第204魔導中隊の諸君。空の上で悪いがブリーフィングだ。防衛の任に就いていたヴァイパー隊が無視できない損害を負っている。また同空域に魔導士、爆撃機の存在を確認している。我々の任務はヴァイパー隊の救出。並びに敵魔導士、爆撃機の撃退だ。203魔導大隊と協力しこの任に就く。必要に応じて弾薬などの投棄を許可する。落とされる間抜けは居ないと思うが集中して事に当たれ。では全機、かかるぞ。
帝国軍魔導士がかなりの速さで高度を上げる。地獄のような地上から全力で距離を離し敵魔導部隊より高度を上げる。
「ノア。私と爆撃機を落としにかかるぞ」
「了解。204中隊は敵魔導部隊を落とせ!俺と姉ちゃんは上の爆撃機をやりに行く!」
「了解!」
2人の少女は天上へ、その他は敵魔導部隊を襲いにかかる。俺達に敵爆撃機編隊からの弾幕が浴びせられるが俺はバレルロールで、姉ちゃんは乱数回避機動で避けながら爆撃機に肉薄する。そして姉ちゃんは敵の編隊長と思しき機体の上に降り立つ。
「こんにちは。そして、さようなら」
そう告げられたパイロットたちは恐れおののきまともに反撃出来ないままグレネードによって吹き飛ばされ死んだ。俺は敵の編隊を一度通り過ぎ、一気に降下を開始。上空から爆裂術式にて狙撃する。1、2、3…次々にコックピットから火を吹き地表に叩きつけられる。
「ば…爆弾を投棄!!離脱するぞ!!!」
爆弾をバラバラと落とし敵は急速旋回。一直線に逃げ帰る。
「胆の座っていない機械の鳥どもだな」
「まったくだ」
そしてその数秒後、姉ちゃんによる攻撃で鳥達は羽根を捥がれることになった。
「うん?生き残ってそうな機が居るな。来いノア。捕虜を回収しに行くぞ」
「了解」
そうして2人の少女は地上に降り立った。
「くそ、死んでるな…姉ちゃん!そっちは?」
「だめだ。こっちも死んでやがる。…はぁ…流石に脳味噌を拾って帰る訳にはいかんしなぁ」
そしてそのとき、世界が止まりあの忌々しい声が響く。条件反射のように銃を向けマガジン内の全ての弾丸を吐き出す2人。
「調子はどうかな?2人とも」
「ああ、最悪だよ存在Xめ。とんだ世界に飛ばされた挙句こんな爆弾まで突きつけられるとは」
そう姉ちゃんが言い放つ。はて?爆弾?
「爆弾?」
「これのことだよノア。私が祝福したエレニウム95式だ」
「存在Xを賛美したくなるというぶっ飛んだ呪いも付いてきてるがね!」
この悪魔。なんつうことをしてやがる。質が悪すぎるぞ。
「そうだノア。お前にも祝福を与えてやろう」
そう悪魔は言い放ちMP40を召喚する。そしてそれを押し付けるようにして俺に渡す。
「マシーネンピストーレ40だよ。それを使えば使うほど私を身近に感じるようになる。神に会う機会が多ければ崇めたくはなるだろう」
「絶対に使うかこんなもの!」
「おっと忘れていた」
そしてそいつはこう言い放った。
「それは例え壊れても万全の状態で主の下に帰ってくるぞ」
「はぁ!?」
「ではさらばだ。君たちが世界を相手に戦うところを見ていてやろう」
あんの…あの…!!
