お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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一万人(を大分超えた)記念配信⑦

 

「皆がすごい喜んでくれる企画ではあるから、やるけどね」

 

これまでやってきた中では一番受けが良かった企画だ。しかも誰にも迷惑をかけるわけではないから、配信者とかしてはやらざるを得ない。いや以前のように利益とか求めてない完全趣味配信だったら絶対にやらんけど。

 

でも、欲しいもの言ってみな、か……。

 

「……実はさ、<<ポイントテレポート>>の他に欲しい能力があるんだけど、言ってみてもいいかな? <<ポイントテレポート>>よりもコスト重いんだけど」

 

実は図書館でいろいろチェックしていて、一つ気になった能力があった。使いこなせればかなり有効なのではないかと思う事と、あと実はパストラの近辺でとある事に非常に有効に使える可能性が高かったのだ。<<ピュリファイ・スピリット>>などの対霊術式と同様にレア能力らしく、獲得コストが非常に高かったので当面は獲得も無理だと思って諦めてたんだけど──目標の一つとして挙げておくのはいいのかもしれない。

 

『え、何々』

『<<ポイントテレポート>>より上? となると40万以上か』

『まさかの100万超えとか』

「いや、そこまでは高くない。50万」

『ちょっとだけ上か。それでも高いけど』

『もしかして<<ピュリファイ・スピリット>>の上位呪文とか?』

「いや、系統は違う。<<ディスインテグレイト>>って能力なんだけど」

 

能力の名前をいったら、ちょっとコメントの流れが遅くなった。恐らくあまり普段聞かない言葉だったからだと思う。これまでの能力は大体わかりやすいキーワードが入ってたりしたからね。ただなんでかわからないけどこっちの能力は英語ベースで命名されているので、視聴者数千人いる今の状況だとすぐに気づく人間も出てくる。

 

『なんだろ、その能力?』

『直訳すると、崩壊とか分解って意味だっけか?』

『分解……相手の体をバラバラにする能力?』

『ヒェッ』

『R18G始まっちゃう!』

『R18Gで収まる話か?』

「いやそんな恐ろしい能力取る訳ないだろ!?」

 

間違いなく配信停止になるだろうし、例え配信停止にならなかったとしても視聴者ドン引きだろう。何より俺がそんなぐろい絵面見たくない。

 

 

「そうじゃなくてな、この能力の対象だけど魔力なんだよ」

『ほっ。カズサちゃんが闇落ちしたわけじゃなかった』

『魔力を分解しちゃう能力って事?』

「ちょっと違う。ほら、図書館での配信を見ててくれたメンバーには、こっちの能力をどう発動しているか話したろ?」

 

基本的に図書館で手に入れた情報は口頭でリスナーに情報連携している。当然その時に視聴していなかった人間には伝わってないかもだけど、どうやら聞く話だと俺に関する情報のWikiが作成されているらしく、今の俺の言葉を聞いて何人かが『ここ参照!』とリンクを貼ってくれている、ありがたい。その都度説明とかできないからね。

 

「説明した通り、この世界の術は魔力を練り上げて作られている。その魔力をなんというかな……解く感じ? っぽい」

『あー、魔力を消すんじゃなく、編み上げた魔力を解いて術として効果しなくしちゃう感じか』

「そうそう」

 

魔力自体を消すのではなく、要は魔力という糸を複雑にくみ上げて作られたものを解くことで機能しなくする感じだ。

 

『えー、そしたら無双できるじゃん?』

『相手の能力抑えた上でこっちが強化すればいけそうだな? TS美少女異世界無双冒険譚はじまっちゃう?』

「いやそこまで便利じゃないよ」

 

俺はこの能力のデメリットを説明する。

 

まず大前提として、この能力は対象指定ではなく、場所に対して使用する。そのため効果は自分に対しても適用されてしまい、例えば相手の能力を封じた上でそこに攻撃術をぶちこんでも同様に無効化されてしまう。まぁ能力に依存しない飛び道具の技術を身に着ければある程度は無双できるかもしれないが。

 

それから、さすがに無条件にすべての能力を無効化できるわけじゃない。相手の技術レベルが高く精度が高い術だと完全には無効化はできない(それでも弱体化はさせられるみたいだが)。後自身の体に直接適用させる術に関しては、効きが薄いらしい。

 

『あれ? でもそしたら、あんまり自衛の為には役に立たないんじゃ』

『こっちだけ強化できたり攻撃できないんじゃ、近づかれたら結局アウトなんじゃ?』

『……いや、これやりようかな。こないだの温泉で使われた蔦みたいな奴の捕縛術が無効化できるし』

『あ、そっか。<<テレポート>>使う前に使っておけば、相手の<<テレポート>>を潰せるのか』

『後飛行系の能力覚えれば高確率で逃亡できそうだな』

『なるほど、使いようか』

「そうなんだよ、それと実はある大きなメリットになりそうな事があるんだよね」

 

これは、能力の方だけじゃなくて、地域の情報もこれまである程度入手した事で気づけたことなんだけどさ。

 

「パストラからちょっと離れた所にさ、ダンジョンがあるんだけど。ここ、魔術生物って呼ばれる奴ばかり存在しているんだよね。ゴーレムとかガーゴイルとかスライムとかそういった奴ね」

『スライム……ゴクリ』

『カズサちゃんファンタジー定番のアレくらっちゃう?』

 

目に入ったコメントが何のことを言っているかは分かったけど、話を進めるためにスルーして、と。

 

「もうちょっと確認は必要なんだけど、どうもこいつらにこの能力効くっぽいんだよね? だとしたら将来的に配信で戦う姿を見せれるかなって」

『成程、そういったエネミー相手ならグロ映像になる可能性もないからか』

『エロ映像になる可能性はあるけど』

 

いや、エロゲとかエロ本じゃあるまいし、服だけ溶かすスライムとか都合よくいないだろ。服だけ溶かしてアイツラに何のメリットがあるんだよ。……ないよな?

 

……大分先の事になるだろうけど、行くときは一応対策ちゃんと考えて行こうかな。まぁそれはおいといてだ。一つのメリットは今語った通りなんだけど、実は更にその上を行くメリットがある。

 

「実はさ、その魔術生物なんだけど。コアになっている魔石ってものがあって、これが結構な値段で売れるらしいんだよね。だから……」

『……なるほど! そっちの世界の収入源に出来る可能性があるのか!』

 

そう言う事である。

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