お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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新規能力の確認のお時間です。

ごほんと一つ咳払い。今日の俺がまず最初にする事は、そういったいつものアレに対する突っ込みではない。

 

俺はカメラに向けて姿勢を正すと(ついでに座り方も直して)、ぺこりと頭を下げる。

 

「えっと。まずは最初に、皆、20万登録本当にありがとうございます」

 

そう、うちのチャンネルの登録者がついに20万人を超えたのだ。超えるところはみてなかったけど、今日買い物している時ふと見たら超えていた。その時点でお礼を言っても良かったんだけど、せっかくだからとこの場でお礼を言う事にしたのだ。

 

それから、今度は左右の二人にも礼を告げる。

 

「今回は特にアキラさんとテイルさんのおかげです、ありがとう」

「あらあら」

「20万人って数すごいよねぇ。なんかイメージ湧かないや」

 

アキラさん登場以降増加ペースがあがっていたけど、特に昨日から大きく跳ねている。多分今回のダンジョン探索の切り抜きがあがって、そこ経由で人が流れ込んできているのだろう。とにかく視覚的なインパクトが強い映像が多かったからね。

 

俺の能力は現在実用性を最優先で取っているから見た目的なインパクトは薄いけど、テイルさんの身体強化系能力を用いたアクロバットやアキラさんが操る魔術は見た目のインパクトが強い。それにそれを使っているのも美少女だ(重要)。さぞかし人目を引いただろう。

 

『カズサちゃんおめでとう~』

『むしろ配信内容から考えればこれくらい当然。カズサちゃんはまだまだ伸びる』

『結果としてこのパジャマパーティが20万人記念配信になったね』

 

その意識は全くなかったけど、確かに記念配信として特別な内容にはなるな。たださすがに二人の前で着せ替えRPはさすがにしんどいので、これは今回はなしかな。

 

『あ、これとは別にいつものRPは期待してますね』

 

……ういっす。

 

ま、とにかくそれは後の話として。まずは、だ。

 

「新しく獲得した術をチェック、からでいいですよね? アキラさん」

「勿論!」

 

アキラさんの方に顔を向けて聞いたら、ものすごく元気よく返事が返って来た。

 

これは昨日気づいたんだけど、実はまたどこかでフラグがたったようで能力の開放が行われていた。今回はダンジョン探索がフラグになったか、あるいは合計獲得MPか。いまだにこの辺りはっきりしないんだけど、これはまぁ仕方がない。

 

今回は機能の追加とかは特になく、獲得可能な能力のみが増えただけだった。それを今日の買い物途中にアキラさんに伝えたら、眼を輝かせて「見せて!」と言われた。まぁそう言われるとは思ったけどさすがに出先で話す事ではなかったので、今日の夜に見せるという話になっていたのだ。

 

「テイルさんもいいよね?」

「うん、いいよー」

 

テイルさんも頷きを返してくれたので、俺はメニューを出すと能力一覧を表示する。

 

それと同時に、体に柔らかいものが押し当てられた。先ほどまで崩した姿勢で座っていたアキラさんがあっという間に身を寄せてきたのだ。ちなみに、押し当てられたのは二の腕である。

 

二の腕、何だけど……アキラさん一番最後にお風呂にはいったせいか、まだなんか体が火照ってる気がする。後うっすらといい匂いがする。俺も使った石鹸の匂いじゃないから、お風呂から出た後香水か何か使ったのかな……? ちなみにアキラさんはわざと俺に体をくっつけてくること多いけど、今回は完全にメニュー画面の方に意識が行っているので無意識っぽい。

 

……

 

『あっ、これカズサちゃんむっつり発動してますね』

『本当に顔に出るなぁカズサちゃん。可愛いけど』

『偶に出てくるカズサちゃんの童〇感好き』

 

やめろやめろ! 能力リストに意識が言っているアキラさんはともかくテイルさんもいるんだぞ!

