お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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機能解放

 

結論から言うと、彼女が知っている異世界転移者というのは現在ではなく過去の伝承の中の存在だった。

 

俺の髪を優しく拭いてくれつつ語ってくれた彼女曰く、この世界に異世界の存在が現れたのは過去に何度か記録があるらしい。

 

ただし、その出現頻度は数百年に一度。だから当然アキラさんが直接見たことではなく、古文書から知った事なのだそうだ。その記録も一番最近でも300年前の話であまり正確に記録された情報も多くはないため、知っている人間も少ないらしい。

 

知っているのは歴史研究家やそれに類するもの、或いはそういった話を好む人種で一般に知れ渡ったような話でもないそうだ。

 

ちなみにアキラさんは後者。異世界の云々がどうのではなく、子供の頃から単純に古い書物を読み漁っており、その中で見つけた話らしい。

 

ようするに少なくとも俺の同類がどうのって話にはつながらないわけで、めっちゃがっくり来たんだけど。

 

話を聞いた価値は非常にあったといえる。

 

曰く。

 

どうやらこの世界は数百年に一度、未知の怪物が出現する事があるらしい。この辺り明確な事ははっきりしていないのだけど記録では異世界の怪物ではないのかと言われているそうだ。

 

そしてその怪物と同時期に、現れるのが異世界の戦士。

 

どこからともなくやってくるその存在は、この世界で扱われる力とは異なる力を用い、その怪物を駆逐するらしい。ちなみにこの能力は現れた戦士によって異なっていたそうだ。

 

『ってことはカズサちゃんもその異世界の戦士ってこと?』

『やったねカズサちゃん、異世界転生のテンプレ展開きたよ!!』

『聖女カズサ爆☆誕』

 

聖女はやめろ。

 

ただ聖女はおいておくとしても、ポジションとしては否定はしづらい。というか異世界転移だけなら偶々と言えるかもしれないけど、一応はチートじみた能力がついている時点で何かしらの意図をもってこの世界に拉致られたと考える方が納得できちゃうからな……

 

てことはマジかよ、俺謎の化け物と戦わなきゃいけないの? この世界に来てそこそこたつのに、今だにほぼ逃げるためと生活の為の魔術しか使えないこの俺が? チンピラ相手にすら逃げるしかなかったのに?

 

怪物相手に無双できるようになるまで、俺はどれだけの恥をさらさないとイケナインデスカ?

 

世界が滅ぶのが先か俺の精神が死ぬのが先かのデッドヒートとか嫌なんですけど……

 

「……ちなみに、その人たちって元の世界に帰れたんですか?」

「どうだろう? 殆どその辺りは記録に残ってなくてな。一応そのまま過ごしたって記述があった異世界人もいたみたいだけど」

 

マジか……このまま能力成長させていって、なんなら世界を救ったとしても帰れる可能性は低い、と。

 

……。

 

……。

 

まぁ、いい。今はいい。ここは今は考えたってどうにもならない。それよりもだ、もう一つ確認しておきたいことがある。

 

「アキラさん、もう一つ確認したい事があるんですけど」

「私が答えられることなら答えるわよ?」

「……なんで俺が異世界人だって思ったんですか?」

 

そう、そこだ。

 

俺と同種の能力を持つ相手を知っているなら俺の仕草から「もしかして」と気づくかもしれないけど、俺の同種にはあっておらず、過去の異世界人も異なる力を持っているなら一体どうして俺がそういった存在と気づいたのかが疑問になる。

 

「ああ、まぁ一応複合的な要素からね」

「複合的?」

「ええ。まず第一は時期。異世界人が現れるのはこの世界にこれまで見なかった怪物が出ている時期」

「……そういえば、他所の大陸でそういった怪物が現れたそうですね」

 

しばらく前に聞いた記憶がある。

 

「そうね。まぁ撃退できたみたいだし、それが間違いなくそうだとは言えないんだけど。それからあなたの無知さ加減。以前温泉で話したとき、貴女はその年齢で旅をしている割にあまりにも知識が薄すぎた」

 

あー……

 

「それから視線の動き。貴女はときどき、何もない空間を見ている事があるわよね。……過去に現れた異世界人の中にはこの世界の人間には見えない存在と話していた人間もいると記録にある」

『もしかして俺達みたいな存在がいた可能性が』

『似たような能力だったのかな』

『ガチの妖精がついていたとか』

『守護霊じゃね?』

「それに温泉の時何もない虚空を掴む動きや、何かを操作する動きをしていたわよね? だからあの時からちょっと疑っていたのよね」

 

