群青の戦士   作:Eitoku Inobe

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今より一千前、ジェダイとシスの戦いは終わりを告げた。

その後のルーサンの改革で共和国軍は解体されジュディシアル・フォースとして生まれ変わった。

ジュディシアル・フォースはその後900BBY代に統一戦役を開始し今日に至るまでの銀河共和国の基盤を作り上げた。

それから暫く平和が続いた。

だが平和の中にも必ず問題は発生する。

それは平和を維持する安全保障の面でもだ。

ずっと共和国、特にジェダイを脅かす存在として存在する者がシス以外にもいたのだ。

それは惑星マンダロアに住まう“マンダロリアン達”。

マンダロリアンと共和国、ジェダイはずっと犬猿の仲である。

一度は銀河規模の戦争まで引き起こしたほどだ。

その後の戦争でも共和国とジェダイはマンダロリアンと度々戦った。

マンダロリアン達はマンダロアとその宙域を統一し銀河系の中でも共和国ほどではないが大国として君臨していた。

アウター・リムまでを再統合した共和国は自然と再びマンダロアと衝突するようになり元老院では厄介な問題として議題に上がっていた。

“本来の歴史”では最終的にマンダロリアン征伐に躍起になったジェダイがジュディシアル・フォースと共にマンダロリアンを殲滅し強制的に服従させるのだがこの歴史は違った。

なんと元老院で上がったある提案をマンダロア側も受け入れ争うことなくマンダロアは銀河共和国の一員となった。

しかもその提案の中には『マンダロアの武装組織を惑星防衛軍とは別にジュディシアル・フォースの特殊作戦部隊に編入し銀河安全保障の一員とする』というものもあった。

その為マンダロリアン達の一部は武器とその特徴的なアーマーはそのまま、ジュディシアルの“ブルーコート”に身を包みジュディシアル・フォースの一員となった。

その後ジュディシアル・フォースの度重なる変革により正式な名称は変わっていったが今ではこう呼ばれている。

ジュディシアル・フォース特殊作戦集団所属、第7特殊作戦兵団、通称“マンダロリアン部隊”。

銀河に存在するはずのない“ジュディシアル・フォースのマンダロリアン”が銀河系の平和を守る為、今日もジェットパックを背負って戦い続けるのだ。


蒼きマンダロリアン

-銀河共和国領 クワット宙域 ジュディシアル・フォース所属マンデイター級“フォートレス・オブ・ジュディシアル”-

マンデイター級ドレッドノート、クワット・ドライブ・ヤード社が初めて開発した8キロ越えのドレッドノートクラスの主力艦である。

 

銀河系で最もメジャーな艦船分類方法であるアナクセス軍事大学校式艦船分類法では5,000メートル以上の軍艦がドレッドノートであるとされておりこのマンデイター級は近代銀河史では初めてドレッドノートの扱いを受けた軍艦だ。

 

クワットが初開発したプロキュレーター級スター・バトルクルーザーの流れを組むマンデイター級は圧倒的な火力と防御力を誇る“()()()()()”の名が相応しい性能となっていた。

 

その反面機動力には優れていないがたった一隻で一個艦隊分の能力を有していると言っても過言ではない。

 

一方でコストが高くマンデイター級の配備数はまだコア・ワールドの幾つかの惑星とジュディシアル・フォースの護衛艦隊のみと限られていた。

 

現在クワットが三隻保有しておりジュディシアル・フォースも前年度の防衛調達計画も併せてかなりの数を保有していた。

 

マンデイター級は基本的に艦隊の旗艦を務めることが多く、現在クワットに駐留しているマンデイター級“フォートレス・オブ・ジュディシアル”もジュディシアル・フォース第6護衛艦隊の旗艦を務めていた。

 

フォートレス・オブ・ジュディシアル”のブリッジではクワット宙域軍の司令部と通信を取っていた。

 

『こちらクワット本国防衛艦隊旗艦“フォートレス・オブ・クワット”、現在ハイジャックされた貨物船は封鎖網突破を諦めドルーリッシュ方面へ逃走中、ジュディシアル・フォースに応援を求む』

 

現在クワット宙域ではクワット本星の宇宙港で兵器類を搭載した貨物船が正体不明の武装集団にハイジャックされた。

 

