お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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生理現象

 

さて、これで一通り今いじれる所はいじった気がするけど。

 

「これからどうしよう……?」

『俺らに言われても……』

『状況わからんしなぁ』

『とりあえずその状況把握の為にも周囲散策してみたらいいんじゃない』

「それしかないかー。あ、カメラどうする? 進行方向移せばいい?」

『カズサさんうつしてー』

『正直周囲の景色平坦すぎて眠くなりそうだからカズサさん映そう。それにそうすれば俺らが後方チェックできるし』

「ああ、成程」

 

何かの見落としとか、後方に何か現れたのに気付いてもらえるな。そうしよう。

 

俺はカメラを手に取ると、自分の前方に、大体バストアップくらいの表示になるように配置する。ちなみにこのカメラ、俺の動きに追従するようだ。この辺もVRCと一緒だな。

 

「それじゃ行きますか」

 

そう口にして、俺は歩き出す。目標は……対象になりそうなものが何もないので、ひとまずは林を出る方向へ向かって歩くことにした。

 

◇◆

 

「……何もねーなー」

 

それから大体15分程歩いてみた。林は出たが、目の前に広がるのは草原と小山。今の所人工物らしきものは一切目にしていない。

 

『鳥となんか小動物っぽいのは見かけたぞ』

「……とりあえず生き物がいるのは解ったな」

 

でもできれば言葉が通じる相手にあいたい。いや、言葉が通じなくてもいいから人に会いたい。

 

『目の前にある小山に登ってみようぜ。高いところにいけば周囲も確認できるし』

「それしかないか。でもちょっと待って」

『どうしたの?』

「あー、うん、なんというかー」

『はっきりしろ』

「……歩いてたらもよおしてきた」

『!?』

『!?』

『!?』

「おいやめろ」

 

生理現象なんだからしかたないだろー。というかちゃんと生理現象くるんだな、この体。

 

『まわりに人の姿ないんだろ? そこでしちゃえばいいじゃん』

『立ち……いや無理か』

 

やったことないからわからんけど、なんとなく大惨事になりそうな気がするな。とはいえ、近くに建物なんざ一切ないし、それしかないか。いや立ってはしないけど。

 

「しゃーない、それじゃ一回配信切るわ」

『あ、それやめておいた方がよくない?』

「なんでさ」

『もし配信切って、再度配信始められなかったらヤバくない?』

「さすがに大丈夫だろ」

『でも万に一つを考えるとリスクじゃね? MPが獲得できなくなるわけだろ』

 

……そういわれると、切る勇気が湧いてこなくなるな。MPもそうだけど今の状況でコメント欄とのやり取りができなくなるのもいろいろとしんどい。やむをえないか。

 

俺は配信を切るのを取りやめると、カメラのUIを確認する。……よし、あったあった。これを操作して、と。

 

『あれ、映像動かなくなったぞ?』

「カメラ固定した」

『どぼじでそんなひどいことするの!』

「するに決まってるだろアホたれぇ!」

 

トイレしている姿なんて映すわけないし、大体そんなもの配信したらBANされかねないだろ!

 

まったく……

 

「ちょっと離れた所でするから、しばらく待っててくれ」

『致し方なし』

 

コメント欄をみつつため息をついて、周囲を見渡す。姿をがっつり隠せそうな場所はないが周囲に人影はないし、膝の高さくらいまでの茂みならある、そこでいいか。

 

……あー、今の体男じゃないからパンツ降ろさないとだめか。

 

……

 

うん、こんな所モデリングした記憶ないんだけど、ちゃんとあるな。ないともいえるが。

 

えーと……まぁこの体勢ですればいいよな?

 

……

 

……

 

……

 

「……おーい」

『どしたの死にそうな声出して』

「困ったことになった」

『どしたん』

「……拭くものがない」

『え、大きい方だったの?』

「違ぇよ! そうじゃなくてな、このまま穿くとパンツ濡れちゃいそうでな……」

『あー、あー、そっか』

『そこいらの草で拭けばいいんじゃね?』

 

見回してみるが、周囲にあるのは細く伸びた草だけだ。というか草じゃ満足に拭けないだろう。今の手持ちは来ている服だけで、使えそうなものはない。マジでどうしよう……このまま穿いて我慢するしかないか?

 

『さっきのアイテム制作で手ぬぐい作れば? カズサさんならすぐ作れるっしょ』

「そ・れ・だ!」

 

俺は即座にメニューを操作すると、アイテム制作のアイコンをセレクトする。

 

そして起動して来たマウスとキーボードに手をかけ……ふと思った。

 

「なんで俺、下半身丸出しのままモデリング始めようとしてるんだろ……」

『そこで正気に戻ってはいけない』

 

そうだな、必要な事だもんな。

 

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