『いやぁ、今日は最高の配信だったよ、カズサちゃん!』
『アキラPが優秀すぎる』
『今日配信見れてなかった奴は、血涙流すだろうなぁ。切り抜き上がってくるまで耐えろ』
『切り抜きあがったらそっちループしちゃいそうだけど、そうすると絶好のシーン見逃しそうな不安がある』
『目が離せない配信で嬉しい悲鳴』
「……とりあえず楽しんでくれているようで何よりだよ」
結局あの後もアキラさんは同じような感じで街をいろいろ案内してくれた。距離感もずっとあんな感じだったし、最早俺以上にリスナーの事を理解しているアキラさんはリスナーが喜ぶようなことを所々で俺に対してやってきたので、とにかく今日はコメント欄が大盛り上がりだった。多分テイルさんとの三人のお泊り会以来の盛り上がりだったんじゃないだろうか。
──自分の手を見つめてみる。
あの後、アキラさんは結構な間俺の手を引いてくれていた。そのせいで、今もその感触が残っている気がする。頼りになるアキラさんだけど、武器とかを握るタイプじゃないからその手はすごく柔らかかった。
『あ、またむっつりしてる』
『きっと今カズサちゃんの頭の中は「アキラさん、しゅきぃ❤」ですね間違いない』
『カズサちゃん童〇だからあんな事されたらもしかしたら俺の事好きなのかも?ってなっちゃうのは仕方ないよ』
「んなこと考えてないからな!?」
アキラさんに好意を持たれているのは間違いないけど、その好意は"好奇心"と"いじりがいがある"のが大部分だろう。その延長戦上で"可愛い"と思われているのも間違いないけど、感覚としては初心な同性に対するものの感覚な気がする。いや、女の人が初心な同性に対して普通あんな感じになるのかはわからんけど。さすがにそれで勘違いする程チョロくはない。
てか毎回童〇いじりしてくるのやめろ。ぶっ飛ばすぞ。
まぁぶっ飛ばすぞって口に出しても、或いはカメラに殴る仕草しても喜ばれるだけなんですけどね……一番痛手を与えられ得るのはカメラに対して一切姿を映さないことだろうけど、俺の生命線に対してそんなことできるわけないわけで……俺の敗北は最初から決まっているのである。ちくしょう。
ちなみに今俺が居るのは自宅ではなく、宿屋だ。ここまでの移動では夜は自宅に戻って休んでいたんだけど、ここは比較的大きな街だし、アキラさん曰く「毎日日帰りだと旅行感まるでないじゃない?」ということで本日は宿を取る事になった。ちなみにこれは俺の要望できっちりお風呂の施設がある宿をとった。大浴場じゃなくて、共用のお風呂を時間で借りる感じの奴ね。お風呂は最優先事項ですよ。
『どうせなら一緒に入ればいいのに』
「出来るわけないだろ……」
『まぁそっちに関しては慣れるような事はなかったからねぇ』
この体になってもう大分立つのでもう女の体に慣れただろうと結構言われるが、確かに自分の体にはとっくに慣れている。自分の裸を見て何かを思う事なんてのはとうの昔に無くなっている。
が、他の人の裸は別である。
……だって、女の人との共同生活なんて殆どしてないし。
最近はテイルさんやアキラさんと一緒に行動する事があるけど、例のお泊り会を除けば一緒に寝るなんてことは殆どしていない。ダンジョンに向かう時は一緒だけどアレはなんか違うし、そもそも最初の一回以外は野営すらしてないし。
アパートメントは女性のみが住んでいるけど、あそこはそこまで住民同士で顔合わせる感じじゃないし。
……ぶっちゃけ他の人のを見ちゃったのって、事故ったテイルさんとのアレ……いや、思い出してはいけない。心の中でテイルさんに土下座。
とにかく、自分の体には慣れても女性の体に慣れたかと言われると微妙なのである。あと、感触は自分が同じような柔らかさを持っていようが押し付けられるのは違うのでやはり慣れない。
まぁ視界的な部分に関してはこれが例えば現代日本で今の状態になって、女子高生の中とかで暮らしていたんだったらとっくに慣れたと思うんだけどねぇ。日常的にその状態にならなければ慣れんて。
というわけで、勿論アキラさんとはもちろんお風呂も別である。ちなみに当然のように「一緒に入らないの?」と揶揄われたがスルーして先に入らさせてもらった。以前の温泉みたいに湯着を着て入るならいいんだけど、それだと体が洗えないしね。
いつか完全に慣れるようになるのかなぁ……意識が完全に女性になるか、頻繁にそういった経験をするようにならないとなかなか難しいと思うけど。20年程培ってきた感覚はそう簡単には切り替わらない。自分についているものだといっても、他の(しかもアキラさん達みたいな美人や美少女の)人のおっぱいが見えたらどうしたってエロい目で見てしまう自信がある。男の子(現女)だもの。
でもさすがに同室で寝るくらいなら慌てる事はないけどね。なので今回は同室である。
しばらくするとアキラさんもお風呂から上がってきて、そのまま寝る事になった。普段自宅にいる時よりはちょっと早い時間だけど、なんだかんだいって今日は昼間いろいろはしゃいでしまっていたので結構眠気が回ってしまっている。
日本側ではこれからゴールデンタイムだからお相手した方がいいんだけどね。このまま話しててもどうせ寝落ちしてしまうし、今日は同室にアキラさんもいるから彼女が寝るのに邪魔だろう。今日は日中にリスナーを楽しませることを(主にアキラさん主導で)沢山したので、まぁいいかと感じである。
「それじゃアキラさん、おやすみなさい」
そこそこ質のいいベッドに身を委ね、そのまま眠気に身を委ねることにする。今日はぐっすり眠れそうだ──なんと思っていたんだけど。
ふとすぐ側に気配を感じ、眼を開くと何故かアキラさんが自分の布団の中にもぐりこんで来ようとしているところだった
「ちょっとアキラさん、何しているんですか!?」
まだ俺の事攻め立てるつもりなの!? もう堪忍してぇ!