お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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次の目的地

 

「リンヴルム? カズサちゃん傭兵するの? 危ないよ?」

「いや、そんなつもりは欠片もないから安心して?」

 

心配気な声を上げたテイルさんに、笑みと共にそう返す。

 

城塞都市"リンヴルム"。アストラ王国では王都アストリア、俺達がいるパストラ、王国の西側の中心となっている"ストラチア"に続く第四の都市だが、商業的に発展している前三つの都市に比べるとかなり毛色が違う。

 

リンヴルムは北側と東側を堅牢な壁に囲われている。その壁は他国などへの対策ではなく、街の北東方面に位置するレンオアム大森林に住み着く魔獣への対策の為だ。

 

この森に住む魔獣たちは好戦的な物が多く、度々街の近郊まで魔獣が現れる。またレンオアム大森林で確認されている植物や鉱物、そこに住む魔獣たちは様々な素材になるものが多いため探索者達が踏み込む事も多い。そのため、割とそこかしこで騎士団や探索者達と魔獣の戦闘が起こっている。らしい。

 

そんな場所だから探索者が素材集めや街の防衛の為の雇われ傭兵として結構滞在しているらしいけど、俺の目的は当然そんなところではない。

 

「こういうと街の方々には失礼かもしれないけど、言ってみれば観光だよ」

「観光? そういった目的だったら王都アストリアじゃない?」

 

まぁ、王都アストリアも候補ではあるんだけど。滞在費とか高くつきそうだから、現時点では外してるんだよね。

 

それに、アストリアだと建造物とかが目玉になると思うんだけど、それらがどこまで受けるかわからないからなぁ……ぶっちゃけ綺麗に整備された街並みとかだと逆にファンタジー色が消えて逆に地球の観光地みたく見えたりする可能性もありそうで……それでも受けはするだろうけど、大うけするかっていうと微妙。

 

それに対してリンヴルムの方は確実に視聴者受けする映像が撮れる訳で。

 

「俺らの世界では、魔物とかいないんだよ。まぁ動物はいるけど、そういったのも俺らの住んでた国だと普通に見かけるのは小動物くらいで大型の奴ってのはそれこそお金払って見に行くレベルなんだ。だからリンヴルム近辺で見れる魔物を映すだけで充分企画になる」

 

普段映すのが基本的に俺なせいで殆ど使っていない機能だけど一応カメラにはズーム機能もあるので、わざわざ危険地帯にいかなくても遠くから魔獣達を映す事は可能。以前話を出した時にでた死体とかが映ってしまうという懸念事項も、モザイクの要望が通れば解消される。

 

後はまぁ……回復能力とか<<ピュリファイスピリット>>で多少は仕事あるかも? って期待もあったり。

 

「というわけで、リンヴルムに行こうかと考えてます。それでご相談なんだけど……」

 

そこまでいって、おれは若干上目遣い気味に二人の方をそれぞれ見る。

 

『あざとい!』

『そういった仕草が自然に出てくるようになったあたり、師匠ポジとしては感無量な気持ちになる』

『もっと上目遣いに俺らの事を見てもいいのよ?』

 

視線を動かしているときに視界に入って来たコメントは無視して、と。

 

「相談? 何かしら」

「言ってみてー」

 

二人に促され、俺は言葉を続ける。

 

「そのですね、旅の護衛をお願いしたいというか」

 

最初の街からパストラまでは一人旅をしたけど、アストラ王国は海沿いの南方に比べて北方は丘陵地や森林が多いのもあり、治安があまりよろしくない。そもそもモンスターの類が多い上、平野が広がっている南方と違い強盗などの類も多いらしい。

 

さすがにそんな場所を一人旅するのは怖いよね。逃げる手段あるけどさ。

 

『カズサちゃんのエロ同人展開は見たくないなぁ』

『そのうちカズサちゃんのエロ同人は出そう』

 

ナマモノのエロ同人はやめろ。まぁ俺自身の目には入らないし、俺の姿は本来あっちの世界には存在しない仮想の存在のようなものなので、眼にする事でダメージを受ける人間はいなさそうだけど……

 

後テイルさんとアキラさん巻き込んだら絶対許さないからな。後で釘をさしとくか……

 

まあそれはおいといてとりあえずでも二人の前でエロ同人の話を進めたくはないので、そっちの二人の意識をエロ同人に向けさせないために話を続ける。

 

「駄目かな? ちゃんと報酬は用意……ってアキラさん!?」

 

だからアキラさんはなんですぐ抱き着いてくるの!?

 

「私はそもそも当面カズサちゃんと離れる気はないけど? カズサちゃんが覚える能力にものすごーく興味がある、というか今私が一番興味があるのがカズサちゃん関連だし、それに」

 

そこで彼女は一度言葉を止めて俺の体に回した手に力を籠める。

 

「こうやって可愛い反応を見せるカズサちゃんをこうやってぎゅーってするの私のマイブームなのよね」

『俺らにとってもマイブームです!』

『カズサちゃんアキラちゃんのお姉様って呼んでみない?』

『割としょっちゅう抱き着かれているのにいまだにびくんってするの本当に可愛い』

『アキラさんの抱き着き癖最高です。テイルさんにも抱き着いてもいいのよ?』

「というわけで、私は別に報酬はいいわよ? 勝手についていくだけだからね?」

「……でも、いいんですか?」

「構わないわよ。今は金銭的にかなり余裕があるし、仕事の予定もあるしね。あ、でも報酬が一つ欲しいなぁ」

「報酬? 何がいいですか? 出来る事ならやりますから」

『えっ、何がいいかな』

『RPのシチュ考えなきゃ……』

 

お前らにはいってねぇよ。

 

「それで、何すればいいですか?」

「簡単な話よ。私にもテイルちゃんみたいに話して? カズサちゃん私相手には話し方固いじゃない」

 

あー、まぁ確かに。テイルさんは日常生活でも一緒にいるし、年齢も年下なせいでフランクに話してたけど、アキラさんは出会いからお世話になってるし年齢も元の俺と同じくらいだから丁寧語になっちゃってたなぁ。

 

「テイルちゃんと三人で話していると、なんか私だけちょっと距離をとられているみたいで悲しいわ」

『実際の物理的な距離はアキラさんの方が近い事が多いけどね』

 

せやな。

 

「でもそんなんでいいんで……いいの?」

「いいわよー。あ、でも可愛くお願いしてくれると嬉しいな☆」

『さすアキ』

『ついていきますぜ、アキラの姉御』

 

可愛いお願いの仕方……ってどうすればいいんだ? まぁ以前リスナーにやらされた事があるオーソドックな奴でいいか。

 

俺は胸の前で手を組んで祈るような姿勢をとり、例によって上目遣いになるようにしてからアキラさんに告げる。

 

「アキラさん、私の事を護って。お願いします」

「はーい、お願いされちゃいまーす!」

 

軽。

 

 

 

 

 

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