幸いにも乗組員に死傷者は出なかったが全員が人質に取られ、人質を乗せたまま貨物船は動き出した。

 

武装集団はすぐにハイパースペース・ルートに乗りたかったはずだ。

 

だがクワットの惑星防衛軍であるクワット宙域軍の艦隊が急いで封鎖網を展開したことでその望みは絶たれた。

 

その代わり多少遠回りになるが惑星ドルーリッシュの方面を通ってハイパースペース・ルートに向かおうと武装集団は考えた。

 

現在クワットのパトロール艦が追撃中だが人質がいる為迂闊に手は出せない。

 

「こちら“フォートレス・オブ・ジュディシアル”、了解した。既にドルーリッシュ方面に艦隊を展開中である、また本部より特殊作戦集団の展開を許可された」

 

『それは本当か?だとしたらありがたい…!人質となった乗組員を救出出来ればクワット・ドライブ・ヤード社及び本国政府としては積荷は破壊しても構わないと通達された』

 

フォートレス・オブ・クワット”の通信士官は喜びの声を上げた。

 

一方で“フォートレス・オブ・ジュディシアル”の通信士官は若干命令の展開が早くて羨ましいなと思っていたが。

 

「パトロール艦にポイントT-12まで誘い込むよう要請を、我々の艦隊も支援する」

 

『了解した!直ちに要請する。それで、展開する特殊部隊とはなんだ?ブルーベレーかジュディシアル・コマンドーか?』

 

フォートレス・オブ・クワット”の通信士官は子供じみた声音で特殊部隊のことを尋ねた。

 

フォートレス・オブ・ジュディシアル”の通信士官はこのことを話して良いのか迷い通信を聞いている艦長と艦隊司令官の方へ目線を送った。

 

司令官は微笑と共に小さくう頷き通信士官はこのことを話し始めた。

 

「ジュディシアル・フォース特殊作戦集団、第7特殊作戦兵団」

 

その一言を放っただけで“フォートレス・オブ・クワット”の乗組員はこちら側でも分かるような驚きの声を上げた。

 

軍事に関わる者が仮ににわか仕込みだとしてもその部隊の名前を知らない訳がない。

 

『おいまさかその部隊って…!?』

 

「ああ、少人数だが貨物船の奪還と人質救出には十分なはずだ」

 

そう、彼らであれば仮に敵が10人だろうと100人だろうと関係ない。

 

手当たり次第来た者全てを抹殺するだけだ。

 

700年前の誓いの為に。

 

「既に部隊は展開した、吉報を待たれし」

 

『まさか本当に“マンダロリアン部隊”を!』

 

「ああ、この銀河最強の戦士の集団、我がジュディシアル・フォース最強の部隊だ」

 

フォートレス・オブ・ジュディシアル”の通信士官ははっきりと断言した。

 

だが通信士官のいうことは間違いではない。

 

ジュディシアル・フォース最強の部隊は実際に“()()()()”なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

『“フォートレス・オブ・ジュディシアル”からドラグーン3へ、諸君らの任務は貨物船の航行阻止、人質の救出、武装集団の殲滅で最も重要なのは貨物船の航行阻止と人質の救出である。武装集団の殲滅は最悪の場合、艦隊の海兵部隊が行う。敵戦力は確認されただけでも武装兵27人、プローブ・ドロイド数十体、バトル・ドロイド数十体であり敵集団の全員殺害を許可する。貨物船の船内状況は転送した通りで大凡変わりないはずだがトラップには注意せよ。それと人質の乗組員は必ず救出するよう心がけてくれ、それでは我ら戦士の誓いを果たさんことを期待する』

 

ホログラムと共に司令官の説明が終了しコムルク級ガンシップ・トランスポートの中にいる数名の隊員達が用意を始めた。

 

アーマーを装備しブラスター・ピストルをホルスターに住まう。

 

ある者はブラスター・ライフルを手に持ちまたある者は飲み物を口に含んで滴る水滴を拭った。

 

それから彼ら彼女らは全員揃ってその特徴的なT字のヘルメットを被った。

 

このヘルメットはアーマー同様に何千年も受け継がれてきた戦士の証であり彼ら彼女らの先祖が戦いと共に生き抜いてきた伝統でもあった。

 

