お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

102 / 202
浜辺にて①

 

その後数日を経て、報酬はきちんと支払われた。

 

数日開いたのは、あの捕まえた奴が本当に犯人かを確認する為だ。

 

国からも人材が派遣され検証された結果によると、やはりアイツは別大陸に出現した奴と同種だったらしい。体の大部分が魔力で構築されており、恐らく魔石に込められた魔力を吸収する事で己の強化を図っていたらしいとの事だった。ちなみに見解はやっぱり密航して来たのではないかとのことだ。

 

一応捕縛当日から数日は、事件が再発した場合に再依頼をするため仕事を入れたり遠出をするのは避けてくれとクライアントからいわれたけど(一応そのための待機料みたいのも払われた)、数日たって監視なしでも盗難が起きていなかったため犯人は間違いなくあいつだったと断定され、晴れて報酬と共にお役御免となった。

 

で。

 

ようやく全日フリーとなった俺は週末を待って、がっつりと企画をしての皆の相手をするにしたのだ。

 

ここ最近は本当に雑談しかしてなかったからなぁ。仕事の関係もあるからあんまり遠出もできなかったし。

ちなみに週末まで待ったのは一日使って企画を実行するためだね。

 

という訳で、ひさびさの大型企画である。久々っていうかがっつり一日企画して動いていたのって一番最初の頃、それこそ宣伝した直後の頃だけでは? って気がする。それ以降は概ね生活の延長戦配信だし……

 

一日配信をしているといっても、一日がっつりずっと彼らの事を考えて行動しているってわけじゃないからね。

 

まぁそんな訳で、今日は朝からお出掛けしてがっつりみんなのお相手しているわけである。

 

用意している企画は四段階。一日お相手するって話をした後にみんなの要望を聞いて決定したラインナップだ。

 

今はそのうちの2つをすでに終えて、俺は街から結構離れた浜辺に来ていた。

 

「ん、みんな食べ終わった? それじゃご馳走様しよっか」

 

浜辺の上に敷いたシートに腰を降ろし、コメント欄とその向こう側に見える海を眺めていた俺はコメント欄に食事の完了報告が結構な割合で流れてきたのを見てそう告げた。

 

そう、今も企画中である。企画名は「カズサちゃんとお昼ご飯」。俺とタイミングを合わせて一緒に食べるだけるのお手軽企画である。ちなみに安直すぎる企画名は俺考案じゃないぞ、リスナー考案だ。

 

「それじゃあ、一緒にな。せーの……ごちそうさまでした」

 

問いかけには『終わったー』というのが大部分だったので、俺は企画の締めとなる言葉と共に手を合わせた。少しだけ『まだ』という言葉も見えたけど途中合流の子もいるだろうし、今日は事前告知しての一日企画デーなので視聴者は1万超えじゃ利かない人数が来ているからさすがにきりがないからな。この後の企画もあるわけだし。

 

俺は立ち上がり、シートを片付けていく。俺自身は食べやすいサンドイッチを用意してきたせいで結構早く食べ終わっていたので、他の片付けはとっくに終わっている。

 

『それにしてもカズサちゃん、あーんには全く抵抗なくなってきたよね』

 

畳んだシートをバッグにしまっていると、そんなコメントが目についたので返事を返す。

 

「そりゃこれに関してはやたら頻繁にやってるからな、いい加減なれたよ」

 

大体晩飯の時はリクエストがあるからな。毎回反応しているわけじゃないけど、簡単に出来る事なのでちょくちょく答えている。……最初の頃は何やってるんだろうって気持ちにもなったが、今となってはないだ心で出来るようになっている。

 

『えー、カズサちゃんが照れを見せながらやってくれるのがいいのに』

『これは義務あーんですわ』

『義務あーん反対! 心を込めてお願いします!』

 

そう何度もやってればそりゃ義務でやってるような空気も出てきますわ。というか、

 

「じゃあもうあーんはしなくていいの?」

 

