群青の戦士   作:Eitoku Inobe

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「マンダロリアンがジュディシアル・フォースの特殊部隊となってから公式的に初めて参加したと言われる戦いは1年後のエクスパンション・リージョンの惑星、コーシンであるとされている。コーシンの戦いでのマンダロリアン達はわずか一個分隊でコーシン分離主義軍の一個歩兵中隊を撃破したと言われているが真相は定かではない」
-ヴォレン・ナル著書 近代マンダロリアン史より抜粋-


銀河の守護戦士

-銀河共和国領 コア・ワールド アズア宙域 アズア星系 惑星アナクセス軌道上 アナクセス軍事宇宙港-

アナクセスは古くから優れた軍事的な伝統、特に宇宙軍の伝統でよく知られていた。

 

銀河系で最もメジャーな艦船分類法であるアナクセス軍事大学校式分類法も文字通りアナクセスのものだし、このアナクセス軍事大学校も各地の惑星防衛軍を強化する為に設立された軍学校である。

 

銀河系にとっての軍事の名門はアナクセスであった。

 

伝説のアナクセス、全宇宙軍兵士の誇りなりとはよく言ったものである。

 

またジュディシアル・フォースの駐留部隊もアナクセスに存在していた。

 

毎年1回はアナクセスの惑星防衛軍とジュディシアル・フォースが演習を行うと言う恒例行事も存在している。

 

その為この軍事宇宙港にもアナクセスの惑星防衛軍の将兵だけでなくジュディシアル・フォースの隊員や士官も大勢いた。

 

『ジュディシアル・フォース第十二機動部隊の所属艦艇の指揮官はJFDF-09作戦室にお越しください』

 

アナウンスが流れ該当するジュディシアル・フォースの将校達は作戦室に向かい始めた。

 

それとは逆に3人のジュディシアル・フォースの将校達が宇宙港の通路を歩いている。

 

3人の青い制服の腕にはいくつかのワッペンが付いていた。

 

まず一つはジュディシアル・フォース特殊作戦集団所属であること。

 

これだけでも十分人の目を引くに値する精鋭中の精鋭の証だ。

 

そしてもう一つはその中でも第7特殊作戦兵団に所属する隊員であることだ。

 

兵団という枠組みだがこの部隊に入れる者はこの銀河系でたった1つの特別なある民族に生まれ戦士になることが条件だった。

 

そして最後はその中でもドラグーン部隊と呼ばれる特殊部隊に所属していることだ。

 

第7特殊作戦兵団は幾つかの支援隊や司令部を除くとその殆どが空を駆ける伝説の魔獣や幻獣、非常に珍しい生き物の名前を持つ部隊で構成されている。

 

この部隊に所属する隊員は皆戦闘能力はもちろんのこと、様々な武器の扱いや技術にも長けており、ジェットパックはもちろんスターファイターの操縦も可能だ。

 

正に“()()()()()()()()”と呼ばれていても過言ではない人間達がこの部隊を構成している。

 

「はあ、久しぶりの制服はどうにも慣れないな。別に礼装でもないのになんかこう、動きずらい」

 

この選ばれし最精鋭の隊員の1人であるアヴィーは肩を回しながら不満を呟いた。

 

「仕方ないだろ?制服ってそういうもんだよ。これでもこの上からアーマーを着れば戦えるんだからすごく良く出来てるよ」

 

エルトンはアヴィーを宥めたが彼女はまだ不服そうだった。

 

そんな後輩兼部下達の微笑ましい様子を眺めてマイルズは微笑を浮かべた。

 

「どうしたマイルズ?おかしくなったのか?」

 

「いや、“()()()()()()”と思ってさ。なんだかサンダーリのあの頃と同じ気がするんだよ、こういうやりとり見てると。まるで2人はあの頃のまま大きくなった感じがして」

 

3人は幼い頃、惑星マンダロアの首都サンダーリで育った。

 

本来は荒野の広がるマンダロアも700年前になんの戦いもなかった上に共和国加盟国であった為今日まで緑豊かなままであった。

 

元々アヴィーはコンコード・ドーンの出身であったが途中でマンダロアに引っ越してきた。

 

そこで元々マンダロア生まれの2人と知り合った。

 

エルトンもエルダー氏族の子供でマイルズもローン氏族の子供でありアヴィーもマンダロリアン・プロテクターの指導者一族の娘であった為そこに関わる政治的、駆け引き的な意味合いは確かに存在していた。

 

だが3人は純粋無垢に友情を深め青春を過ごしていた。

 

特に2人からすれば8歳年上のマイルズは兄のような存在で今でも頼れる隊長兼兄貴として慕っている。

 

それはマイルズも同様でエルトンとアヴィーの2人はまるで弟と妹のように可愛がっていた。

 

