お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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リスナーは巫女服姿が見たい

 

朱に染まった顔の色がひくまで、しばしの間話は中断した。

 

気を落ち着けようとしても、視界に映るコメント欄からの"攻撃"が収まらなかったので中々落ち着かず、最終的に俺は一時的に席を外して顔を洗いに行くという手段を取る事になった。

 

俺は当然ノーメイクなので、化粧がどうのこうのは気にする必要がない。というか洗顔程度じゃメイクってそうそう落ちないのかな? よくわからんけど。

 

ちなみに以前ノーメイクだって事を話した時、女性(らしき)リスナー達が「え、それでノーメイクなの? 本当に? 嘘ぉ……」となぜかショックを受けていたようだが、今の俺は自作アバターが元になっているわけで自然の物とは言い難いから、それに対してショックを受ける必要はないと思います。

 

それはさておき。

 

「脱線した話戻すけど。とにかく引っ越しはしようと思うんだよ。今回の一件でこっちの現金に大分余裕が出来たから、チャンスでもあると思うし」

 

水で顔を洗って物理的にも冷えたことでようやく顔の色も引いてくれたので、ようやく俺は元の話に軌道修正することができた。(まだ一部"攻撃"が来てたけど、一度落ち着いてしまえばもう大丈夫なのでスルーだ)

 

『引っ越しなぁ。行き先の案があるの?』

 

勿論ある。というかコメント欄の皆はせいぜい俺が調査をするときに一緒に聞いてたり見ていたくらいしかこっちに関する知識はないわけで、ようするに俺以上の知識を持っている人間は間違いなく一人もいない。だから俺から掲示するしかないわけで──

 

『そうしたらやっぱり北の方にいく事になるんかね?』

「え。なんで北?」

『話だと、北の方に今回のレイスみたいな幽霊系の怪物多いんでしょ? <<ピュリファイ・スピリット>>で無双できるじゃん』

『現地通貨稼ぎ放題って寸法よ』

『あと正直申しまして拙者カズサさんの巫女姿みたいで候』

 

なんかコメント欄に武士がいるんだけど。

 

まぁそれは置いといて、俺はコメント欄からのその提案には首を振った。

 

「北方はないよ」

『え、なんで?』

『巫女服は?』

 

疑問を呈する声が次々と上がる。まぁ異世界転移にありがちなのに俺がまるでできていないチート無双をみたいのかもしれないが……理由としてはいくつかあるんだけど、最たる理由はひどく単純なものである。

 

「ぶっちゃけ遠い」

『遠い?』

「単純に距離がくっそ遠いの。更に途中に山脈挟んでるらしくてさぁ……馬車で移動しても一か月以上かかる」

『マジすか』

『それは……さすがに厳しいねぇ。あらゆる意味で』

「うむ」

 

こちらの世界には当然新幹線や飛行機なんてものはないわけで、基本的には長距離移動する際の足は馬車や馬となる。一応長距離移動の手段として転移装置もあるらしいんだが、これは費用がくっそ高い上に身元がしっかりしていないとそもそも利用できないので早々に選択肢から除外だ。

 

そしてそうなると、長距離移動にはかなりの時間がかかるわけで……馬車は乗り合いのものを使っても当然費用はかかるし、それじゃ歩いていくにしても移動中の旅費はかかる訳で。いくら結構な額の現金収入が見込めているとはいえ数十日レベルはつらい。それに移動中はひたすら歩いているか馬車で移動している配信となるわけで……車窓動画みたいな風にしたとしても、微妙だろう。

 

更に、理由は他にもある。

 

「距離以外の面でみてもさ、北方は浄霊術式使える人間は他にもいっぱいいるし、<<ピュリファイ・スピリット>>はそもそも初級の浄霊術だから、効かない相手もいるらしいよ。なんで無双は無理だなぁ」

 

レイスの上位種であるスペクターとかは、更に高位の浄霊術じゃないと欠片も効かないって話だ。

 

「というわけで、北方は無しです」

『聞く限り、それしかなさそうだねぇ』

『いくのに費用が大分かかるのに、それに対してリターン少なくなりそうだしなぁ』

『うう、巫女服……』

 

そんなに巫女服好きか。

 

俺はため息を吐きながら、口にする。

 

「別に巫女服位、北方に行かなくても着てもいいけどさ」

 

セーラー服とかに比べればあれただの袴みたいなもんだし、着る事には殆ど抵抗はないし、

 

『マジで!? ミニスカ巫女服着てくれるの!?』

『ひゃっほう、言質取ったぜ!』

「おら待て! どっからミニスカが出て来た!」

 

俺は相手の肩を掴むようなイメージでカメラを掴むと、思いっきりジト目を向けていってやる。

 

「いいか? ミニスカの巫女服なんてものはこの世に存在しない」

『で、でも』

『ゲームとかではよく見るし……』

「それはゲームの話であって、現実には存在しない。いいね?」

『あ、はい』

『わかりました……』

『ごめんなさい……』

『その視線で言い聞かせるように言ってくれるのめっちゃいい……』

 

どんな行動しても誰かの性癖に引っかかる状況、なんとかならん?

 

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