お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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運動不足ではない。決して。

 

とりあえず、グッズの件に関しては応答待ち。多分しばらくは掛かるだろう。なので、今はもう一つの方を進めていく。いやグッズに関してはやる事になっても俺がやれることなんて特にないんですけども。

 

んで、もう一つの方だけど、リンヴルムに戻って早速動きだした。具体的にいうと探索者ギルドにいって、レンオアム大森林の調査ミッションの受注なんだけど……これはあっさり受注できた。

 

ぶっちゃけアキラさんの名前が売れてたのが滅茶苦茶でかい。まだお若いのにマジスゲーっすアキラさん、リスペクトっす! ……いやなんかこれ馬鹿にしているように聞こえるな? 真面目にすごいと思っているのは勿論なんだけどね。

 

後グウェンさんとテイルさんのランクも高いことや<<ポイントテレポート>>保有者であることも影響して、調査範囲の中でも特に森の奥に進む部分のミッションを受ける事ができた。

 

正直これに関してはありがたい。奥の方がいろいろな生物が見れるだろうからね……多分。多少の怪物なら充分(アキラさん達が)対処できるし、ヤバそうな奴が出てきた場合は<<ポイントテレポート>>で一気に退避してしまえばいいし。俺達が受ける依頼はあくまで調査なので、無理して戦う必要がない。

 

というわけで早速受注した翌日には俺達は森に向かったんだけど……

 

「……密度やばすぎだろ、これ」

 

息を切らしながら、薄暗い森の中で俺は泣きごとを漏らしていた。

 

太陽の位置や、森の外周辺りにマーキングしてきた感知術式を利用しつつ俺達は森の中を進んでいるわけだが……とにかく木々や植物の密度がヤバイ。アマゾンのジャングルかよって感じだ。いや、勿論アマゾンなんて俺は行った事はないけどな?

 

レンオアム大森林はリンヴルムに向かう途中でもお姫様たちを助けるために森の中に踏み入れているけど、あそことも比べ物にならない。外周部分はそれでも恐らく猟師や素材集めの探索者達が作ったであろう道らしきものがあったけど、ある程度奥まで進むとそういった道も見当たらなくなってしまった。その結果、とにかく歩きづらくてしかたない。地面は根が張り出しているだけではなく、さまざまな植物や木に絡みつく蔦などで入り組んでおり正直何度転びそうになったかわからなかった。その度にテイルさんやアキラさんに支えてもらって申し訳ない。

 

ちなみに俺以外の三人は大き目のナイフを片手にわりと簡単に歩いているように見える。少なくとも俺みたいに息を切らして汗だくになっているような事はない。

 

「大丈夫、カズサちゃん。ちょっと休憩する?」

 

少し木々が切れて日が差している場所に出たところでテイルさんが覗き込んでそう聞いてきたので、俺は素直に頷いた。こういったところで無理をするのは逆に迷惑をかけるからな……いざという時に動けなかったりして。

 

「ここ座って。ほら、おみず」

 

アキラさんが俺の手を取り、大きな張り出した根が丁度椅子のようになっている所に導いてくれる。それに素直に従って腰を降ろすと、渡された水筒からごくごくと水分補給をした。

 

「んっ……はぁ」

 

あー、水が美味しい。それから一つ深呼吸をして落ち着くと、途中から見る気力が起きなくて相手にしていなかったコメント欄に目を向ける。

 

彼らの事は移動中余裕がなかったせいでほぼ放置してしまっていたんだけど、

 

『水筒とかからごくごく水を飲む姿って色気を感じるよね……』

『これ、荒い吐息とか切り抜き素材大量確保で動画職人大歓喜では?』

『汗だくのカズサちゃんの姿、神々しすぎない?』

『グッズ……カズサちゃんの汗……閃いた』

 

よーし、いつも通りだな? 今の所取れ高になるような生物は映ってないし、俺も殆ど喋ってないのに楽しそうにしてくれてるならもういいよそれで。ただ最後の奴は通報な。

 

うちのチャンネル、変質者(暴言)多いから一般リスナー増えにくいんじゃなかろうか。いや、相変わらず登録者は増加傾向何だけどさ。何より今更感がつよい。今から対処してもきっと手遅れだろう(トオイメ)

 

まぁそれはさておきとしてだ。疲れた、マジ疲れた。こっちの世界には自動車や電車は当然ないわけで馬などを使わない限りは当然歩きの移動になる。こちらの世界に来てからは徒歩移動が多く、地下遺跡みたいに動きづらいところも経験したと思ったんだけど……ここを進むのは明らかに普通に歩くのとは違う筋肉の使い方をしている気がする。そのせいで、すでに筋肉が張っている気がして仕方ない。

 

「これ明日は筋肉痛確定かなぁ」

 

ズボンの上から腿を揉みながらそう呟く。リンヴルムに戻ったらゆっくりお風呂であったまりたい。汗も滅茶苦茶かいたし……コメント欄が過剰反応しそうだからこれは口には出さないけど、下着まで濡れてるので正直ちょっと気持ち悪いんだよね。まぁこんなところで着替えるわけにもいかないから我慢するけど……

 

「帰ったらマッサージしてあげよっか?」

「場合によってはお願いするかもー……」

 

俺の呟きを拾ったらしいテイルさんがそう言ってくれたので、賛成よりの回答を返して置く。今の状態ならまだ大丈夫だと思いたいけど、今回は調査の仕事でもあるので帰りは<<ポイントテレポート>>でバビューンってわけにもいかないんだよね。ようするに帰りも歩きです。明日地獄みそう。用事ないから自宅でごろ寝できるからいいんだけどさぁ。

 

『当然そのマッサージ風景も配信されますよね?』

 

……変なマッサージじゃないからな?

 

『明日カズサちゃんが筋肉痛で死んでたら、アキラさんには足とかツンツンして欲しいなぁ』

「承ったわ」

「やめて!?」

 

なんでそんな酷い事いいだすの! アキラさんもいい笑顔で頷かない!

 

あー、もー、これアキラさん絶対やる事に決めたって時の顔してるよー……これ明日には出来るだけダメージ残さないように対策しないとあかんかもしれん。

 

「なんなら帰りは俺が抱っこしていこうか?」

「いや、さすがに申し訳ないというか……」

「冗談だ。なにより俺が抱えるよりテイル辺りが抱えた方がリスナー? とやらは喜ぶだろう」

 

あ、グウェンさんもそういう冗談いうんですね。というかグウェンさん基本的に配信にはかかわってきてないけど、ウチのリスナーの傾向はばっちり抑えてるんですね……

 

「まぁそれはおいといてだ。水の音が聞こえるから目的地が近いから、少しは安心していいぞ?

「え、本当に?」

 

言われて耳を澄ましてみる。

 

……いや、聞こえないって。風邪で木々が揺れる音と何かの鳴き声くらいしか聞こえないっスよ。

 

「あー、確かに聞こえるね~」

「そうね」

 

俺と同じように耳を澄ませた二人には聞こえたらしい。なんで? 何かの術を使っているのかと聞いてみたけど特に使ってないとのこと。やっぱりこれも経験の差? それとも三人が特別耳がいいだけなのかな……

 

 

 

 

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