3人が同じ一つの部隊に配属されたのは単なる運命ではない。

 

引き合うべくして引き合ったのだ。

 

「なんかまるで今も子供みたいな言われ方に聞こえるけど…」

 

「いやいや、単純に懐かしいだけだ。任務じゃあんなに凛々しいのになぁ」

 

「やっぱ子供扱いしてるでしょ!」

 

ムスッとしたエルトンとアヴィーの両方から引っ張られマイルズは左右に揺らされた。

 

「ああ強い強い、力が強い……っと、着いたぞ。ホラちゃんとして」

 

2人を引き剥がしマイルズは袖を伸ばし引っ張られた皺を綺麗に整えた。

 

マイルズは今度は襟元も引っ張り身なりを整え咳払いもした。

 

それからドアの前の2人の隊員に「マイルズ・ローン少佐、エルトン・エルダー中尉、アヴィー・ラウ中尉、出頭した」と名前を名乗った。

 

「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

 

隊員達はドアを開錠し奥のジュディシアル・フォース駐在武官の執務室に入った。

 

「待っていた、アナクセス駐在武官のルフトール・ワーミス中佐だ。そしてこちらは第7特戦兵団のデリッツ・テナウ少佐」

 

同じく特殊作戦集団、第7特殊作戦兵団らのワッペンをつけた少佐が駐在武官と共に敬礼した。

 

3人も敬礼を返し近くのホロプロジェクターが作動し見慣れた人物が姿を現した。

 

『クワットでは貨物船の解放ご苦労だった。だが君たちに早速新たな任務だ』

 

「ルック准将…!」

 

3人は今度、ホログラムに映る髭の生えた少し老け顔の将校に敬礼した。

 

彼も同じく3人やこのテナウ少佐と同じワッペンが左腕についている。

 

彼こそがエルトン、アヴィー、マイルズの直属の上官であるハインツ=ジョーゼフ・ルック准将だ。

 

ルック准将も名の知れたマンダロリアン氏族のルック氏族の出身であり本流や氏族長の後継者ではないが直系のエルトン達とは違い、あくまで養子であった。

 

彼は元々惑星ラニクの出身で幼い頃から孤児で自らの身を守り生活する為に戦い続けていた。

 

ちょうどラニクにホック氏族のマンダロリアン部隊が訪れた時、幼いハインツと出会い彼の才能や生き抜こうとする闘志に惚れたルック氏族の人物が養子として彼を引き取った。

 

ハインツはその人物のジョーゼフという名前を貰いハインツ=ジョーゼフ・ルックと名乗り始めた。

 

それからルック准将はジュディシアル・アカデミーに入学し養父と同じようにジュディシアル・フォースのマンダロリアンとして戦い続けた。

 

マイルズが最初に配属された部隊の隊長もホック准将だった。

 

彼の功績は凄まじくこのまま行けば第7特殊作戦兵団長、もしくは特殊作戦集団の司令官に昇進するかも知れないと言われていた。

 

『君達と戦ったハイジャック犯達、やはりコルサント・アンダーワールドでテロを起こしたテロ組織と同じであることが共和国情報部と元老院情報部の調査で分かった。それと同時に敵のアジトもだ、まず君達にはこれを攻撃しテロリストを殲滅してもらう』

 

別のホログラムが浮き上がりテロリストのアジトがある場所が添付された。

 

『我々はアーゴウのアジトの殲滅を任された。こちらはローン少佐のドラグーン3だけでなくこのテナウ少佐のワイバーン4と合同で作戦を展開する。また現場での指揮は私が直接取ることになった。我々マンダロリアンの力でテロリストどもをコア・ワールドから叩き出す。我ら戦士の誓いを果たさんことを』

 

最後にそう告げてホック准将のホログラムは切れた。

 

今度はワーミス中佐とテナウ少佐が説明を行った。

 

「という訳です。よろしくお願いします、ローン少佐」

 

テナウ少佐は手を差し出した。

 

マイルズは彼の手をしっかり握り同じマンダロリアンの蒼き戦士として敬意を表した。

 

「こちらこそ、共に我ら戦士の誓いを果たさんことを」

 

700年前、マンダロリアンの戦士達がジュディシアル・フォースに組み込まれるようになってからジュディシアルのマンダロリアン達はこの文言を言うようになった。

 

我ら戦士の誓いを果たさんことを

 

それはジェダイやフォースを信奉する者達がフォースと共にあらんことをと口ずさむのと同じ意味合いを持つ。

 

彼らにとっての心の拠り所が700年前の戦士の誓いなのだ。

 

「こちらも戦力的にはあまり余力がない為あくまで輸送用に送れるのはCR90コルベット一隻だ。申し訳ないがそれを使ってコムルク級ごとアーゴウへ」

 

