お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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一番風呂

 

ボクっ娘がどうのこうのはおいておいて。

 

今、俺の後ろにあるものなんて一つしかないわけで。

 

「湯気! お風呂、沸かしてあるの!?」

 

彼女は目を見開いてそう声を上げると、いっきにこちらに歩を進めてきた。

 

動くとタオルがずれて……! いや、近寄った方が視界に入る部分が小さくなるから安全か?

 

全裸(タオル有)少女に詰め寄られて若干思考が混乱状態にある俺を後目に、テイルさんは風呂桶を覗き込んでからやや興奮した調子でこちらを見る。

 

「うわ、本当に沸いてる……貴女が沸かしたの?」

 

頷きを返しておく。

 

「んーでも、薪燃やしてなかったよね……術で沸かしたの?」

「あー、はい。<<クリエイトウォーター>>で水入れて、<<ボイルウォーター>>で」

「へー、<<ボイルウォーター>>使えるんだ」

 

ちょっと感心したような、驚いたような様子でテイルさんがそう声を上げる。

 

<<ボイルウォーター>>、コストの低さからわかる通り取得難易度は決して高くないんだけど、実は取得者ってそれほど多くないみたいなんだよね。

 

前に図書館で調べた通り、この世界の魔術の使い方は自分の魔力を体の中で練り上げる必要がある。ゲーム……というか今の俺みたいにポイント貯めてボタン一つで習得し、ただ呪文を唱えるだけで行使できるわけではないのだ。

 

で、その魔力の練り方は勿論一朝一夕で覚えられるわけでもないし、人間覚えられる事に限界はあるわけで。また適正の問題もあるから一部の化け物じみた方々を除けば獲得できる術に限界がある。

 

まぁそうなると<<ボイルウォーター>>は優先度低くなるよねって話。

 

お湯沸かすだけだもんなぁ……水を生み出す<<クリエイトウォーター>>とかは用途がいろいろあるけど、お湯沸かすだけだからなぁ……簡単な代替手段があるような術は当然の如くみんななかなか覚えようとは思わない。

 

我々みたいに毎日お風呂に入る文化があればもうちょっと需要があったのかもしれないけど、こっちの世界王侯貴族は知らないけど少なくとも庶民の間では普段は拭いて済ますかせいぜい浴びるくらいが基本なんだよね。温泉とかがあるので、浸かる文化はあるんだけど、通常は浸かるにしても冬場に数日に一度とかだったりするんだよね。なので、習得者が少なかったりする。だからちょっと驚かれたんだろう。

 

「はー、いいなぁ、お風呂。次入らせてもらっていい?」

「……いえ、先に入ってもらっていいですよ」

「いいの!?」

 

俺はこくりと頷く。

 

だって脱いじゃってるしなぁ……風呂自体は共用施設だからアパートメントの住人であれば利用を断る理由はないし、普通に使ってもらおうとは思ってたし。後、初回だから俺も今日はのんびり入りたい。

 

後で待ってる人がいるとなんか落ち着いて入れないんだよね~。実家にいた時は大抵風呂入るの一番最後だったし。

 

それに何をしていたかわかんないけど、髪とかちょっと埃っぽい感じがあるし、この状態で長々待つのもあれだし……

 

そう思って彼女にそう伝えた結果、

 

「ありがとう!」

「ひゃっ!?」

 

あ、ちょっとまってちょっとまって、その恰好で抱き着いてくるのやめて!? こっちが服着てるからセーフではあるけど!

 

『え、何今の声!?』

『お風呂場で女の子二人だけの状況で上がる悲鳴……ゴクリ』

『状況的に気になりすぎるんだが?』

『後生ですから映してください……』

 

映せるか!

 

「ちょ、ちょっと」

「あ、そうだ私今結構汚れてたんだ……ごめんね?」

「いやそれは全然いいですけども」

 

どうせ風呂入ったら後は洗濯に回すだけだし……そもそも服は汚れてたかもしれないけど、体はそれほど汚れている感じではないし……髪は埃っぽいけど。

 

「じゃあお言葉に甘えて、先に入らせてもらうね? すぐに上がるから!」

 

 

湯舟見て目を輝かせたくらいだし、彼女も浸かりたいんだろうな。だったら、

 

「いや、急がなくていいですよ。どうせこの後私用事ないですし」

『でも雑談配信はお風呂上りで寝間着姿の方がどきどきします』

『超わかる』

 

これまでも水浴び終わった後の頃に来る奴が多かったのはそれが理由か。髪とか濡れた女の子に色気を感じるってのは元同性としてわかるんだけども。

 

とにかく。

 

「それじゃ私部屋に戻ってますので。上がったら教えてください」

「わかったー……なんで壁に手をついたまま移動してるの? 足とか怪我してる? 送ってこうか?」

「あ、いえ。大丈夫です」

 

誤ってカメラが貴女を映しちゃわないように壁に押し付けているだけなんで。

 

 

 

 

 

 

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