お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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風呂上り

 

結局テイルさんは、それほど時間がたたないうちに俺を呼びに来た。

 

それから入れ替わりに、俺はゆっくりと……さすがに一時間とかそんな長さではないけど、のんびりゆったりお風呂を味わうことが出来た。とても幸福な時間だった。

 

ちなみに配信は付けたままだったけど、映像はずっと換気用の窓の外を映しておいた。ぶっちゃけ部屋に設定しておいても良かったんだけど、そうすると逆に満足して戻った時に固定しているの忘れて着替えたりしたら大事故だからな……。

 

なんで、お風呂中もコメント欄みながらおしゃべりはしてたんだけど、相変わらず水音とかに反応するんだよなぁ、コメント欄。

 

リスナー曰く。

 

『映像無しで音だけというのは想像力を掻き立てられる』

『ストレートにエロスを感じる』

『今スマホで配信見ながらお風呂入ってます!』

 

という返事が返って来た。最後の奴は風呂にスマホ落とすなよ?

 

まぁストレートにいうと女の子が直接言われたらぶっちゃけ気持ち悪いと思うのでは? 的な発言が多々見られるが、俺も中身は男なので気持ちわかっちゃうし、多少のセクハラ発言は普通に受け入れている。

 

ただライン超えの奴に関しては完全にスルーだけどな。これは不快だからとかそういう事の前に、そういったものにまで反応していると更にエスカレートしていくのは目に見えているので。後一応ウチのリスナーの中の女性陣もそれなりにいるらしいしね。聞いた話だと。なのでスルーして後はモデレーターさんにお任せだ。

 

で、そんなやり取りやら今日起きた事やら日本側で起こっている事とかを雑談しつつ至福の時間を終えて、風呂から上がり髪を乾かしていたところに部屋にテイルさんがやって来た。

 

「お風呂のお礼!」

 

といって彼女が持ってきたのはいろんなお菓子の詰め合わせ。ちょうど今日一つの仕事が終わったらしく、自分へのご褒美にと買ってきたらしい。

 

「せっかくだから、お裾分け!」

 

お礼を貰うほどの事をしたつもりは全くないけれど、満面の笑みで向けられたせっかくの好意を断る事もできず、お言葉に甘える事になった。

 

──というわけで、今俺は風呂上り(といっても彼女の方は上がってから大分立つためそんな感じは残ってないけど)の寝間着の少女と向かい合ってベッドに座っています。

 

『お風呂上りで寝間着姿の美少女っていいよね……』

『女子のパジャマパーティーを覗いているみたいでドキドキする』

『絶対この空間今いい匂いしてそう』

 

実際彼女からは石鹸のいい匂いしている──いや、これ自分からしている匂いじゃねーか。彼女は上がってから大分たっているから匂いが飛んでいるだろうし、同じ石鹸を俺使ってるし。

 

自分からしている匂いと考えると別にドキドキも何もしないな。いい匂いなのは間違いないけど。やはりいい匂いは発している対象が重要。

 

おっと、俺の思考もリスナーに毒されて来ているな?

 

「あ……美味しいですね、これ」

「でしょー? お気に入りなんだー」

 

テイルさんの持ってきた焼き菓子に手を付ける。甘さ控えめで美味しい。そういやお菓子の類ってこっちにきてからそれほど食べてなかったなーと思い出す。出費を制限してたから、こういったお菓子の類は買おうって考え全然なかったんだよね。

 

あー、でもこうやって久々に甘味の類を食べちゃうと、また食べたくなっちゃうかなぁ……。

 

うーん。

 

「えっと、このお菓子ってどこで買えるのか聞いていいですか?」

「いいよん」

 

一応、店の場所は聞いておく。念のためね、念のため。臨時収入とかあったときね。まぁここまでを見るとコスプレRPをすれば臨時収入は入りそうだけど。さすがにお菓子食べるためにコスプレRPはない。

 

「てかさ、カズサちゃん?」

「あ、はい?」

「言葉、もっと砕けた感じでいいよ? 多分同じくらいだよね、年齢」

「あ、えっと……うん」

 

実年齢は俺の方が確実に上だと思うけど、外見年齢で見れば大差はないと思うので、ここは頷いておく。

 

「こないだはごめんねー、すぐに出かけちゃって。年同じくらいぽかったから、本当はお話ししたかったんだけどさ」

 

初日に一通りアパートメントの住人には挨拶回りしたんだけど、ちょうど彼女は出かける直前だったらしく自己紹介だけしてすぐ見送る事になったんだよね。それ以降姿を見てなかったんだけど。

 

「どこか遠くに出かけてたんですか?」

「あー、ダンジョン行ってたんだ」

「ダンジョン!?」

 

彼女の言葉に、思わず俺は裏返りかけた声を上げてしまった。彼女の外見がそういった事に結びついていなかったからだ。

 

彼女は健康的──いや風呂場の映像は浮かんでくるな!

 

『あ、カズサちゃんが何か思い出してちょっと照れてる? さっきのお風呂場の件かな?』

 

そして勘の良すぎるリスナーがいる! 何で気づくんだよ! そんな顔に出した自覚はないぞ!

 

……それはともかく!

 

彼女は活動的な感じではあるが、筋肉質という感じではないし戦闘には結びつかない。それに体も今の俺と大差ない感じだから大柄では決してない。むしろ小柄の範疇に入るだろう。更には年齢だって見ての通り中学生か高校生程度だ。ダンジョンに行ってるイメージなんてまるでわかない。

 

いや、ここファンタジー世界だし、このくらいの年でダンジョン潜るのも普通なのか?

 

 

 

 

 

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