ワーミス中佐は少し申し訳ない顔をしていたがマイルズは「いえ、十分ですよ。手配ありがとうございます」と謙遜した。

 

「我々もあなた方の戦果を期待している。ご武運を、戦士達」

 

ワーミス中佐はまるでお手本のような敬意の籠った敬礼を彼らマンダロリアン達に向けた。

 

マンダロリアン達も戦士として、同じジュディシアルの仲間として敬意を返した。

 

この銀河ではジェダイが平和の守護者であるようにマンダロリアンもまた、同じく平和の戦士なのである。

 

 

 

 

 

 

-銀河共和国領 コア・ワールド ズグ星系 惑星アーゴウ ニュー・エスコー-

惑星アーゴウの軌道上にはジュディシアル・フォースの護衛艦群がテロリストが宇宙空間に逃走した時のことを備えて警備していた。

 

ドレッドノート級重クルーザーを主力艦としてCR90コルベットやカンセラー級クルーザーのアサルト・バージョンにキャラック級軽クルーザーやジュディシアル・フォースの空母までいる。

 

空母やドレッドノート級からは哨戒機としてティキアールと呼ばれるスターファイターやZ-95ヘッドハンターが発艦しより広範囲を警戒している。

 

地上には護衛艦群から展開されたジュディシアル・フォースの海兵部隊と現地のアーゴウ銀行セキュリティの警備隊が都市ニュー・エスコーのテロリストのアジトを封鎖していた。

 

アーゴウのテロリストはある一棟の古いビルを丸々一つアジトに改装しており市街地に被害が出ないよう厳重に包囲網が展開されている。

 

辺りにはジュディシアル・フォースの青い戦闘服を着た隊員やスピーダーが並んでおりサイレンが響き渡っている。

 

そのうちの一角にはテントが張られアジト殲滅の為の指揮官が集まっていた。

 

ここがテロリスト殲滅の前線司令部という訳だ。

 

「アジトビルは現地の警備隊とジュディシアル・フォースの第336海兵大隊で封鎖完了しました」

 

「そうか、敵の様子は?」

 

ホック准将は副官のゼルマ・カリド大尉に状況を尋ねた。

 

彼女もまたマンダロリアンでありカリド氏族の子である。

 

辺りにはホック准将の他にアーゴウ銀行セキュリティの警備隊長、第336海兵大隊のウィズマー少佐、ホログラムだが護衛艦群司令官のバルトフ少将とその他幕僚達が控えていた。

 

「地下の駐機場を封鎖している部隊と小競り合いが発生したそうですが問題なく封鎖中です。死傷者も出ていません」

 

「上空はどうだ?何か変わった様子はあるか?」

 

「いえ、特には。“()()()()()()()()()()”」

 

ホック准将は安心したような表情で小さく頷いた。

 

2人も既に戦闘服に着替えアーマーも装備しており何かあれば2人だけでもマンダロリアンとして戦える状態だ。

 

正直今から2人で突撃しても勝てそうな気がするが作戦を順調に遂行するだけでいい。

 

『こちらの封鎖も完了している。後はそちらに任せるしかない』

 

「分かっています、それにもう間も無く我々の“()()()”が到着するはずだ」

 

バルトフ少将は重苦しい表情で小さく頷いた。

 

すると彼は何やら副官か艦隊の士官から情報を受け取ったようで驚いた表情でホック准将に報告した。

 

『准将、どうやら来たようだぞ。我々の“()()()”とやらが…!』

 

ホック准将は表情を変えずに小さく頷いた。

 

これでようやく殲滅作戦スタートだ。

 

「作戦を開始する!全隊は現在の包囲網を死守しアジトの封鎖を維持せよ!少佐、砲兵中隊長を呼び出せ。彼らが来る前に準備させたい」

 

「了解!」

 

司令部はたった一つの報告で慌ただしくなり始めた。

 

通信士達が各隊に通信を取り幕僚達も各隊の報告を聞いて作戦の微調整を行なっている。

 

そうこうしている内にジュディシアル・フォースの“()()()”は地上に到着した。

 

CR90コルベットから発艦したコムルク級ガンシップ・トランスポートが1機、28名のマンダロリアン達と共に地上に降りてきた。

 

コムルク級は24名の兵員を輸送可能な上にパイロット、副操縦士、ナビゲーター、エンジニアで1人ずつ更に乗り込める。

 

その為通常1班3名の編成なのだがガンシップの操縦班は1班につき4名と通常の編成と多少異なってくる。

 

尤も操縦班まで地上に降りて戦う時はよほど人数が欲しい時かコムルク級が被弾しダメージコントロール不可となった場合くらいだが。

 

