トーセンジョーダンがN県T村でちょっと過ごす話   作:鶴岡

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Q.
トーセンジョーダンより前に来た2人のウマ娘の中にゴールドシップは含まれますか?

A.
ゴールドシップはそういう概念を超越してるので数えられません助けて下さい。


第4話 幻のウマ娘

「やー食った食った。おばあちゃん、お粥まじ美味しかったよ!ありがと!」

 

「えがったえがった。晩飯もまたうまいもんいっぱい食わせてやるけ期待しとき」

 

「うんうん!メガ盛りでよろー!」

 

 あの後おばあちゃんがお鍋2つにいっぱいのお粥を持って来てくれて、それを最後まで、途中からは自分の手でスプーンを持って食べて完食した。

 もうマジ美味しかった。

 

 だけど、何か忘れてるような?

 

「さて、お粥を沢山食べて体力もだいぶ回復したようだし、問診を再開しても良いかな?」

 

 あ、そうだった。白衣のお兄さんに言われて思い出したけど、ここ病院なんだった。

 

「りょーかいっす」

 

「まず最初に、君の名前は?」

 

「あたしの名前?トーセンジョーダンって言いまーす」

 

 あり?一応あたしホープフルステークスを勝ったG1ウマ娘なんだけど?知らなかったのかな?ちょっとないわー。

 

「トーセンジョーダン、名字は東の泉でトウセンか?」

 

「へ?あーいや漢字じゃなくて、カタカナでトーセンジョーダンだけど?」

 

 なんか、あれ?この医者の先生なんかおかしくない?

 

「では次に、……その耳と尻尾は本物なんだな?」

 

「へ?……そりゃあ、あたしってばウマ娘だし?え、マジで言ってる?ウマ娘知らない医者とかモグラじゃね?」

 

 あれ、モグラだっけ?オグリだっけ?

 

「それを言うならモグリだ。そして私は免許を持っているちゃんとした医者だ」

 

「えー。でもウマ娘知らないんでしょ?」

 

 なんか怪しいなあ。

 

「知らないも何も、君の言うウマ娘という生物がこの世の中に実在しないのだ」

 

「……???」

 

 なんでかミホノブルボン先輩が宇宙に浮かんでるのが思い浮かんだ。え、なんで?

 

「え、ジョーダンでしょ?ウマ娘がいない?だってあたしがここにいるじゃん!待ってこれ何かのドッキリ?どっかにヘリオスとかパーマーとか隠れてるヤツ?もしかしてゴルシがまたなんかやってる?」

 

「冗談でも、ドッキリでもない。そういえば君は、泉平駅で降りた時に切符の払い戻しをしてもらってたそうだね?その時のお金はまだ持っているか?」

 

「え?えーっと、使ってないから財布の中にあると思うけど?」

 

 いきなりお金の話をされてよく分かんないんだけど、そういや治療費って足りんのかな?

 

「君の持ち物は枕元のその籠の中に全て入れてある。それをよく見てほしい。おそらく、それで分かるだろう」

 

 もう言ってる事がマジ意味分からんけど、言われた通り籠の中からあたしの財布を探し出して、中身を確認してみる。

 

「えーっと、1万円が1、2、3、4枚。5千円が1枚。千円が1、2、3、4、5、6、ん?……あれ?なんか違う変なのがある?え、ニセモノ?え待って小銭にも変なの混ざってる!?」

 

「やはりか」

 

「これは、2460円分は我々の知っている日本円通貨ですが、残りは日本の通貨のように見ますが違うものが4万と10千円に小銭が822円。確かに今、我々は別の日本の通貨を見ているのですな」

 

 え、お金数えるの早すぎない?……じゃなくて。

 

「やばくない?まるであたしが違う世界に行っちゃったみたいじゃん」

 

「行っちゃった、というよりも、来てしまったというべきだな」

 

 マジかー。なんか映画みたいな?まじやばくない?いや、ガチやばいわ。

 

「そして、イシさん。イシさんはウマ娘を知っていましたね?先ほどトキちゃんとも言ってましたが、どこかでウマ娘と面識が?」

 

「ああ、あれは一人先生の父親の一郎先生のさらに父親の、今は亡き一道先生がこの診療所で現役だったの頃じゃ。確か昭和26年の6月じゃった。村の外からふらりとやって来たのがトキちゃん。トキノミノルちゃんじゃったよ」

 

 トキノミノル?……なんか授業で聞いた事あるような?確か幻のウマ娘とかなんとか?

 

「トキちゃんはな、トーセンちゃんほどじゃなかったが足の爪が割れてとって、そして破傷風に感染しておった」

 

「はしょーふー?」

 

「土などに存在する菌が傷口から入り込み感染する病だ。現代でも致死率は10%と比較的高く、昭和26年の頃では40~50%と、感染してしまえば2人に1人が死亡してしまう非常に危険な感染症だった」

 

 えっと、えーっと。とりあえず、トキちゃんはあたしみたいに爪を割っちゃった。

 それで、しょーわっていう昔だと2人に1人が死んじゃう危ない病気がはしょーふー。それにトキちゃんはなってた。

 

「え、てことは、そのトキちゃんは?……死んじゃったの?」

 

「いんや、助かったぞ。ギリギリじゃったが、助かった。それで1年くらいじゃな、村でしっかり身体を治して帰ってったさ」

 

「わー、良かった。めでたしじゃん!ねえ!そのトキちゃんの写メとかプリとか無い!?見てみたいんだけど!」

 

「しゃ、しゃめ?ぷり?なんじゃ、魚か?一緒に釣りは行ったが村の川じゃから鮭も鰤も釣れんかったや」

 

 あ、あちゃー。おばあちゃんには伝わらんか。

 

「えっと、あれよ!しゃー、しゃー、えっと、あれ、しゃーしん!」

 

「おお、写真か。ウチのアルバムに何枚かあるけ、明日持ってくるさ」

 

「あんがとーおばあちゃん!」

 

 あたしより前にこの世界に来たトキちゃん、どんなウマ娘なんだろ。めちゃ気になるなあ。




実馬予後不良ウマ娘救済No.1
トキノミノル
1951年の日本ダービー後に破傷風で予後不良。
ウマ娘ではそもそも救済されているような扱いではありますが、他の病気などと違って、人間の言葉が喋れて人間と同じ治療が受けられてもどうにもならないという点で、K2クロスで医療描写を考えてる内に何かしら史実からの逸脱が無いとおかしい事に気付き、今作ではT村に流れ着いた事にしました。
トーセンジョーダン失踪後のウマ娘世界では心配しつつも「もしかして?」と行先に感づいている。
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