お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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第157話

 

「事前に掲示しておりました通り、この後は少し真面目な話になりますわ」

 

『あ、そのままのキャラで行くんだ』

 

いくぞー、受けがいいし。ネタ系に振り切れている感があって、妹ロールプレイとかに比べると全然メンタルに来ないし。

 

『ポンコツ風味がカズサちゃんに合っていてハマりキャラだよね』

 

うるせえよ。

 

ポンコツポンコツいうけど、最近の俺はそこまでポンコツじゃねーだろーが。初期の頃はいろいろと否定できない部分があったのは認めるけどさ。

 

まぁすぐ側に出来る女代表格のアキラさんとかいるので、自分が出来る女(男?)なんて自惚れるつもりはないけども。

 

……あーもー、コメント欄を見ると思考が脱線するな。話を勧めよう。

 

「この城塞都市にやってきた理由は皆さんご存じですわよね?」

 

『観光旅行』

『アイリーンちゃんに出会う為!』

『森の中でのカズサちゃん達のグラビア撮影のためだったと記憶をしています』

 

コメント欄が見当違いな事を言ってくるが、わざとぼけているのは勿論こっちも理解しているので軽く流す……最後の奴は自分の記憶を都合よく改ざんするのをやめろ。

 

『わくわくモンスター観察』

「そう、ファンタジー世界ならではのモンスターや動物を皆に見せるためですわ」

 

ちゃんとした答えを書き込んでいるコメントもあるので、それを拾い上げて言葉を続ける。

 

大抵の人間はちゃんと知っていると思うが、続々と登録者が増えている中ちゃんとはしらない視聴者もいるだろうからあらためて説明する。

 

うちのチャンネルの大きな売りは二つある。

 

一つは俺という美少女を二十四時間休みなく映し続けるという、現実世界では絶対とはいわないけどほぼ無理な配信だ。定点カメラとかなら出来るだろうけど、外出時も常に映し続けるとかまず無理だろう。しかもそこに映り続けるのは滅茶苦茶美少女の俺! いつ見に来ても会える美少女をコンセプトに配信させて頂いております。一応風呂とかトイレとか着替えみたいなセンシティブな部分は映さないけどな。

 

そしてもう一つがこの世界そのものだ。例えば獣人みたいな亜人(ケモナー向け)や魔法、現実世界とは趣の異なる異世界の建築なども視聴者にとっては当然大きな興味の対象となる。モンスターも同様だ。

 

俺達が住んでいる港湾都市パストラは港町だけあってさまざまな人種が街中を歩いているし、いろいろな文化の商品も街に溢れかえっているから配信向けの街だ。とはいえあそこに住み着いてすでに数か月が経過しており、大半の部分は配信してしまって目新しい部分は少なくなってしまった。

 

だからこそ、映ったらヤバイものをモザイクできる機能が追加されたこともあり、新たなる被写体を求めて様々な動物や怪物の住む森と隣接しているこの城塞都市までやってきたんだけども……

 

 

「えーっと、これから話したいことは、配信を見ていてくれていた人にはもうわかっていると思いますけども」

『まぁアイリーンちゃんの話聞いた時点で、予測はできたよねぇ』

『主目的が潰れたのは痛すぎ』

『仕方ないのはわかるけど、困ったよね』

 

うちの配信は基本何でも映しているので、俺が答えを云う前に「その当時の配信」を見てくれていたリスナー達がそうコメントする。まぁ当然見ていない人たちには意味不だろうからちゃんと説明はするけど。

 

「先日、わたくしたちはこちらの街のギルドの方に、森の方の散策をする事について確認をしに行ったのですわ」

 

レンオアム大森林は広大で、様々な生物が生息している。その分布箇所はある程度事前学習済みではあるけれど、わりと頻繁にその分布は移り変わると聞く。あの森は資源の宝庫でもあり採取の為に立ち入る人間も多いことから、危険を避けるためにそういった情報はギルドに集まっているハズなので、その情報の入手に行ったわけだ。まぁ俺達の場合は危険を回避するためというよりは、"絶好の撮影ポイント"を探すためになわけだけど。