今回は少しでも人数が欲しい上に周囲の安全性は保たれている為操縦班も駆り出された。

 

パイロットやエンジニアに戦わせて大丈夫なのかと思う人もいるだろうが彼ら彼女らもまたマンダロリアンなのだ。

 

その辺の特殊部隊の隊員よりもよっぽど強い。

 

「ホック准将、ワイバーン4到着しました。隊員28名いつでも戦闘可能です」

 

テナウ少佐はヘルメット片手にホック准将に敬礼した。

 

彼の背後にはブラスター・ライフルやブラスター・ピストルを持ち戦闘を今か今かと待ち続けているマンダロリアンの勇敢な戦士達が見えた。

 

「では各班をこのポイント近くで待機させろ。こちらにも仕掛けがある為突入はまだだ」

 

「分かりました、早速展開します。班長集合!配置を伝える」

 

テナウ少佐は自らの隊の班長を集めた。

 

ホック准将もテントに戻ろうとした時ちょうど第336海兵大隊の砲兵中隊長がホック准将の前に現れ敬礼した。

 

「准将、準備完了しました!」

 

「分かった、ではワイバーン4が配置に着いたら砲撃を開始せよ」

 

「了解!」

 

准将はアーマーについたコムリンクで通信を取る。

 

「こちらの用意は完了した、いつでも行ける」

 

『了解、ではこちらもそろそろ』

 

「ああ、我ら戦士の戦い方を連中に見せてやれ」

 

 

 

 

 

 

 

辺りを囲まれたテロリスト達の中にあるのは恐怖、そして何がなんでも生きてやるという闘志の念だった。

 

確かに今は出入り口を完全にジュディシアルの青っ白い連中に囲まれ外には出れないがまだ絶望に陥るには早い。

 

こちらには何百体ものバトル・ドロイドがいる、それを一箇所にぶつければ突破口が開けるはずだ。

 

そうすれば全員は無理でもせめてアジトの幹部くらいは脱出出来る。

 

彼らには“救済”の為にも生きていてもらわねば困る。

 

アジトのビル中にバトル・ドロイドやプローブ・ドロイド、そして武装したテロリストが控え命令を待っていた。

 

これから“()()()()()()()()()”を受ける為の命令を。

 

その“()()()”に気付いたのはある1人のテロリストだった。

 

「ん?」

 

空の色とは違う何か光弾のようなものが飛んでくるのが見えたのだ。

 

しかもその光弾はこちら側に近づいてきているような気がする。

 

いや、近づいてきていたのだ。

 

直後、その光弾はビルへと直撃し辺りに効力を発揮した。

 

更に2発、3発と青白い光弾はビルに直撃し周囲にスパークと衝撃を放った。

 

「なんだ!?なんだ!?攻撃が始まったのか!?」

 

ビルの中のテロリスト達は混乱し壁側に寄った。

 

まだ自身のブラスター・ライフルは無事だがテロリスト達はあることに気づいた。

 

「どっドロイドが!!」

 

ビル中に控えていたバトル・ドロイドやプローブ・ドロイドがボディからスパークを放ち倒れていたのだ。

 

しかもドロイドのカメラからは光が消え機能が停止している。

 

「これはイオン砲攻撃か!?どっから撃ってるんだ!?」

 

「このままじゃあドロイドが1体も動かなくなっちまう!!」

 

テロリスト達は焦ったがもう遅い。

 

砲兵隊のイオン砲攻撃はこの後も一定の間を置いて続き、ビル全体にイオン砲の効力を齎した。

 

ビル中がスパークに見舞われバトル・ドロイドは1体も使い物にならなくなった。

 

「クソッ!ブラスターは無事だがこれじゃあ戦いになんねぇぞ!!」

 

「早くドロイドを復旧しろ!!」

 

「この数じゃ無理だ!!」

 

テロリスト達が混乱し絶望する中彼らの遥か上空にはテロリストを屠らんとする闘いに飢えた蒼き戦士達が静かに控えている。

 

コムルク級ガンシップ・トランスポートの中で戦士達の長であるマイルズは全員に作戦の最終確認を行なっていた。

 

「私の1班から5班までは降下と共にビルを取り囲み外部から突入する。6班から8班は屋上から内部に突入しろ。地下はワイバーン4の部隊が担当する。最後に質問は?」

 

ありませんサーイエッサー、と隊員達は答えた。

 

「よし!連中は我々の故郷も含まれる銀河共和国に対し舐めた態度を取っている。これは我々に対する挑戦だ、戦士に対する挑戦の代償は連中の命で支払ってもらう!」

 

マンダロリアンの戦士の本懐とは、舐められたら殺す。

 

名誉もなく残酷な死でその態度のツケを払わせる、それでこそ彼ら彼女らの名誉は保たれるのだ。

 