っていったっらコメント欄が土下座のAAとオネガイシマスって言葉で埋まった。よっわ。

 

『まぁ照れカズサちゃん成分は洋服屋の方で補充できたしオーケーオーケー』

「う゛っ」

 

変な声が漏れた。

 

『あー、あれ良かったねぇ』

『照れてるのも良かったけど店員の視線を気にしてめっちゃおどおどしてたのは、申し訳ないけどちょっと笑えた』

『あれまるっきり逆効果だよねぇ。店員警戒させちゃう』

「あーうるさいうるさい! 仕方ないだろあれは!」

 

本日の四段階企画の第一弾。「異世界おさんぽ紀行」──ようはいつもの街歩きと変わらないんだが、その中でせっかく収入入ったということで服を少し買い足そうとそのルートの中に服屋を組み込んだ。

 

自分で服を選ぶなら街の小さな服屋でいいんだけど、企画的には皆に選んでもらうべきだったので品揃えの多い大き目のちょっとお高いお服屋に入ったんだけどさー。

 

うん、皆の前で服を着てみせるのは初めてじゃないし、可愛い可愛いいわれるのは今に始まったことじゃないんだけどさぁ。

 

具体的にどういうポイントが可愛いとかきっちり説明されるのは、やっぱりこっぱずかしいんだよ! てかさ、お前らさ、そこまでがっちり繊細に相手の事褒められるなら外見美少女だけど中身男の俺なんかじゃなくてリアル女の子に言お? きっと喜ばれるよ?

 

……なんてことを言ったら、いやリアル付き合いのある相手に面と向かってはいえないと返された。チキン共め……いや、俺も男だし気持ちはわかるんだけどさ。

 

後不審者ムーブになってしまったのは仕方ないだろう。

 

配信という事を考えると皆の意見を聞く必要がある訳で、体に服とかを当てて見せたり聞いてみたりする必要があるわけで。ただ他の人は当然コメント欄とかカメラは見えないから……結果として虚空に向けて自分の姿を見せたり誰もいないところに話しかけたりしているように見えるわけで……まぁそれを気にして店員の視線を気にしすぎたせいで余計胡散臭くなっちゃったのは否定できないけどさ。

 

『でも可愛い服買えて良かったじゃん』

「俺としてはもっと動きやすい服が良かったんだけどな」

 

結局2着ほど買ったけど、皆が選んだのは普通に女の子向けな服だった。こっちの世界では現代社会に比べると男女の服装って結構別れてるので仕方ないんだけどさ。男向けの服を着てると目立っちゃうしね。一応旅人向けとかでパンツルックはあるけど、今回は仕事の協力のお礼もあって要望の多かった服にした。デザイン的には派手過ぎず、ちゃんと普段使いできるものではあるしね。あと客観的に見たら、うん可愛かったです、俺。

 

『てか次の企画はあの服着てやって欲しいんだけどなぁ』

『あー、わかるわかる。今の恰好もいいけど、次の企画は買った方の服がいいかも』

『カズサちゃん着替えない?』

「いやだよ、3回も着替えなきゃいけなくなるだろ」

 

今俺が着ている服はいつぞやピクニックに行った時と同じ白ワンピだ。そしてこの後四つ目の企画で希望されている格好である。しかもその企画が終わった後着替えなくてはならない理由もあるわけで。いくら俺が普通の女の子に比べれば外での着替えに抵抗は薄いとはいえ、こんな所で3回も着替えをするのは勘弁してほしい。そもそも面倒くさすぎる。

 

「ほーら、そんな事より次の企画いくぞー」

 

昼をちょっと回った時間だけど、最後の企画はできるだけ早い時間にやりたいのでとっとと俺は話を進めることにした。お腹がまだこなれてないけど……まぁなんとかなるだろ。

 

何せ次の企画が今回の中で一番やりたくない企画だからな! いやな企画は早くすませたいのである。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。