 

まぁあと本来は当面この近辺で活動するにあたり顔を通す目的もあるけど……こちらは、王城の件で情報の仲介をお願いした事もあり、あまり意味はなかったと思う。なので、先の部分が主目的だったんだけど──

 

「その結果、今森が基本的に立ち入り禁止になっているのが発覚したんですのよねぇ……」

 

頬に片手を当てて、ほぅ、と息を吐く。あれ今のこの仕草結構様になってたんじゃね? そう思ってコメント欄に視線をちらっと向けたら特に反応はなかった。なんでだよ、いつもはちょっとした仕草で過剰反応してくるのに……

 

まぁそれはさておき、これは困った状況である。ここまで時間をかけてやってきた主目的が潰れてしまったわけなので。

 

森の方に立ち入って映像を収められなければ、リンヴルムまできた意味ってほぼなくなるんだよなぁ……観光都市ではないから街の中ではそれほど珍しい所はないし。騎士団とかはパストラに比べて立派ではあるけど、彼らを被写体にして配信のネタにするのはせいぜい一、二回が限度だろう。しかも実際の番組とかと違って取材させてもらえるわけでもないから隠し撮りになるし。それ以外で目新しいところって街を囲う立派な城壁くらいしかない。

 

こうなった理由は、先のアイリーン様達の一件が関係している。彼女達があの時あの場所にいたのは、本来森の奥深くにいるハズの危険な魔獣達が森の外周部分までやって来たからだ。──何かに追い立てられるように。それらは森の外周部分では収まらず人の生活圏まで入り込んできそうだったのでリンヴルムの騎士団が出撃し討伐を行った。アイリーン様たちがあの場所までやってきていたのはその騎士団の防衛網を突破し、リンヴルムではなく守りの甘い別の村まで向かう可能性があった魔物たちを追跡するためだった。

 

その討伐自体はひとまず済み、直近ですぐ人里への襲撃が発生する可能性は低くなったが……魔獣達の分布は大きく変わったままのようだ。人里までやってくることはないものの、その縄張りに踏み込んでしまった場合は危険度の高い種の魔獣、動物が外周部に生息域を移してしまったらしい。その結果、本当に一番の外周部を除いて基本的には立ち入り禁止となり、その先に進むのは許可が必要となってしまっているのだ。

 

理由で「配信の為」とか向こう側には意味わからんだろうしなぁ……

 

実力があれば問題ないのでは? という意見はコメント欄は当然でた。うちにはパストラでも上位クラスのアキラさんがいるし、グウェンさん達も実力者。更に<<ポイントテレポート>>で緊急回避も出来る。余程の事がなければなんとかなるとは思うけど……どうも当事者の安全という面だけではなく、魔獣達を刺激してしまう事によりそれこそ防衛網を張れる以外の場所に魔獣達が移動してしまうリスクも想定しているようだ。

 

一応現在今回の移動が起きた理由や生息の調査が行われているため、今後散策可能となる範囲は広がるとは思う。それまではパストラに戻ってこれまでと同じような配信を続けるって手もあるけど、散策可能になるのがいつになるか不透明だしなぁ。リンヴルムに<<ポイントテレポート>>を設定した場所だと日帰り移動ができないから、別の場所にも行きづらいし。かといってそれなりのに数をかけてやってきたリンヴルムを取りやめにするのは悩みどころ。

 

まぁこういう場合はやることは一つ。

 

「というわけで、皆様方。この先どうするか、ご相談ですわーっ!」

「なんで最後声はり上げて伸ばすのかしら?」

 

俺のお嬢様(ネタ系)のイメージがそういう喋り方をしてるからです。

 

 

 

 

 

 

 




間が大きく開いてしまって申し訳ありません!
仕事が忙しかったことと年末風邪をひいてしまいダウンしていたため、執筆が滞っていました。

更新を再開しますのでよろしくお願いいたします。
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