絶対的な力とそれに対する責任と誇りがマンダロリアンの戦士を銀河最強たらしめる。

 

「共和国の敵を倒せ!マンダロアの敵を倒せ!我ら戦士の誓いを果たさんことを!」

 

隊員達も口を揃えて同じく「我ら戦士の誓いを果たさんことを!」と大声で宣言した。

 

それから数秒後、地上から『イオン砲撃完了、ドラグーン3は直ちに降下されたし』と報告が入った。

 

ハッチが開きいよいよ戦闘が始まろうとしている。

 

隊員の1人が周囲の安全と昇降ランプの安全を確認しマイルズにゴーサインを出す。

 

降下よしの合図だ。

 

コムルク級からマンダロリアン達はスカイダイビングのように飛び降りた。

 

両手両足を大きく広げアーゴウの重力に引かれている。

 

マンダロリアン達にパラシュートなどというものは存在しないし頭の片隅にもないだろうが彼ら彼女らにはもっと高性能なジェットパックがあった。

 

エンジンを点火し、まるで水中にいるかのように空中を自由自在に動き回った。

 

だが彼ら彼女のらの任務は空を楽しむことではない、敵を殲滅することが任務なのだ。

 

予定通り6班から8班はビルの屋上に到達し静かに内部へと入っていった。

 

その間にマイルズ達1班から5班はビルを取り囲むように飛行している。

 

エルトンがレンジファインダーを下ろし内部の状況を確認した。

 

コムリンクを使って周りの味方に知らせる。

 

「敵確認!通路に5人、ドア近くに2人、柱の影に1人、蹲ってるのが4人、ブラスター砲を持ち出したのが……!」

 

ブラスター砲を持ってきたテロリストは早速エルトン達に向けて発砲した。

 

エルトンは寸前でブラスター砲を回避すると逆にブラスター・ライフルを向けて砲手に放った。」

 

凄まじい衝撃がエルトンの身体中を襲うがマンダロリアンの鋼の肉体の前にはなんの苦でもない。

 

「3人!!」

 

まず最初の1発がブラスター砲を放っていた砲手に当たり、その後に連射したブラスター弾が残りの2人と柱の影に隠れていた伏兵を始末した。

 

「了解!こちらも打って出るぞ!」

 

ターゲットを確認しアヴィーやマイルズ達も攻撃を開始した。

 

エルトンが報告したテロリスト達を確実に狙いビルのガラス越しからテロリストを射殺していった。

 

辛うじてまだ生きているテロリスト達は持っているブラスター・ライフルで応戦したがマンダロリアン達はジェットパックで弾丸を華麗に避け逆に弾丸を確実に撃ち込んでいった。

 

「右側の通路に3人、いや5人います!増援多数接近!」

 

「任せろ!援護する!」

 

4班の隊員の1人がテロリストを始末しながら報告し、そこにエルトンが援護に向かった。

 

ブラスター弾を放ちつつ、腕から小型ミサイルを放って一気に敵を蹴散らす。

 

奇襲と共に味方の応援に来た敵はまるで鎖のようにバタバタと倒れ通路を埋め尽くしていった。

 

その隙にアヴィーとマイルズらが先行しアジトビルに突入した。

 

窓ガラスをぶち破りブラスター・ピストルを構えながら素早く前進する。

 

ドア越しにブラスター弾を叩き込み、一部屋ずつ確実にテロリストを制圧していった。

 

「少尉!我々も行くぞ!」

 

「了解エルダー中尉!!」

 

4班の隊員と共にエルトンもビル内に突入した。

 

突入と共に早速テロリストはブラスター・ライフルの弾丸で歓迎したが腕のベスカー製アーマーで防ぎつつこちらもお返しをした。

 

ブラスター・ライフルの弾丸にテロリストは斃れ恐怖の余り逃げ出そうとした。

 

「逃すか!」

 

エルトンはジェットパックを噴射し瞬発的に反対側の通路まで飛び去り逃げようとするテロリスト達に火炎放射器を浴びせかけた。

 

左右のエンジンを調整し火炎をばら撒きながらエルトンは舞を舞うように回った。

 

広範囲に炎がばら撒かれテロリスト達は纏めて炎の前に命を散らした。

 

炎が当たらなかったテロリストに対してもエルトンは逃さない。

 

彼の持つ換装式ブラスター・ライフルを組み外し2丁のブラスター・ピストルにすると左右両方にブラスター弾を浴びせ掛けた。

 

弾丸が直撃しまたテロリスト達が撃たれて死んでいく。

 

背後からもテロリストが現れエルトンを攻撃しようとしたが後から来たアヴィーとマイルズによって全員始末された。

 

「周囲の生命反応が殆ど消えた、恐らくここら一体は制圧した」

 

