱を最大限に感じる

 

 

「……ん」

 

 

するとどうだろうか、まるでそれに応えるかのように、彼女は俺に抱きつく力を強めた。腕だけでなく脚まで絡めてくる始末だ

 

 

「………起きてるだろお前」

「バレちゃった。おはようマスター」

 

 

そう言って顔を上げる彼女。少女のような幼さがありながら、どこか悪戯っぽくもあるその微笑みに対し、俺が抱いた感想は単純なもの

 

 

(クソッ、顔がいい!)

 

 

思わず目を逸らして悶えてしまうほどに美しい。国傾くだろこれ、傾いたのは俺だけど

 

 

「──何で見ないの?」

「アヒッ」

 

 

それがいけなかったのだろう。美しい金色の瞳からハイライトが消え失せ、代わりに宿るのは妖しい光。捕食者の目つきへと変貌する

 

 

「僕達、恋人だろう?なのに目を逸らすなんて酷いよマスター。何で見てくれないの?もしかして僕が悪かった?ねぇ教えてマスター、どうして目を逸らすの?どうすれば僕を見てくれる?君が望むなら僕は何をしたっていいんだよ?ほらこっちを見て、僕だけを見て、僕以外を見ないで、ねぇマスター、マスター、マスター、マスター………」

「色々言いたい事はあるけどまず俺たち恋人でもなんでも──」

「何?」

「何でもありません」

 

 

蛇に睨まれた蛙のように萎縮し、大人しく黙り込む俺。サーヴァントと人間、勝ち目なんかねぇよ、うるせぇよ、黙れよ

ここはもう、正直に言うしかない!

 

 

「……いや、その。顔が良すぎてちょっと…直視できないというかなんと言うか……照れるというか……」

「──────」

 

 

恥ずかしくて小声になる俺とは対照的に、メリュジーヌはポカンとした表情を浮かべていた。やがてそれは喜色の笑みへと変わり、華奢な両手が俺の顔を挟み込んだ

 

 

「──じゃ、慣れるまで見てていいよ」

 

 

そして強制的に彼女と目が合う。嬉しそうな、それでいて少し誇らしげな表情をしたメリュジーヌの視線に晒される。どんどん顔が熱くなっていくのを感じる

 

 

「……ダメだよ、マスター。そんな顔されたら我慢できなくなるじゃないか」

「え?ちょ、待っ!」

 

 

制止の声をかけるも時すでに遅し。俺の後頭部に腕を回し、そのまま唇を押し付けた

 

 

「ん、ちゅ……んむ…はぁ、んふぅ……」

 

舌を入れられ、口内を蹂躙される。歯茎の裏から上顎に至るまで余すところなく舐められ、極めつけに舌と舌を絡ませてくる

 

 

「っ──!?」

 

 

俺の舌に微弱な痛みが走る。舌を噛まれたと気づいた時には、既にメリュジーヌが傷口に舌を這わせ、俺の血を飲んでいた

 

 

「──ん、ぷはぁっ」

 

 

永遠にも思えた接吻が終わった頃には、俺は息絶え絶えだった。酸欠状態になりながらも、どうにか呼吸を整えようと深呼吸を繰り返す

 

なんというか、体は間違いなく子供のそれなのに色気がすごい。可愛さ、かっこよさ、色気、全てを備えたパーフェクトロリ。控えめに言って最高です

 

 

「……いつもより積極的だな、何かあったか?」

「…べつに、どういう訳か君から僕以外の匂いがしただけ。誰かはわかってるし、後で話をつけに行く」

「やめてね」

 

 

このままではメリュジーヌと段蔵ちゃんの殺し合いが始まっちゃう。そうなった場合止めに入るのは俺だ、仕事が増えるのは勘弁願う

 

 

「……そろそろ朝飯食いに行くか」

「休みなんでしょ?もうちょっとこうしてようよマスター」

「…………」

 

 

考えろ、昔よくやっていたことだ。リスクとリターンを天秤に載せろ

リスク、他のサーヴァントに見つかったら多少面倒なことになる。対処できないかと言われればノー

リターン、この時間がもう少し続く

 

 

俺の胸に顔を埋めていたメリュジーヌの体に腕を回して抱きしめると、彼女は驚いたように目を見開いた。だがそれも一瞬のこと、すぐに目を閉じて幸せそうに体を預けてきた

 

 

「──ねぇ」

 

 

甘い囁きが耳元をくすぐる。その声音には確かな熱が込められており、俺の心拍数を上げるのに十分な効果があった

 

 

「好きだよ、マスター」

 

 

自信に満ちた、いつもの表情で恥じることなく言い放った

それに対し、抱く感想は一つだけ

 

 

(…本当に、顔がいい)

 

 

 

起こしにきたキャスターのアルトリアにこの現場を見られ、修羅場が巻き起こる30分前の話である

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