『残り残高10万きったでしょ? それくらいは残しておいた方が良くない?』
『とりあえず最低限のスキルは獲得したんじゃないかな』
『ダンジョンとかいくなら感知系の能力は合った方がいい気はする』
「感知系か。確かに」
当然俺はかすかな音とかから気配を察知できたりはしないので、身の安全の為にはあって損はない気がする。同じ危険でも気づいているのと気づいてないのじゃ心構えも違うしな。
これまであまりその系統は調べていなかったからぱっと思いあたる術がなかったので、能力リストを出して確認することにする。
えーっと……あ、これそうだな。周囲の指定した範囲に侵入者があった場合に術士にアラートを出すって術がある。コストもそれほど高くないし──って駄目だ、場所固定だこの術。ダンジョンの中進んでいくなら役に立たないわ、野営とかで使う術だな。
後は術の力の流れを感知する奴……今の俺だと感知したところで何の術かわからないから意味なし。遠視の術もあるけど、ダンジョンの中じゃこれも意味がない。サーモグラフィー系の能力もあるけど、石像系のモンスターに熱源感知が役に立つ気がしないのでこれも駄目……でもこれはいずれ取った方がいい気もするな。
フルスキャン……近くのエリアを3Dスキャンする術……便利そうだけどコスト高すぎてNG。
うーん、なかなかいい術がないなー……お、よさげなのがある。
周囲の物体の動きを感知する術式。人混みの中とかで使うと発狂しそうだけど、ダンジョン内だったらそこまで反応はないだろう。微小な動きまでには反応しないみたいだし。
効果時間は長くないみたいだけどその分消費も抑えられるみたいだし、これなら……って駄目だ。
予算オーバー。残りのMPじゃ獲得できない。
<<チャージ>>以外のどれか一個諦めればいけそうだけど、それこそ<<チャージ>>以外は必要だと思うから選択したわけで……
「感知系は今獲得できる奴の中にはいいのがないみたい」
うん、断念決定。
『致し方なし』
『取れる奴がないならしょうがないね』
『ダンジョン一人で潜る訳じゃないし、プロと一緒なら大丈夫でしょ』
「そだなー。てか依頼料とかも考えると、MPそれなりに残しておいた方がいいか」
テイルさんに以前ダンジョン行く事になった時の護衛をお願いはしてあるけれど、口約束だけで細かい所は何も決めていない。向こうもいろいろ予定があるだろうし、報酬も決めないと。ある程度相場は確認してはあるけど、成功報酬を加味するような契約でも、ライン的には手持ちでは微妙なラインなんだよな。
「テイルさんに相談しなきゃなー」
現状大きな仕事をしている気配はないけど、もしかしたらこの後長期の仕事とかあるかもしれないし。その場合こっちの仕事も数日かかるものになるから、頼むのは無理になる。かといって、テイルさん達以外とダンジョンで行動するのはちょっと怖い部分があるから、その場合はしばらく待ちになっちゃうかな。
今は確か外出しているハズなので、後で戻ってきたら相談しに行こう。
とりあえずスキル獲得ぽちぽちぽち、と。
「うん、これで能力面は準備OK。後はテイルさんと話して予定を決めるよ。向かうのは日中になっちゃうと思うんで、土日以外になっちゃったらみんなごめんね」
企画イベントするときは大体休みの日にするようにしているけど、今回は俺一人だけの予定では決められないので仕方ない。
『まぁしょうがないね』
『予定合わない場合は切り抜きで我慢します』
うち常時配信のせいでアーカイブが存在しない地獄仕様だからな……切り抜き(直接配信画面をキャプチャーしてるんだろうか?)してくれる人間には感謝だ。
『そういや、テイルさんには話さないの?』
ん?
「何の話?」
『アキラさんに説明した話よ』
アキラさんに説明した話……って、俺の正体と配信の事か。
コメント欄を見ていると、そのコメントに同意する意見が多数流れる。
『あー確かに説明した方がよくない?』
『そっか、このまま他の人と一緒にダンジョン行くとなると、こないだみたいにカズサちゃんが俺達と一切反応してくれない虚無配信になるのか』
『しばらく一緒に行動するなら、エログロ事故の回避にもなるなあ』
「……テイルさんに説明かぁ」
確かに度忘れしてたけど、今のままの状況でいったら街から離れている数日間はほぼ皆に反応できなくなるな。こないだより酷い。それに、行き先のダンジョンは生物系モンスターはほぼいないハズだけど、街から出る以上動物系モンスターとエンカウントする可能性もある。そうすると、当然そいつらと戦闘になる可能性があるだろう。俺がそれを目にするには仕方ないとして、あんまりエグイ映像は当然カメラには映せない。その辺事情を先に説明しておけば普通に配信の対応はできるし、映像に関しても気を使ってもらえそうだけど。
ただなぁ。
実は俺の能力や正体を他の人間に話す事に関しては、先日すでにアキラさんに相談していたりする。何せ俺がこの世界の人間で対処しきれない怪物を倒すためにこちらに呼ばれたという可能性があるなら、王族とかに名乗り出た方がいいのかとも思ったのだ。
それ対するアキラさんの答えは否だった。
理由としては、まず第一に今の俺の能力ではそういった怪物に対してほぼ役に立たないであろうこと。ごもっとも。俺が獲得した能力はまだわずかで、戦闘系術も先ほどようやく獲得したようなものである。
そして俺の能力の成長方法も影響する。例えばこちらの世界のモノが俺の力になると言えば名乗り出る意味もあるだろうが、俺の力に直結するのはカメラの向こうの皆のお金の力だけである。まぁ王侯貴族に支援をしてもらえれば企画の幅も広がるだろうが、下手に囲い込まれたりしたら逆に動きがとりづらくなる可能性もある。そして現状だとその可能性が高いというのがアキラさんの意見だった。今の時代は比較的平和な事もあり、そういった性質を持つものが多いとの事。
だから名乗り出るのはナシになったし、そういった相手に知られないように基本的には正体も話さないようにっていうか能力の利便性を考えると王侯貴族じゃなくて犯罪組織にも狙われる可能性があるって事で、基本はこれまで通り正体は明かさないで行くってことになった。まぁ使い手のいないというかアキラさん曰く最早失伝された魔術も使える可能性があるわけだからね……
『テイルさんなら信頼できるんじゃ?』
『めちゃくちゃいい子だし、他所で話す事はないでしょ』
確かに、現状この世界で誰が一番信用できるかっていえばテイルさんだけど。話すにはちょっと覚悟を決めなくちゃいけない事が……
うーん、でも確かに今後ダンジョンとかに言った時に数日間皆の相手をできなくなるのは問題だし、それがなくても俺に対してガードが甘めのテイルさんだと今後マジで事故が起きる可能性もあるしなぁ。
……仕方ない、覚悟を決めよう。
前回残MP:900980
今回増減:
能力獲得費用 -810000
残MP:90980
現在獲得済みの能力は以下の通りとなります。
<<ウォータークリエイト>>
<<ピュリファイ・スピリット>>
<<テレポート>>
<<ハイスピード>>
<<ボイルウォーター>>
<<ポイントテレポート>>
<<ディスインテグレイト>>
<<ワイドプロテクション>>
<<ワイドヒーリング>>
<<フリージングバレット>>
<<チャージ>>