「ああ、だろうな。外に出てきた奴らは全員…いや今始末したからな」

 

まだ生き残っていたテロリストをブラスター・ピストルで撃ち殺し当たり一面を制圧した。

 

既に他の班のマンダロリアン達によってこの階層や向かってきた全てのテロリストは全員倒されひとまず1階層は制圧出来た。

 

『こちら6班、最上階の制圧完了。このまま下へ向かいます』

 

屋上から突入した班も階層を一つ制圧したようで早速報告が飛んできた。

 

「了解、こちらも侵入した階層を制圧した。しかし早かったな、屋上からの奇襲とはいえ我々より人数は断然少なかっただろうに」

 

『いえ、それが…敵は我々に気づいて下の階層にすぐに退却を始めまして…なのでこのまま下へ下へと追い詰めることにしたのですが…』

 

6班の班長の報告を聞いてマイルズは眉を顰めた。

 

「妙だな、敵はどうやって逃げた?」

 

『階段とターボリフトです。ただいま追撃中、すぐに向かいます』

 

そう呟いて6班班長からの通信は切れた。

 

マイルズは2人と共に近くのターボリフト前まで歩いた。

 

撃たれたテロリスト達がまるでこのターボリフトに乗り込みたかったように斃れている。

 

「ターボリフトで逃げようとするなんて、戦闘慣れしていない奴らだな」

 

「ああ、機能が停止すれば閉じ込められるってのに」

 

エルトンとアヴィーは周囲を警戒しつつ敵の無知度を避難した。

 

マイルズも内心そう思っていたがそれよりも彼はやることがあった。

 

ドアに小型爆弾を取り付け2人と共に距離を取る。

 

当然爆弾はセットされたタイミングで爆発しターボリフトのドアを破壊した。

 

これが軍用施設だったらこう上手くはいかないだろうが所詮は民間の建物をテロリストが改装しただけのものだ。

 

ドアは綺麗に吹き飛びターボリフトの中身が見えた。

 

ここのターボリフトはリパルサーリフト式らしい、ケーブルの吊り下げ式で必要なケーブルが1本も見えなかった。

 

それから数秒も経たずにターボリフトのシャフトがこの階層に止まることなく降りてきた。

 

恐らくテロリストが山ほど乗っており一気に地下まで降りるつもりだろう。

 

マイルズはターボリフトを冷たく見下ろしながらシャフトのリパルサーリフト発生装置をブラスター・ピストルで撃ち抜いた。

 

発生装置を失ったシャフトが落下をコントロール出来ず勢いよく最下層まで墜落した。

 

急ブレーキが掛かる間も無く地面に激突しガシャーンという音を立てた。

 

後ろの2人は唖然とした表情だ。

 

「ドラグーン3全隊に通達、敵は地下へと後退している、追撃し地下で敵を掃討する。各班はこのまま階層を制圧しつつ地下で合流せよ」

 

マイルズは命令を出しターボリフトを覗き込んだ。

 

「ワイバーン4、テナウ少佐、ビルの敵が地下に向かってる。今から我々も向かうがそちらも踏ん張ってくれ」

 

『了解!数だけでは我々マンダロリアンを止められないことを見せてやりましょう!』

 

「ああ…!ここから地下に行くぞ!敵が集まってくる前に確固撃破する」

 

「分かった」

 

「ああ」

 

そういうとマイルズは真っ先にジェットパックのエンジンに火をつけターボリフトの中に飛び込んだ。

 

ジェットパックで落下をコントロールしシャフトとは違い安全に地下へ向かった。

 

同じようにエルトンとマイルズもターボリフトに飛び込みマイルズに合流した。

 

墜落したシャフトの上に立ったマイルズは丸鋸を取り出しシャフトの上部を円状に切り落とした。

 

中に入れる抜け道を作りシャフトのドアも破る。

 

3人は他の隊員よりも早く地下に合流出来た。

 

シャフトから降りて3人はブラスター・ピストルを構え隊長たるマイルズに判断を仰いだ。

 

「どうする?テナウ少佐の部隊に合流するか?それとも我々で内側から叩くか?」

 

「出来れば味方と合流したいが……そうも言ってられんな」

 

「敵がいるぞ!!入ってきやがった!!」

 

シャフトの墜落でテロリスト達が集まっており戦いは避けられない。

 

エルトンは両手のアーマーからダガーナイフと収納式リスト・ブレードを出し近接戦に備えた。

 

アヴィーもバイブロ=ナイフを取り出しブラスター・ピストルを構え狙いを定める。

 

「エルトンは左を、アヴィーは右をやれ。俺が援護する」

 

「ああ!」

 

「了解!!」

 

再びテロリストとの戦いが始まった。

 