子供の頃は憧れであり扱いきれないものであったが今やこのベスカー製のアーマーとヘルメットが一番しっくりくる。

 

ジュディシアル・フォースの制服なんかよりもよっぽどだ。

 

「作戦は聞いての通りだ、捕虜の救出と貨物船ブリッジの奪還はエルトンとアヴィーと私で向かう。残りのみんなは貨物船全体を制圧しろ。司令官殿は最悪の場合と言っていたが我々に最悪はない、常に最高の結果を残す」

 

部隊長であるマイルズ・ローン少佐は部下達にそう告げた。

 

彼はマンダロリアン氏族のうち、ローン氏族の出身であり10年以上ジュディシアル・フォースの特殊作戦集団に仕えてきたベテランの兵士だ。

 

この第7特殊作戦兵団、通称“マンダロリアン部隊”の指揮官の中でもトップクラスに優秀な部類に入る。

 

顔の傷とその風貌が証明であろう。

 

その彼が連れて行く隊員はエルトン・エルダー中尉、アヴィー・ラウ中尉だ。

 

エルトンはエルダー氏族の一員であり親兄弟、そして幼馴染のアヴィーやマイルズに倣ってジュディシアル・フォースの道へ進んだ。

 

こちらは年相応の美男子といった雰囲気でシルバーグレーの髪色が普段はよく目立つ。

 

だが彼もマンダロリアンとして優れた戦闘能力を持っており25歳にも関わらず既にいくつもの重要任務に参加している。

 

隣の相棒と言うべきアヴィー・ラウはマンダロリアン・プロテクターの指導者の家の子でいとこにフェン・ラウという凄腕のパイロット兼戦士のマンダロリアンがいるらしい。

 

彼女もフェン・ラウに負けず劣らず優秀なパイロット、優秀な戦士としてジュディシアル・フォースの特殊部隊に仕えてきた。

 

他の部隊のメンバーも皆優秀なマンダロリアン達だ。

 

マンダロリアン達は己のジェットパックの燃料や弾薬類を最後に確認し時を待った。

 

『敵貨物船に接近、ハッチ開きます』

 

コムルク級のパイロット座席から通信が響き全員がハッチの前に集まった。

 

後にこの機体が改良されコムルク級ファイター/トランスポートとして生まれ変わるのだがこの時はまだ誰もそのことは知らない。

 

ハッチが開き隊員の1人が周囲の様子を確認し足場を何回か踏んだ。

 

周囲と機体の安全を確認し隊員はハンドサインでOKとマイルズに伝えた。

 

それを理解したマイルズは一番先頭に立ち指で降下までの合図を出した。

 

開かれた5本の指が全て閉じて握り拳になる瞬間、マイルズは一気にコムルク級の機内を飛び降りた。

 

それにエルトンやアヴィー、他のマンダロリアン達も続いていく。

 

偏向シールドを抜け、完全な宇宙空間へと達したマンダロリアン達は一斉にジェットパックの火を点火した。

 

ヘルメットに内蔵されたコムリンクを起動し部下達に命令を出す。

 

『エンジンに向けて集中砲火!』

 

偏向シールド内に入ったマンダロリアン達は命令通り一斉にZ-6ジェットパックの先端部分についているミサイルを放った。

 

ミサイルが貨物船のエンジンを一つ破壊し速力を低下させた。

 

これで貨物船の速力は落ちて足止めは出来る。

 

その間にマンダロリアン達はそれぞれ分かれて貨物船の中に入っていった。

 

殆どの部隊は通常の入り口をぶち破って入っていったがエルトン、アヴィー、マイルズの部隊はあえてエアロックの扉を破り中に入った。

 

エアロック付近の見張りに就いていたドロイドを背後から強襲して破壊し3人は前に進む。

 

「連中、さっきのエンジン破壊で気づいたかな」

 

「気づいたら気づいたらで好都合だ、みんなまとめてぶっ潰す」

 

「熱くなるなよ…人質の救出が最優先だ。まあ尤も他の連中が今頃派手にやってるからそっちに引きつけられてると思うが」

 

敵にとってマンダロリアンの来襲はジェダイが現れるのと同じくらいの悪夢だ。

 

ベスカーの装甲で敵の弾丸を弾くよりも前に反撃され敵は殺される。

 

接近すればナイフや近接武器で、下がればブラスターで確実にだ。

 

