『あー、確かにないと困るなそれ』
『え、もしかして下着とかも替えないの?』
「ないよ、今俺が持ってるものって今着てる服とジャケット、それに昨日作ったハンカチだけ」
ちなみにそのハンカチだけは、さすがに洗濯して窓の所に干してある。
『となると、昨日のパンツをそのまま穿いているのか……ゴクリ』
『変質者かな?』
『というかセクハラでは?』
「あー、別にいいよ、事実だし」
外見上はそうであっても中身は成人男性だ、別に繊細な女の子ってわけじゃないし多少の下品な発言くらいは気にしない。
「とにかく、服は最低限だな。それ以外は……」
住むところはしばらくこの宿屋を使うと仮定して、食もこの宿屋併設の食堂でなんとかなる。なので服を確保できれば、衣食住はとりあえずなんとかなったことになる。
現代社会で必需品となっている家電製品はそもそもこっちにはない可能性が高いから(昨日ちらっと見た限り、明らかにファンタジーっぽい街並みだった)ぱっと思い浮かぶこともない。
「……とりあえず状況確認してからかな」
まだこの世界の事が殆どわかっていないから、何が必要になるかもわからない。思い付きで適当なもの買っていざ必要な時にMP足りませんだったら話にならないから、不要な買い物は慎むべきだ。必要を感じたら随時購入すればいいだろう。
俺はすくっとベッドから立ち上がる。
「とにかく、服も買わないといけないし、今日はひとまず街に出て情報を集めるよ。とにかくこの世界の事がわからないとどうにも動きづらいし」
『そうだな』
『あ、でもその場合出来るだけ人の少ない所にはいかない方がいいかも』
「ん、なんで?」
『今の外見忘れないで』
『それにこれまで見た感じ、今カズサさんの着てる服多分上質っぽく見えてると思うんだよね。だから強盗とか気を付けないと』
「あー……そだな」
昨日は殆ど人自体にあっていないのもあってか危機感がたりてなかったけど、今の自分の外見を考えると狙われてもおかしくないか。それにこの世界は日本じゃないんだ、治安のレベルがどの程度かもわからないしちょっとでも危険そうな所には近寄らない方がいいな。
どうせ現時点では何もわかってないんだ、まずは安全に集められる情報だけでも、今日は充分だろう。
「わかった気を付ける」
『服を買い終わったら、最近この辺に来たばっかりっていって宿の人に聞いてみるといいかもね。ちょっとチップつければ教えてくれるでしょ』
「ああ、それがいいな」
コメント欄からの提案に頷いて見せてから、俺は立ち上がってハンカチを取る。一応持って行っていった方がいいだろう……そういや、これはまぁポケットに入れればいいけど、着替えを持ち運ぶのとかにバッグは必要になるな。それにお財布も……その都度必要分を換金するのもあれだし。あー、こうやってどんどん必要なものが出てくるんだな。
まぁ今はおかげさまで3万超えのMPがあるからそれくらいは大丈夫なはず……
『あ、それとカズサさん』
「ん、何?」
『情報集まったら、今日の夜作戦会議しましょうぜ』
「作戦会議って?」
『これからカズサさんがどうしていけばいいかって相談。昨日の連中も集まってくるし、みんなで知恵を出し合おう』
「お前ら……」
そこまで親身になってくれるのか。本当にいいリスナーを持ったよ、俺は。
「わかった。こっちは時間はいつでもいいよ、どうせ夜は何もすることないだろうし、コメント欄から声かけてもらえれば反応するから」
『了解ー』
「それじゃ出かけようか。カメラは前回と一緒でいい?」
『うん、安全を考えて後ろ映しておこう』
「おっけ、頼りにしてるよ」
さて、それじゃ街に繰り出そうか。