まずマイルズの2丁のブラスター・ピストルが左右のテロリストの眉間を撃ち抜きそれと共にエルトンとアヴィーも動き出した。

 

エルトンはブラスター・ピストルの弾丸を近距離で撃ち当てながらリスト・ブレードで敵の首元を切り裂いた。

 

大柄なテロリストの懐に入り腹部に3回、素早く拳を突き出しそのまま刺殺した。

 

更に近くのテロリストの顎をダガーナイフで砕き回し蹴りで相手の首の骨を折る。

 

アヴィーも同じように敵の攻撃を躱しつつブラスター・ピストルで後方の敵を撃ち、近くのテロリストはバイブロ=ナイフで斬り殺した。

 

相手の脛を蹴りで砕き倒れた所を膝のアーマーで顔面を蹴り上げる。

 

回り込もうとしたテロリストには首元にバイブロ=ナイフを差し込んだ。

 

右側から回り込み直接攻撃しようとするテロリストにはブラスター・ピストルとリスト・レーザーの弾丸を叩き込む。

 

左右両方のテロリストが怯んだ所をマイルズの狙撃に合わせて一斉にブラスター弾を叩き込んだ。

 

逃げ出そうと背中を見せたテロリスト達は容赦なく背後から撃ち殺されバタバタと倒されていった。

 

『こちら4班、地下に到着!ワイバーン4第7班と合流しました』

 

「了解、共同で敵を制圧しろ。1人も生かしてここから出すな」

 

『もちろんです!』

 

退却するテロリストを殲滅しマイルズは他の班にも指示を出した。

 

残りのテロリストもエルトンとアヴィーがそれぞれホイッスリング・バードを飛ばし逃さずに仕留めた。

 

3人はテロリストの追撃を開始した。

 

アジトの地下はビルに比べて貧相な造でありパイプや配線が剥き出しになっている。

 

あちこちで既に銃声が聞こえジュディシアル・フォースの部隊がテロリストを徐々に押し込んでいることがよく分かる。

 

マイルズのヘルメットのコムリンクにも次々に敵を殲滅したという報告が入ってきた。

 

「クソっ!!来たぞ!!」

 

「共和国の犬どもめ!!」

 

何人かのテロリストがこれ以上行かせまいとブラスター弾を放ったが弾丸を避けられ、或いは弾かれ反撃された。

 

3人のマンダロリアンは確実に相手の急所に弾丸を叩き込み倒していく。

 

5、6人はいたはずのテロリスト達も気がつけば2、3人にまで減っていた。

 

「クソッ!!クソーッ!!」

 

「ちくしょう!!マンダロリアンどもめちくしょう!!」

 

汚い言葉で相手を罵りながら戦いの恐怖を忘れようと必死になって引き金を引き続けるが放たれた弾丸で彼らは恐怖から解放された。

 

テロリストの殲滅を確認しつつ3人は奥へと進んだ。

 

「この先、連中がここまで必死になって守ろうとするんだからきっと何かあるはずだ」

 

エルトンはドアノブをブラスター弾で破壊しドアを蹴破った。

 

そこには想像を絶する光景が広がっていた。

 

「これは…まさかドロイド製造工場か?」

 

今まで数多く任務で始末してきたテロ組織やギャング、犯罪集団の中でもこのようなバトル・ドロイドを自前で作っている組織は珍しかった。

 

しかもかなり大規模な生産ラインでOOMバトル・ドロイドをベースにある材料で作っているようだ。

 

もし攻撃が遅れてアーゴウや他の惑星にこのドロイド軍団が現れていたらと思うとそちらの方が恐ろしくて身の毛が弥立つ。

 

確かに質は悪いし見てくれも非常に不細工極まりないがそれでもこのバトル・ドロイドがブラスター・ライフルを持ってテロに参加すれば多くの民間人が殺される。

 

ドロイドは殺人を躊躇わないしそこに罪悪感もなければ疑問も抱かない。

 

どんなに質が悪くても殺人マシーンとしての脅威は変わらないのだ。

 

「一からOOMを解体して自作したにしては大規模すぎる。連中、我々が思っている以上に巨大な組織かもしれん」

 

製造ラインを見ながらマイルズはそう呟いた。

 

エルトンも同じように製造ラインを見回っていたがその時自分達が来たドアとは違う方向のドアにチラッと人影が映った。

 

「誰かいる!」とエルトンはすぐにかけ出す。

 

アヴィーとマイルズも急いでついていったが爆発的なエルトンの行動力には追いつけなかった。

 

人影を追い製造所を抜けるとそこには再び地下通路が広がっていた。

 

しかもガラス張りの窓からは駐機場のような場所が見える。

 

「逃すか!」

 

