お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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一連の出来事の終わり

 

「ふう……」

 

不必要なムーブをしてしまったが……まぁリスナーに受けたからよしとしよう。ただこういうムーブは意識的にやるものであって、無意識に出てしまったのは本当によくないが。

 

結果として、追加で飛んできたスパチャの力により"門"は完全に閉じられたわけだ。表示からも完全に消えたし安心していいだろう。これで今回の一連の出来事も一段落かな。新しい何かを示す情報もないし。

 

「カズサさん。終わったのか?」

「あ、はい。"門"は完全に封鎖できたみたいです」

 

俺の態度と穴の状況から、事が済んだと判断したんだろう。アイリーン様が声を掛けて来たので頷きと共にそう返すと、彼女はそのままこちらに身を寄せてきた……いや、違うな。コメント欄を覗き込んできたようだ。

 

「……先ほど流れた色付きのコメントは、すぱちゃという奴だったよな?」

「はい」

 

当然以前のアイリーン様を含めた配信の際に、スパチャやこのスパチャによって投げられたあちらの世界のお金が俺の力になっている事は説明済みだ。

 

頷いた俺の反応を確認すると、彼女はカメラの方へと向き直った。そして胸元に片手を当てて、口を開く。

 

「てんどんさん、ユーリスさん、ぎんじさん──それにこれまで力を貸してくれた皆さん。カズサさん達、そして貴方達のおかげでリンヴルムは危機から救われた。本当にありがとう」

 

うわ、結構コメント早い流れだったし少し離れた所で見てたのに名前まで完璧に確認できてたんだ。さすがの動体視力。

 

ちなみに、金髪の美少女、しかも本物のお姫様という日常生活では画面越しでも会うなんてことはありえない存在である(いや、それを言ったらそもそも異世界からの配信自体がありえなくはあるけども)アイリーン様に直接お礼を言われたのである。当然コメント欄の流れは爆速になった。

 

『わぁい、アイリーン様にお礼を言われたぜ』

『アイリーンちゃんいい子すぎる』

『お姫様に名前を呼ばれただと……俺この部分切り抜いて家宝にするわ』

『くっ、俺も投げていれば……!』

『カズサちゃんの投げキッスにアイリーン様の名前呼びとか、アタシ明日死ぬかも』

 

死なないで。ちなみにアイリーン様は前回の体操服配信の時もきっちりリスナーに対してお礼はいってくれてます。そん時はすげぇ飛んでたし、全体向けであって個別ではいってないけどね(ウチは全部のスパチャ読みはしないって明言してるし)。

 

アイリーン様は爆速になったコメント欄に一瞬ひるんだような反応を見せたけど、すぐにもう一度小さく頭を下げてからコメント欄には背を向け、同行した騎士と魔術士と話し始めた。まぁさすがにアイリーン様に関してはリスナーは諦めて欲しい。多分今後がっつり俺の配信に登場する事もほぼなくなるとは思うし。今こうやって一緒にいて親しくしてもらってるけど、本来はちゃんと身分の差があるし、今回の一件が片付いた以上彼女が俺の配信に出る理由がないからね。

 

「カズサさん」

「あ、はい。なんですか?」

 

部下達と何やら言葉を交わしていたアイリーン様が、話し終わったのかこちらを向いて声を掛けて来た。

 

「一応こちらの方で数日の間、先ほどの穴が再度発生していないか確認は続けておこうと思う。申し訳ないが、貴方の方でも発生を確認したらこちらに連絡をくれないだろうか」

「あ、はい。大丈夫だよね?」

 

急ぎでリンヴルムを離れなければいけない用事はなかったはず。念のためアキラさん達に視線を振ったら三人とも頷きを返してくれたので、俺は改めて「大丈夫です」とアイリーン様へ言葉を返す。一応レーダーには表示されなくなったから大丈夫だと思うけど、念には念を入れてということだろう。何せ俺達にとっては完全に未知の事象な訳だしな。

 

──その後、<<ポイントテレポート>>でリンヴルムの街へ帰還した後に、いくつか話し合いを行い解散となった。

 

一緒に配信を行ったためか、勝手に仲間意識みたいなものをちょっと持ち始めてしまっていたんだけど、今後扉が再発生しない限りがこれでお別れかなーと考えるとちょっと寂しい気持ちもある。

 

……なんてことを考えてたんだけど、普通に状況が落ち着いたら連絡をすると連絡先を確認された。

 

そしてそんな事を考えていたと皆に話したら、そろってちょっと呆れらた目で見られた。今回のレベルで関わっておいて今後国からの関与がないのはあり得ないと。情報は出来るだけ秘匿してもらっているとはいえ今回の一件に関わって俺の能力を大なり小なり知っているのは二桁をゆうに超えている上に、他国まで絡んでいる以上国の上層部には確実に伝わっているので、ある程度のコンタクトは避けられないとのこと。多分一回くらいは王城に呼び出されるくらいは考えておいた方がいいって言われた。おおっぴらには出来ないとはいえ褒美もあるだろうしって。

 

……いや、だって、俺元々ただの小市民だもん。そんな重要なポジションになったことないから、そんな事に考え至らないよ。

 

いや、カシュナート様とかアイリーン様とかに能力を開示する際にある程度名前が知れ渡ること、それに伴う面倒毎が生じる事に関しては一度覚悟は決めているけどさ、それから特にそういった話が出てなかったから頭からすっとんでいたというか。

 

まぁアイリーン様もカシュナート様も妙な事にはならないようにするっていってくれてるし、大丈夫。というか俺も「王城の中に入れるかも! 王城観光SPとか企画配信してMP集めるか!」くらいの気持ちでいないと!

 

……。

 

……。

 

むりぃ~、やっぱり骨の髄まで小市民なんだから、今回みたいにドタバタの中で出会って、でっかい都市の庁舎くらいの中の客室で会うくらいならまだしも、王城とか絶対落ち着かないって!

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