お金の力で世界を救ってあげます!   作:みずち

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監視業務開始

さて、自分の中ではこの作戦は実行する事に決まったが、そもそも今回の俺の役目は協力者であり、勝手に実行する事はできない。グウェンさん達を説得する必要があった。

 

んで、結論から言うと実演してみたら採用された。

 

ストラダ夫妻に魔力感知を行ってもらいつつ、別室にいるテイルさんとグウェンさんの行動を当てるって方法を行ったんだけど、やはり魔力は感知されなかったらしい。

 

ちなみにこの能力に関しては、故郷の魔術の師匠だった人が教えてくれた技術という風に説明した。苦しいかなと思ったけど、これも通った。

 

この世界の魔術はゲームのようにただ呪文の名前を唱えたら発動するというものではなく(いや、俺限定で唱えるだけで発動してるけど)、きちんと体内で魔力を決まった形に練って発動させる。呪文の名前は最後の発動トリガーなだけだ。

 

なので、その魔力の練り方を変えれば異なる効果を発動させる事ができる。──まぁそうそう単純な話ではなく通常は単純に発動しなかったり、酷い時だと暴発しちゃうらしいんだけど、うまく行くと別の魔術が産まれるわけだ。

 

リスクは大きいから大抵の人間はやらないけどそういった事を研究している人数は国家所属にもフリーにも一定数いて、そういった特定の人間しか知らない術式というのもそこそこあるらしい。

 

まぁストラダ夫妻は術が発動しているのに魔力が感知させない技術がすごい気になっていたらしいけど、当然そんなものは説明できないので、"広まったりしたら不味い技術なので、説明を許可されていない"と謝罪した。

 

実際そんな技術あったらいろいろ悪用させられそだしね。例えば王族や高位貴族が参加するパーティーなどは防犯上の問題から魔術使用禁止になるらしいけど、そういった場所でも使えてしまうことになっちゃうからな。なんとか納得してくれた。

 

ただテイルさんを「そんな技術あったら覗きとかされ放題だよね。怖いなぁ」とちょっと不安がらせてしまった。知る限りは自分と教えてくれた人しか使えない技術なので大丈夫なハズと説明したら「そっかー」と安堵の息を吐いて「知っているのがカズサちゃんだけで良かったよー! カズサちゃんなら安心だもんね!」とか言われてしまった。

 

ざ、罪悪感が……。

 

ごめんなさい、一応テイルさんをメインで映すような事はしていないけど、部屋で雑談している時とかがっつり映っちゃってる時あります。その姿を数千、多い時は万単位の人間に見られちゃってます。その中には妙な懸想をしている奴がいる可能性もあります(リスナーへの若干の暴言)。

 

後過去に全裸映像を危うく映しかけちゃった事がありました。本当にごめんなさい。──直接口にだして謝る事などは無論無理なので、俺は心の中で五体投地からの土下座をテイルさんに繰り返した。

 

……今後はより一層カメラに映る映像には気を付ける事にしよう……

 

ともあれ、監視カメラ作戦は決行されることになった。

 

現地に行ってカメラを設置。ただ映像によるチェックだとあまり離れた場所は見落とす可能性があるので、感知術式は基本張ってもらった上で一部だけ穴を開けて、そこを監視する事になった。

 

そして、一時間、二時間と過ぎてゆき……

 

……いや、これ本当にリスナーの皆がいてくれてよかったわ。

 

やってみてすぐ気づいたけど、5分とか10分とかならともかく30分1時間も集中して映像をチェックし続けるとか無理である。映像を見続ける事はできるけど、しばらくたってくるとどうしても注意力散漫になってくる。見てはいるんだけど、認識できていないというか、そんな感じ。一人で監視していたらそんなタイミングで対象が現れた場合に見落としていたかもしれない。

 

が、今の俺には心強い味方──リスナー達がいてくれるのだ。

 

配信内容が配信内容だからいつもより人数は大幅に減るだろうな、と考えていたんだけど……何故か5桁います。本当に何故?

 

まぁさすがにその中でがっつり映像をみてくれている人はそんなにいないと思うけど、100分の1が見てくれているだけだとしても100人によって監視されているわけである。これは心強い。

 

おかげで、どうしても起きる生理現象を限界まで我慢する必要もなくなったわけで。

 

「……ふう」

 

トイレから出て、俺はため息をつく。

 

現地に到着したらいろいろ派手に立ち回る可能性もあるわけで、限界まで耐えた状態でそんなところに駆けつけたら大惨事になる可能性がある。そう考えて俺はきっちり用を済まさせて頂いていた。部屋出たあと小声でその間だけは特に注意深く監視しておいてね、皆信用しているからね、と。

 

カメラ、音声はレンズではなく手元にある端末でひろっているので、さすがにトイレには持ち込めないのだ。基本的にこの端末は体に追随してくるんだけど、その追従をカットする事もできるので、音を聞かれたら不味い時だけはカットしている。正直ミュート機能が欲しい。

 

「さて、急いで戻ろうっと」

 

カメラの端末の追従をもとに戻し、皆に小声で礼を言ったあと(映像がないからくちに出さないともうOKなのがわからないので)俺は足早に部屋に戻る。しかしこのタイミングで対象が出現しないのは助かった。むしろ早く出て欲しい状況ではあるんだが、このタイミングだけは困るからな。そんな事を考えながら、小走りに廊下を急ぎ、扉に手を掛けた時の事。

 

俺が応答をあまりできない事もあり、いつもに比べてゆったりしていたコメント欄の流れが一気に加速した。

 

『カズサちゃん! 出た! 出た!』

『標的確認。行動に移ってください』

『なんか黒い奴いるぅぅぅぅぅぅ!』

 

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