エルトンは逃げる2人のテロリストのうち片方を撃ったがもう片方には逃げられてしまった。

 

「待て!」

 

「おいエルトン!」

 

エルトンは急いで残りの1人を追いかける。

 

もしかしてここから逃げ出すつもりなんじゃないか、そんな疑念があったからだ。

 

案の定彼の疑念は当たった。

 

通路を曲がり再びドアの外に出るとさっき窓から見た駐機場に出た。

 

しかも1台だけだがランドスピーダーが停まっており残りの1人のテロリストを中に入れるつもりだった。

 

今度は逃さずそのテロリストを撃ち殺せたが肝心のランドスピーダーは既にエンジンが掛かった音がした。

 

「まさか…!我々の目を誤魔化して逃げるつもりか!」

 

ここで逃せば今回の作戦は失敗する上に作戦失敗という汚名は彼の氏族にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

追撃しないという選択肢はエルトンの中にはなかった。

 

「あのランドスピーダーが逃げる!僕が追うから2人は司令部の方を叩いてくれ!」

 

「あっ待てエルトン!」

 

「気をつけろよ!」

 

2人に事情だけ話してエルトンは素早くジェットパックを点火し追撃に向かった。

 

ブラスター・ピストルでランドスピーダーを撃つが装甲が強化されているのかあまりダメージがなかった。

 

その間にもどんどんエルトンとランドスピーダーの距離は離されていく。

 

このジェットパックは145キロは出るがランドスピーダーの最高時速はそれ以上、少なくとも200キロは出るだろう。

 

時間が経つにつれて追いつけなくなるのは明白、燃料も向こうのほうが絶対に多い。

 

ならば、こちらにも考えがある。

 

エルトンはジェットパックのミサイルをランドスピーダーに向けて放った。

 

このミサイルならばランドスピーダーの装甲でも確実に破壊出来る。

 

無論ランドスピーダーは致命的な損傷を避ける為に右に急旋回しエンジンを一つ破壊するだけで撃破には至らなかった。

 

だがそれでよかったのだ、一時的にでも速力が落ち相手の走行態勢が崩れればそれで十分だった。

 

エルトンは左腕のマンダロリアン・ヴァインブレスからグラップリング・ラインを放った。

 

グラップリング・ラインは上部のエンジン部分に巻きつきしっかりと固定された。

 

「行けるか!このまま!!」

 

エルトンはジェットパックを操作し右に急旋回した。

 

風圧や衝撃に耐えながらそのまま円を描くように半周しエルトンはランドスピーダーの目の前に現れた。

 

ジェットパックで微調整しつつブラスター・ピストルを構えてランドスピーダーの運転手を狙い撃つ。

 

動揺した顔のまま運転手は弾丸を眉間に撃ち込まれて即死し、コントロールを失ったランドスピーダーは近くの外壁に激突した。

 

助手席に座っていたテロリストは激突の衝撃で頭を強く打ち付けて即死し後部座席の2人も気絶している。

 

エルトンは激突する前にグラップリング・ラインを切り離しその場から離脱していた為無事だが少し危なかった。

 

大破したランドスピーダーを前にコムリンクで通信を取った。

 

「こちら1班、エルトン・エルダー。脱出される前にスピーダーを撃破した。しかも後部座席の2人は気絶しているだけで上手くいけば情報が取れるかもしれない、出来れば応援を要請する」

 

彼の報告はマイルズがしっかり聞いていた。

 

「こちら同じく1班マイルズ・ローン少佐だ。よくやった、無事で何よりだ。こちらも7班と合流して司令部を制圧した、そっちには6班を送る」

 

『了解、少し疲れたよ』

 

珍しくエルトンは愚痴を溢した。

 

あのランドスピーダーの追撃戦は余程身体に堪えたのだろう。

 

マイルズも冗談まじりに「もう少し頑張ってくれ」と返した。

 

するとあるものがマイルズの目に飛び込んできた。

 

「ん?これは…」

 

彼ら彼女らに取っては馴染み深い文字で馴染み深い言葉である。

 

これが彼ら彼女らの“()()()”であるからだ。

 

()()()()()()()()()()……!なんでこんなところに……」

 

マンドア語とはマンダロアの独自の言語でコンコーディアやマンダロアによっても多少の差異があったが大体言語は共通だ。

 

銀河標準語(Basic)とはかなり言葉も文字も違う。

 

当然マイルズはマンダロリアンである為こんなものすらすら読めた。

 

「この聖戦の成功を、我が主“Kriegs”へ…一体どういう意味だ?」

 

謎の文字と謎のマンドア語がこの一連の事件を新たな方向へと導いていく。

 

この戦いはまだまだ終わらない。

 

マンダロリアンから闘争が消えることは決してないように。

 

 

つづく

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