お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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暴走するコメント欄

 

能力の取得やツールで作成したアイテムが現実に生み出せること、そしてそれを行うのに必要になるMPとそれを取得するための配信とそれに付随するコメント欄についてひとつひとつ説明してゆく。

 

アキラさんは説明するそれぞれに関して驚きを見せ、興味深そうに話しを聞いてくれたが、特に驚きを見せたのは配信──正確に言うとその向こう側にいる人間の事を話した時だった。

 

「この映像を見ているのが4万人もいるの!? 本当に!?」

 

……そう、今の視聴者数だけどなんと4万人もいるのである。

 

人気の数十万や百万超えのチャンネル登録者を持つVtuberでもコラボとか記念配信とか歌配信じゃない時は多くて2~3万前後だぞ? なのに最近ようやく10万人を超えたばっかりのチャンネルの配信に人が集まりすぎでは? チャンネル登録者の増加スピードは上がり続けているけどさ。

 

……まぁよく考えたら今日歌配信したし、コスプレRPしたから新衣装記念配信みたいなもんだし、今の状態はアキラさんとのコラボ配信みたいなもんだけど……

 

ちなみにコスプレRPが終わった辺りの視聴者数は3万ちょっと手前だったので、アキラさんがあらわれてから1万以上増えている。銀髪美人ぱわーつよい。恐らくSNSとかでも拡散されているのだろうな。アキラさん前回登場時に結構話題になったみたいだし。

 

こっちの世界では魔術の中に映像を記録したりそれを投影したりするものがあるので、映像自体は驚かなかったんだけど、こっちの世界は現代世界程人口は多くないので4万人に見られているというのは確かに驚くことかもしれない。大陸内の特に人口が多い都市でも数十万、通常は数万から十数万、地方都市なら一万を切る場合も多い程度の人口だからな。数万単位の人間が一つの事を見ているのなんて、それほど国王の戴冠式や結婚式等、国家規模のイベント時くらいなのかもしれない。そう考えればアキラさんが驚くのも納得である。

 

「それで、この人たちが投げてくる数字が貴女の力になるのね?」

「そうなります。えっと……誰か100円でいいから投げてくれる?」

 

そうカメラの方に向けて頼んだら、少し時間を置いた後大量の【100円】が流れた。……そりゃこんだけ人数がいればこうなるか。ちなみに中には【500円】とか【1000円】もいた。さすがに赤スパはいなかったけど。赤投げる人はさっきの歌とかRPにもう投げてくれてるだろうしなー。

 

まぁ止める事は出来ないのでありがたくもらっておこう。少額だけど、こんだけ連打されれば馬鹿にならない額だ。心の中でカメラに向けて手を合わせつつ、俺はメニューの1点を指さす。

 

「ほら、ここの数字が増えているでしょ? これがMPといって能力取得の為の力になるんです」

「どれどれ……あ、本当だね」

 

位置を動かせるコメント欄と違ってメニューは俺の前方に固定で表示されるため、そのメニューを覗き込むためにアキラさんが体を寄せて来た。うっ、何かいいにおいする。香水でもつけてるのかな? それにこっちが女と思っているだろうからか、容赦なく体を接触させてきて柔からな二の腕やもっとやわらかいアレの感触が……!

 

『あー、これは悶々としてますねー』

『この反応でわかった、カズサちゃんは〇貞ですね間違えない』

『TS少女からしか摂取できない成分補給ありがとうございます!』

 

うるせえ、余計な事言うな! 大体このコメント欄はアキラさんも読めるんだからやめろぉ!

 

『ごちそうさまでした【10000円】』

『いいよいいよそういうのもっとちょうだい!【5000円】』

『抱けえっ!!抱けーっ!! 【5000円】』

 

やめやめろ! いや高額スパチャ自体はありがたいんだが! 特に最後の奴は自重しろ!

 

とりあえず、アキラさんにはこの暴走しているコメント欄を見せないように、メニューの方に意識を持って行ってもらわないと……そう思って、ちらりと横をみたら彼女の視線はすでにメニューを見ておらず、コメント欄を凝視して動きを止めていた。

 

……終わった。

 

ただコメント欄は高速だから全部のコメントを読むのはかなり至難のハズ。アキラさんが特にアレなコメントを目にしない事を祈ろう……

 

「……え?」

 

突然、背中に触れていただけのアキラさんの腕が離れたかと思うと、彼女の手のひらが背中に触れて来た。更に横に並んでいた彼女がこちらの方に向いて、え、え、え?

 

腕が伸びて来たと思うと、肩を掴まれ体の向きを変えられる。──彼女と向き合う形になった。

 

何が起きているのかわからず、混乱した頭の中で少し背の高い彼女の顔を見上げて「あ、まつ毛長……」とか思ってたら、肩と背中に回された手に力が入って抱き寄せられて、

 

「ぴゃぁ!?」

 

なんかやわらかやわらかやわらか

 

身長差があるといっても頭一つ分差があるわけでもないので胸に顔を埋めるとかそんなことにはならなかったけれど、俺の胸が彼女の胸を少し下から押し上げるように重なり合って──

 

 

突然もたらされた感触に頭がパンクしそうになりつつも、彼女の意図を確認するために間近にある彼女の顔を見上げると……彼女は俺を見ていなかった。

 

「あれ?」

 

俺を抱きすくめながら、彼女は真横を見ていた。現在その位置に固定してあるコメント欄を。

 

その艶やかな唇に笑みを浮かべて。

 

「抱け抱けいいながら数字を送ってきているのがいたから従ってみたけど、正解みたいね? いっぱい数字が流れてきているわ」

 

よりによってそのコメント拾っちゃったんですか!?

 

 

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