 

視線を振れば、テイルさんも近づいてきて画面をのぞき込んでいた。セーフ!

 

とりあえずカメラに向けて窘めるような視線を送ってから(それに対する『ありがとうございますっ!』とかいうコメントは当然無視)、俺もメニューに視線を落とす。二人の意識がコメント欄ではなく能力リストの方に向くようにしないと。……あと鼻息が荒くならないように気を付けて。

 

新規獲得した能力は下の方だから一気にスクロールして、と。

 

「この辺りですね」

 

丁度今回増加した部分までスクロールできたのでそう口にしたらアキラさんが更に体を押し付けて来たし、テイルさんの顔もかなり近くに来たけど平常心、平常心。

 

「結構増えたのね。高位術が増えた感じかな?」

 

能力リストから全く視線を外さないアキラさんがそう口にする。彼女の言葉通り、今回獲得した術は大部分が100万を超えるMPを必要とする高額商品だった。値段から考えれば彼女の言う通り高位の術の可能性が高いだろう。

 

「とりあえず一つずつ説明読ませてもらっていい?」

「了解です」

 

コラボ登録した対象がメニューを閲覧することはできるけどさすがに操作はできないので、指示された通り俺はメニューを操作してそれぞれの能力の説明を表示していく。

 

それを一個一個アキラさんが目を通していく。一個一個はそれほど細かい説明が書いてあるわけではないので、すぐに彼女はその説明を読み終えた。

 

最後の一個まで確認し、アキラさんが顔を上げる。同時に押し付けられていた二の腕の柔らかい感触も離れていった。……名残惜しくなんかないぞ。

 

アキラさんは元の位置に戻ってから口を開く。

 

「ざっと眺めてみたけど、やっぱり高位な術士しか使えないような術が多いね。後、技術的には現在ではすでに失われている魔術もあった。正直使っているところみて解析してみたいけど……」

「……必要となるMPが多すぎて当面は無理そうですね」

「だよねー。これはカズサちゃんのお手伝い頑張る理由が増えたな」

「ボクも頑張るよ~」

 

知的好奇心という強い理由があるアキラさんはともかく、そういった理由がないのに協力に滅茶苦茶前向きなテイルさんが本当に大天使過ぎる。

 

「ま、それはおいといて。実際は見てみたいのはこの5つなのよね」

 

そう言って、アキラさんが5つの術を指さした。

 

「えっと……<<メテオ>><<セレスティアルレイ>><<ジハード>><<リジェネイト>><<ウィッシュ>>の5つですか」

「そう。この5つに関しては、私の知識の限りでは見たことがない魔術なんだよね」

「となると<<インベントリ>>みたいに俺だけが使える専用の術の可能性があると」

 

アキラさんがコクリと頷いた。

 

「説明的に、使用時に"MPを消費する"という記述のある<<リジェネイト>>と<<ジハード>>は確定だと思うけど」

 

<<リジェネイト>>は術を行使中対象が受けたダメージをMPを消費して自動で回復する、<<ジハード>>はMPを消費して対象の能力を大幅に強化する術だった。なるほど、MP消費前提の能力ならこっちにある訳ないよな。

 

「<<メテオ>><<セレスティアルレイ>>はなんか記述を見る限り、何かを召喚する感じっぽい? <<インベントリ>>に近い能力だと思う」

 

<<メテオ>>は隕石を召喚、<<セレスティアルレイ>>は超常たる光の力を召喚……ゲームとかでよく見る<<メテオ>>はともかく超常たる光の力は全く意味がわからんな。

 

「あと、最後の<<ウィッシュ>>は……なんだろね、これ」

「この説明だけだと意味がわからないよねぇ」

 

アキラさんと、テイルさんも首を傾げる最後の術。そこに書いてある説明はたったの一文のみ。その内容は、

 

 

──願いを一つだけ叶える、だった。

 

 

 

 

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