お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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旅行特化能力

 

「ボクもカズサちゃんのお手伝いしたいけど……グウェンと相談しないとなぁ」

 

あっさりと同行を決めてくれたアキラさんと違い、テイルさんはその顔に悩みを浮かべていた。グウェンさんとチームを組んでいるテイルさんは確かに独断での決定はできないだろう。グウェンさんとテイルさんは別に俺だけの依頼を受けているわけではないので。

 

「この先いくつか仕事の予定もあるから難しいかも……せっかく仲良くなったカズサちゃんと離れるのは寂しいけど仕方ないか」

「まぁ別段今すぐパストラから出るわけじゃないから……」

 

まだ何回かは魔石集めを行って資金を集める必要があるからね。多分出発するのはどんなに早くても1ヵ月以上先になる。とはいえ、じゃあこの先の予定を開けといてくれというのも頼みづらい。

 

「うーん、上手く調整すれば向かう時の護衛はできるかな? でもリンヴルムまでだと早くても15日くらいかかるよね」

 

テイルさんの言葉に俺は頷く。グリッドからパストラまでの移動は一週間くらいかかったが、リンヴルムまでは倍を超える距離があるでの少なくともテイルさんが言ったくらいの日数がかかる。しかもそれは森や山岳地帯など魔獣や強盗などとの遭遇のリスクが高い最短距離を利用した場合だ。安全なルートを選べば更に日数がかかる。

 

だから例えばテイルさん達に護衛だけを頼んだとしても彼女達は往復だけで1ヵ月拘束されるわけで。

 

……さすがに何の保証も無しにそんな事頼めないよなぁ。

 

──なんて事を考えていたんだけど、次のアキラさんの言葉で全てが解決する。

 

「別に同行しなくても会おうと思えばいつでも会えるじゃない?」

「へ?」

「私とカズサちゃんが揃ってるんだもの、何なら毎日でもパストラに戻ってこれるわよ?」

「……あ、<<ポイントテレポート>>!」

 

俺の言葉にアキラさんがコクリと頷いた。

そうだよ、<<ポイントテレポート>>要員が二人いるなら、一人がパストラに設定しておいて、もう一人が進んだ場所に設定しておけば日帰りできるじゃん。

 

「まぁ実際は距離と運ぶ重量の掛け算で負荷が増えるから、リンヴルムの方まで近づけば日帰りっていっても毎日ってわけにはいかないけどね」

「でもそれなら、リスクの高い地域だけ護衛として同行できるね!」

「クアンドロ地下遺跡の時ではわかっていたけど、二人そろうとくっそ便利すぎるね<<ポイントテレポート>>使い」

「だから<<ポイントテレポート>>習得者は国やら組織から間違いなくスカウトくるけど、ちゃんと断るようにね」

 

アキラさんの言葉に俺は頷きを返す。

 

何せ<<ポイントテレポート>>使いがいれば要人をリスク無しの上時間のロスも無しで目的地へ運ぶことが出来る。先ほどアキラさんがいった通り運ぶ重量と距離の長さを掛け算で魔力消費するようになるため軍隊を運んだりはできないものの(そもそも術者が触れているものしか運べない)、それでも破格の性能だ。習得者が数少ない事もあり、国や大陸に広がる組織、大手商人などは高額報酬を払ってその人材を囲い込もうとするのは当然だろう。

 

ただその場合高い報酬と引き換えに、割と行動が制限されてしまう。雇い主が移動したいときにその場にいないとか論外だからね。いくらこちらのお金が溜まってもそれをMPに変換できない以上論外な選択肢である。

 

『でも瞬間で目的地に着けるっていいよなぁ。通勤がめっちゃ楽になる』

『帰路がくっそ楽になるから、遠出する俺はものすごくこの能力欲しい』

『カズサちゃん、こっちに戻ってきたら俺に雇われない?』

『〇〇君、君帰宅に時間かからないし残業余裕だよね? とかとち狂った事を上司に言われそうだな』

『便利能力持ちの美少女とか雇うのにいくらくらいかかるんですかね?』

 

まぁ移動時間カットは憧れるだろうなぁ。特に通勤に1~2時間かかっているならそうなるだろう。後なんか俺を雇おうとか考えている奴、俺がそっちに戻る時は元の姿に戻ってからだから美少女ではなくなっているからな?

 

そんなコメント欄に視線を向けていた俺の手が、テイルさんにぎゅっと握られた。

 

「良かったよ! せっかく仲良くなったのに離れるのとか寂しいし」

 

テイルさんはその表情に喜色を満面にて、そう言ってくれる。そこまでの反応を見せてくれると俺も嬉しい……というかちょっと恥ずかしい!

 

『カズサちゃんはこうやって勢いよくこられるとわたわたするよね。可愛いからアキラさんもテイルちゃんももっと勢いよくいって?』

『俺らもテイルちゃんと離れ離れにならなくて嬉しいよ!』

『せっかく始まった百合イチャイチャの片翼が無くなるのはこれで回避された……』

「? カズサちゃんどうしたの?」

「いえ……」

 

テイルさんに手を掴まれたままそっと体の位置をずらし、コメント欄がテイルさんの視界に入らないようにする。アキラさんは……今更見ても見なくても対してかわらない気がするしいいや……

 

「多分途中合流でいいなら多分護衛もできるから、後でグウェンに相談しておくね!」

「はいお願いします」

「しかし、リンヴルムへの旅って土地が平坦でもないし中々大変なんだけど、今回は楽な旅になりそうね? カズサちゃんの<<インベントリ>>があるから、荷物も最低限でいいし」

 

確かに。まるっきり手ぶらだとあれだから一日分の荷物くらいは街を出る時に持っていくつもりだけど、それも街を出たらしまっちゃえばいいもんな。ほんとさっきのリスナーの話じゃないけど元の世界で使えたら旅行が超楽になる能力だよ。

 

『でもあまりにヌルゲーすぎて、旅の光景としてはちょっと弱そう』

『旅行配信というよりは散歩配信みたいになりそう。しかも街の中と違って景色もほぼ変わらないっていう』

 

……移動中の映像、退屈なものにならないようにいろいろ考えようと思います。

 

 

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