ジェダイほど自惚れている訳ではないがこの銀河系でマンダロリアンに敵う者は少ない。

 

それが彼ら彼女らの誇りであり伝説であり真実だった。

 

「武器を積んだ貨物船をハイジャックって、連中戦争でもしたいんだか」

 

エルトンはため息混じりにそう吐き捨てた。

 

マイルズは意外にも「そうかもな」と賛同していた。

 

「何か正義やら大義やら掲げる連中かそうでなければ単なるゴロツキの傭兵連中だろう。我々以上に戦いで何かを得られる奴らだ」

 

「あたしらは…まあ“()()()()()()”だけど、こういう奴らもそうなのかな」

 

「単純に本当の恐怖に気づいてないだけかも」

 

エルトンはそう呟きながらブラスター・ライフルで通路の奥から現れたバトル・ドロイドを2体破壊した。

 

エルトンはチラリと自身が破壊したバトル・ドロイドに目を寄せた。

 

バクトイド・コンバット・オートマタ社が開発するOOMシリーズ・バトル・ドロイドだ。

 

「チッ、バクトイドの野郎、また不正に利用されてるぞ」

 

最近彼らが戦うバトル・ドロイドといえば基本改造されたOOMバトル・ドロイドばかりである。

 

主な理由は調達が簡単なのと改造のしやすさなのだろうがエルトン達にしてみればいい迷惑だ。

 

「ああ、それと前方から生命反応合わせて21、近づいてきている」

 

「見えてる」

 

「ここで応戦しよう」

 

エルトンのアイディアに賛成し3人はそれぞれバラバラに分かれてブラスター・ピストルを構えた。

 

通路の奥からバトル・ドロイドやプローブ・ドロイド、そして何人かの武装したハイジャック犯達が迫っていた。

 

マイルズが合図しアヴィーがマンダロリアン・ヴァインブレスのついた腕を構えた。

 

エルトンもブラスター・ピストルに持ち換え、マイルズの命令を待った。

 

敵がある一定の場所を超えた瞬間マイルズは攻撃せよと指示を出す。

 

その指示と共にアヴィーのマンダロリアン・ヴァインブレスからミサイルが3発飛び出しドロイドを盾にしていたハイジャック犯達に直撃する。

 

それとほぼ同時にエルトンとマイルズもブラスター・ピストルの引き金を引きバトル・ドロイを攻撃した。

 

まず優先してプローブ・ドロイドを破壊しそれから距離を詰めた。

 

彼らのアーマーはベスカーで出来ている為多少被弾しても問題はない。

 

むしろそれを込みでエルトンはバトル・ドロイド達の前に姿を表し一気に接近した。

 

接近と同時に手の甲のアーマーに隠された小型のダガーナイフが作動しバトル・ドロイド2体を刺して破壊した。

 

そのまますぐ近くのバトル・ドロイドに弾丸を当て、迫るバトル・ドロイドの腕を切り落として再び胴体部にダガーナイフを射し込む。

 

バトル・ドロイドは火花を出して倒れ、残ったバトル・ドロイドもアヴィーとマイルズの援護射撃で残らず破壊された。

 

「敵制圧完了」

 

「このまま人質がいると思われる船内の食堂室に向かう」

 

その間にも疎にハイジャック犯や手下のドロイドが3人を襲ったが容赦なく返り討ちにされた。

 

まるで盾のように小手のアーマーで弾丸を防ぎ逆にブラスター弾を撃ち当てる。

 

狭い通路にいる為本来の機動性は削がれ弱体化しているはずなのにこの立地的不利を全く感じさせない。

 

互いに互いの背中を守りながら敵を倒し僅かな時間でエアロックから食堂室まで辿り着いた。

 

食堂室前の守り番のハイジャック犯を排除し無理やりドアをこじ開けて内部へ速やかに突入する。

 

「動くな!投降すれば命までは取らない」

 

3人は銃口を食堂室にいるハイジャック犯達に向けた。

 

だがハイジャック犯は冷や汗を垂らしながらも人質である本来の貨物船乗組員に銃口を向け3人を脅した。

 

「それはこちらのセリフだ!!人質をぶちに開放してほしいならお前達が投降しろ!!」

 