うっ……

 

掴むってのはカメラだよな。確かに誤って変にアキラさんを映さないようにこまめに角度の調整をしていたとは思うけど……操作は多分風呂あがった時にちょっと確認でメニュー開いたとき……あれ見られてたんか。確かにあの辺りどう考えても普通にする動きじゃないから怪しまれるのは確かだろうけど。

 

ただ普通だったら変な人くらいの認識で終わりそうなんだけど、そういった知識があった上に状況が該当している事に気づいていたアキラさんだからこその疑念の持ち方なんだろうな。

 

「で、ほぼ確信になったのがさっきね」

「さっき?」

「貴女、さっき<<クリエイトウォーター>>を使ったでしょう?」

「はい」

「おかしいのよ、貴女は術を使う前に一切魔力を練り上げていなかった。簡単な魔術で、いくら熟練の術士だったとしてもこれはありえないわ」

 

ああ、チートの部分か。この世界で術を使う前に必要となる魔力の練り上げ。ノータイムでどんな魔術でも発動できるチート能力だけど、こういうデメリットがあるのか。いやデメリットという程でもないかもしれないけど。

 

「というか、人が練り上げてる途中の魔力って見れるものなんですか?」

「適正がいるし繊細な力の使い方も必要だから出来る人は限られるけど、熟練の術士ならそこそこいるわね。重要人物とかの護衛をする時は必要な技術だし」

 

成程、確かに術を発動してからだと守り切れないかもだしな。某漫画の"凝"みたいな技術?

 

しかし、マジかー。というかやっぱりアキラさん熟練の術士なんですね、全然若いのに。きっと超天才な上に努力の人なんだろうなぁ……こういう人を見ると、なんの訓練もせずに術を覚えてる俺はちょっとうしろめたさを感じる。いや俺も術を覚えるために苦労はしてるんだけれども、別の部分で。

 

「それでね、こちらの異世界転移者と匂わせてあげれば上手く釣られてくれるかなと期待したわけよ」

『最後はたたの引っ掛けかよ』

『汚いアキラさん汚い』

『それにあっさりと釣られたカズサちゃん、ポンコツ説がまた広まりますね』

 

いやお前らだって完全に釣られてただろ! 俺がポンコツ気味なのは最近否定しづらいけども!

 

「というわけで、貴女は異世界転移者というわけでOKね?」

「はい……」

 

今更否定できるわけもないので、素直に頷いておく。

 

「なんて世界から来たの?」

「えっと……地球?」

 

そういや物語とかだと大抵世界に名前ついてるけど、俺らの世界はなんていえばいいの? そんな名前ついてないよな? 神話の中だとあるのかもしんないけど。とりあえずわからなかったので星の名前を答えておく。

 

「地球。聞いた事ないから、過去の転移者達とはやっぱり別の世界ね。で、貴女の世界ではどんな能力があるのかしら」

 

そこまで口にしたアキラさんの瞳が輝きだす。元々クール系な感じなのに今はその瞳のせいか若干幼さを感じてちょっと可愛らしく感じる。ここまで話してた感じだと研究者気質というか知識欲が強いタイプっぽいので未知の技術や能力には興奮するタイプなんだろうなぁ……

 

『俺達の世界の能力なんスかね、これ』

『こんな能力あったら、配信者達の間で超次元バトルが始まりそう』

『能力的には俺達の能力というか、ゲームが具現化した感じだよなこれ』

 

そうなんだよな。しかも使える能力はこっちの世界の術っぽいし今の所は多分アキラさんも見たことあるであろう術しか使えないんだよ。

 

キラキラおめめで見てくるアキラさんの期待に応えられそうにないことに若干肩が重くなるのを感じつつ、なんかこっちの世界でないような術はないかなと操作ウィンドウを開いてみる。ほらメッセージ送信する奴とかあったし、他にも何かあるのではと思いつつそちらに視線を向けた──その俺の視界に、通知欄に表示されたメッセージが飛び込んで来た。

 

 

【InfomationMassage】

 

──新しい機能がアンロックされました。コラボ機能が利用可能になりました──

 

 

 

 

 

 




後でどっかでちゃんと書こうと思いますが、過去に関しての捕捉。

あくまで観測されて、かつわりと公な記録に残ってるのが数百年前になります。

また、過去に怪物の出現は何度もありますが、全世界の規模レベルに至った事はほぼありません。
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