「死にやがれ!!あの悪魔!!!存在Xめ!!!今度あったら蜂の巣にしてぶっ殺してやる!!!!」
そう心に誓ったのであった。
一方その頃、大尉以下、大隊含む60名が敵魔導部隊と交戦していた。
「1人で戦うな!!ツーマンセルを徹底しろ!!!」
ベルガー大尉が喝を入れ中隊全員がそれに呼応する。203大隊は敵をまるで箒で埃を掃くが如く落とすが204中隊はそもそも戦闘部隊ではないため敵を落とすにも一苦労といった具合だ。
「あれが隊長機だ!やれ!!!」
そう敵が言いベルガー大尉は集中砲火を受ける。数発被弾こそするが全てバイタルパートを外れており大した被害を受けない。それはベルガー大尉が徹底している横滑りによって射線をずらすという行為のおかげだ。そのままベルガー大尉は急上昇しながら直下に応射する。しかし小刻みに移動しながらの射撃のため安定しない。敵の一部がそれに追従し射撃を続ける。しかしそれはベルガー大尉の罠である。敵を釣り上げたところを中隊が捕捉し一網打尽に。敵部隊は戦闘能力を失い地面に叩きつけられる。別の場所では203大隊が敵の残存部隊を追撃していた。
「敵部隊は統率を失いつつあり!!我が204中隊は敵の退路を塞ぐぞ!!!」
ベルガー大尉の号令で中隊は高速で敵の退路へ移動し敵の残存部隊を203大隊と挟撃。殲滅した。
「まさか本当に爆撃機まで落としてくるとは…本部は相当な化け物を飼っていたようだな」
シュライゼ中将は呟いた。しかし彼女たちは予定外とはいえど切り札とも捉えられるほどの実力があり是非、冬季大攻勢の際に使いたい逸材であった。しかし…
「…よって攻勢を仕掛けるには時期尚早かと。越冬を待ち春に攻勢を仕掛け前線を押し上げることが最善の策だと小官は愚考いたします」
なぜこの小娘は理解せんのだ!
「早期解決こそが大切だ!!なぜそれが分からん!!!」
「…ラインでは戦友が泥をすすっていましたが…どうやらここ、北方は違うらしい」
「出ていけ!!今すぐここから出ていけ!!!」
「では失礼します」
「現在の兵站状況から言って今の時期に攻勢を仕掛けるのは無謀が過ぎます。春を待ちそこから攻勢を仕掛けるのが得策だと考えられます」
そうターニャはレルゲン中佐やルーデルフ准将に発言する。
「まあ待てデグレチャフ少佐。この冬季攻勢について何か考えうるメリットは無いか?」
そうルーデルフ准将はターニャに発言を促す。
「メリットと言いますと…ライン戦線の負担を少しばかり軽く出来ることと後方に手を出しやすくできることぐらいでしょうか…うん?後方?後方…」
ターニャは考える。
「どうかしたか?デグレチャフ少佐」
「前面への攻勢は囮…後方への攻撃こそが本命…?」
そう聞いた瞬間彼らは驚く。
「どこで聞いたデグレチャフ少佐!?ゼートゥーア閣下に聞いたのか?」
「はて?」
レルゲン中佐が問うが教えてもらっていないものは分からない。ジェスチャーで知らない、と返す。
「なんてことだ…まさか一部の将校しか知らないことを言い当てるとは…」
レルゲン少佐が驚きながら呟く。
「…やはり君を使うとしよう。今度の攻撃地点は…」
そしてルーデルフ准将はこう続ける。
「オース・フィヨルドだ!」
ターニャは大きく頷き賛同する。
「してデグレチャフ少佐。君にはオースフィヨルドを攻撃するとき事前に砲台の無力化をしてもらいたい」
「でしたら私の妹の部隊である204魔導中隊も同行させてください。地上に対する攻撃力で言えば204魔導中隊のほうが火力が高く短期に砲台の無力化が望めます」
「なるほど、一理ある。同行させよう。デグレチャフ少佐、君には期待しているぞ」
こうしてオースフィヨルドへの攻撃に203魔導大隊、204魔導中隊の参加が決定したのであった。
実はターニャちゃんは95式の出力が高いがために従来の機動のほうが回避能力が高いんです。簡単に言ったらacでいうVOBを接続した輸送機とネクストみたいな感じ。自由に運動できる分弾を避けやすいです。