まさに悪役のようなセリフと共に一番若そうな乗組員にそのハイジャック犯は銃口を彼の頭に突きつけた。

 

乗組員は涙と恐怖の震えを必死に堪え目を瞑っていた。

 

早く解放せねば、乗組員達はさぞ不安だろう。

 

3人はそれぞれこの場にいるハイジャック犯の数を探知する。

 

この食堂室に姿が“見える”のは7人、しかし広範囲に散らばっている為3人がいくら2丁のブラスター・ピストルで急いで狙撃しても恐らく必ず1人は取り逃す。

 

そこでエルトンはあえてアヴィーの手をブラスター・ピストルのグリップで軽く叩いた。

 

2人の仲だ、その意図を瞬時に理解したアヴィーは不敵に微笑んだ。

 

「さあ!早く!!」

 

ハイジャック犯達は血眼になってブラスター・ライフルの銃口を3人にも向けた。

 

3人は決してブラスター・ピストルを下ろすことなく引き金を引くつもりもなかった。

 

そうしなくても“()()()()()”からだ。

 

アヴィーのマンダロリアン・ヴァインブレスから一斉にホイッスリング・バードと呼ばれる特殊な小型誘導弾が放たれた。

 

鳥の囀りのような音を立て、誘導弾はその場のハイジャック犯を一斉に瞬殺した。

 

断末魔を上げることもなく“9()()()”ハイジャック犯は絶命した。

 

「やはり伏兵がいたか」

 

ホイッスリング・バードにやられた2人のハイジャック犯を見つめてマイルズはそう吐き捨てた。

 

目で確認出来る人数で7人、しかしヘルメットの熱探知に映る人数はそれよりも数が多かった。

 

その為伏兵がいるという事は事前に察知していた。

 

「皆さん!我々はジュディシアル・フォース所属の特殊部隊です!みなさんを救出しに参りました!どうか安心してください!」

 

マイルズ人質となった貨物船の乗組員にそう伝え乗組員達からは安堵の音が広がった。

 

すぐにエルトンとアヴィーは乗組員達に付けられた手枷を外した。

 

2人は優しく「もう大丈夫ですよ」と乗組員1人1人に声を掛けていた。

 

その間にマイルズは他のマンダロリアン達に連絡を取っていた。

 

「こちらは人質を救出した、応援を頼む。それと使える貨物船内の通路を報告してくれ」

 

『こちら4班、直ちに向かいます』

 

『3班よりマイルズ隊長へ、右舷ブロックは殆んど制圧しましたが貨物室がまだです。現在2班と5班が戦闘中』

 

「了解、3班は4班の乗組員の避難誘導を支援しろ。2班、5班はそのまま戦闘を続行せよ。ブリッジは我々で取り返す」

 

部隊への指示が一通り終了しマイルズはエルトンとアヴィーの方へ向かった。

 

2人は既に乗組員達の手枷を外し終えていた。

 

「4班に避難誘導させる。我々はこのままブリッジを奪還する」

 

「了解」

 

「連中に目にもの見せてやろう」

 

アヴィーの提案に2人は不敵な笑みを浮かべた。

 

「隊長!到着しました!」

 

4班のマンダロリアン達が到着しマイルズに敬礼した。

 

「乗組員を頼む」

 

「はい。皆さん!落ち着いて我々について来てください!この貨物船より一時避難を開始します!」

 

4班に乗組員の避難誘導を任せて3人はブリッジの方面へ向かった。

 

まだブリッジの方面にはハイジャック犯達の戦力が残っておりバトル・ドロイドやプローブ・ドロイドが3人の前に立ちはだかる。

 

ブラスター弾を放ちながら真っ直ぐこちらに迫って来ていた。

 

しかし所詮は雑兵以下の連中、マンダロリアン3人の敵ではなかった。

 

2丁のブラスター・ピストルだけでなく腕のブラスター砲も使い素早く始末していく。

 

アヴィーとマイルズは敵の纏まった箇所に火炎放射器の炎を発射した。

 

2箇所からの火炎放射でバトル・ドロイドの装甲は溶解し崩れ落ちた。

 

他のプローブ・ドロイドもエルトンが全て撃ち落とし貨物船の通路にはドロドロに溶けたバトル・ドロイドと破壊されたプローブ・ドロイドの残骸が転がっていた。

 

「時間がない、低空飛行で行こう」

 

3人はジェットパックを点火し地面に滑る混むように下がり飛行を開始した。

 

通路の足元を3人のマンダロリアンが超低空で飛行する。

 

お陰でただ走るよりも遥かに速い速度でブリッジまで向かえた。

 

無論これもマンダロリアンとしての才能や技量、資質や経験あってこそ出来る技だ。

 

3人は低空飛行しながら反応の遅れた敵を背後からブラスター・ピストルで狙撃した。

 

バトル・ドロイドやプローブ・ドロイドも全く対処出来ずブリッジ前の警備をしていたハイジャック犯達も同様であった。

 

「なんだコイツら!?」

 

「クソォ!!」

 

急いで3人を撃とうとブラスター・ライフルを連射するも接近したエルトンのダガーナイフの刺しの一撃によって一撃で制圧された。

 

そのまま2人の遺体を盾にしてブリッジのドアを破り内部に突入した。

 

2人の遺体を捨てて一瞬で周囲の状況を確認する。

 

ブリッジには報告通り人質はおらず代わりに5人のハイジャック犯がおり皆天井を見て混乱していた。

 

5人程度なら自分1人の装備でも時間をかければ十分始末出来る。

 

エルトンはブラスター・ピストルを両方とも構え全ての装備を使って敵を撃った。

 

ブラスター・ピストルで2人、ブラスター砲で1人、ミサイルで1人、そしてホイッスリング・バードで1人、ブリッジの中にいる全てのハイジャック犯を殲滅した。

 

まさに人間武器庫、マンダロリアンは様々な武装を装備しそれら全てを巧みに使い分けている。

 

エルトンはゆっくりジェットパックのエンジンを調整し地面に降りてブラスター・ピストルをホルスターにしまった。

 

2人が到着するよりも前にハイジャック犯の制圧に成功した。

 

「一足遅かったようね」

 

「ああ、たわいない敵だった」

 

「そうか、無事でよかった。こちら1班マイルズ・ローン少佐、ブリッジの制圧を完了した。こちらで貨物船を制御する」

 

『こちらカンセラー級“コモン・スランタ”、現在そちらに向かっている途中です』

 

「では避難中の貨物船乗組員をそちらに移送させてくれ。彼らをすぐ安心出来る所に連れて行きたい」

 

『了解しました』

 

コムリンクが切れマイルズは仲間のエルトンとアヴィーの下へ向かった。

 

すると2人はブリッジのコンソールを眺めていた。

 

「どうした、何か珍しいものでもあったか」

 

「いや…この艦、本来は惑星デノン行きなんだがどうもコイツらは反対側のコルサントに行きたかったらしい、ほら」

 

エルトンがブリッジのハイパースペース・ルートの座標計算部分のモニターを指差した。

 

平面座標L-9、XYZ座標0,0,0、確かにこれはコルサント行きの座標計算だ。

 

「ハイジャック犯が態々中心地のコルサントに行こうとしているだなんて、コルサントで戦争でも起こすつもりだったのか?」

 

アヴィーは2人に尋ねたが2人とも答えることは出来なかった。

 

だがすぐに入ってきた緊急の通信でなんとなく理由が理解出来た。

 

『こちら“フォートレス・オブ・ジュディシアル”よりドラグーン3各班へ緊急連絡!ジュディシアル・アーコロジーよりただいま入った連絡です!現在コルサント・アンダーワールドにて大規模テロが発生!!アンダーワールドではジュディシアル及びコルサント保安部隊がテロ組織と戦闘中!!』

 

「なんだと…!?」

 

「コルサントで……テロ……!?」

 

エルトンとアヴィーは驚いた。

 

あのコルサントでテロ、いくら治安の悪いアンダーワールドとはいえテロは前代未聞だ。

 

だがマイルズだけはどこか納得した表情だった。

 

「ではこの貨物船がコルサント行きなのは……そういうことか」

 

苛立ちを含めた仏頂面でマイルズはそう吐き捨てた。

 

どうやら長くなりそうだ、これから起こる事件とは。

 

蒼きジュディシアルのマンダロリアンが活躍する時代が再び訪れ始めた。

 

それはマンダロリアン達にとっては本能の喜びであり銀河系にとっては最悪の時代の幕開けた。

 

 

つづく

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