雄英高校体育祭最終種目ガチンコバトル。その第二試合はとんでもない結果で幕を
降ろした。
観客席
「うわーーー!?氷山が目の前に!?」
なんと轟が対戦相手である瀬呂をもはや災害レベルの氷結で固めてしまったのだ。
その光景に観客席はもちろん外にいた人たちも唖然とさせた。
瀬呂にたいして観客席からたくさんのドンマイコールが送られる。
これは全員瀬呂に同情せざるおえないのだ。
俺の名前は切島 鋭二郎!
「切島。悪いが俺は紅林と戦ってみたいんだ。
だからここは勝たせてもらうぜ」
「フン。その言葉そっくりそのまま返させてもらうぜ」
『うおーーーなんだ!?二人とも始まる前からなんかバチバチだぜ!?』
リング上で試合直前にお互いすごい闘気を放ちながら鉄哲と睨みあう
雄英高校ヒーロー科の1年だ。
1年A組を襲ったヴィランたちによるUSJ事件。俺はあそこで戦場のリアルってのは
いやというほど思い知らされた。そこは生きるか死ぬかの修羅場で弱い奴から
どんどん死んでいく。そんな異常な環境に俺は心底恐怖してしまった。
その影響は臨時休校の明けの登校日にも出てしまう。
俺はその日の夜に見た悪夢の影響で寝不足だった。けど俺は弱ってるのをみんなに
知られたくなかったから俺はなんとか明るく振舞おうとした。しかしその行動から
みんなが俺の状態に気づいてしまい、逆にみんなに心配を掛けさせてしまった。
(クソ.........こんなの全然漢らしくねーぜ.................みんなに気を使わせちまった)
俺はその日の昼休みの空き教室で一人悔しさで涙を流していた。だれにも
今の姿を見られたくなかったんだ。
もっと強く漢らしい自分でありたい。けど今の自分は理想とかけ離れた存在だ。
俺はどうすれば理想の漢になれるんだろう。
その時突然紅林が空き教室に入ってきた。
「お~い切島。ここにいたのか」
俺はすぐ涙を拭い紅林に顔を向ける。
「お、おう。紅林どうしたんだ?」
「実はさ、俺放課後に富樫先生に特訓付き合ってもらうことに
なってんだけどさ。もしよかったらお前も参加しないか?」
「え?ん~。わかった参加させてもらうぜ!」
富樫先生。あの人に紅林と学べばなんか少しでも変われる一歩になるかも
しれない!俺は放課後の特訓に参加することにした。
雄英高校 訓練所
特訓は俺と紅林の模擬戦から始まった。はっきり言って勝負にすらならなかった。
俺は紅林に一方的にやられてしまったんだ。あいつのパンチは異次元だ。
俺が硬化したとしてもアイツの拳の衝撃波は体の奥まで響き渡りやがる。
それだけじゃない。紅林はなんというか攻撃の受け方がうまい。まあいろんな要因により俺は紅林に
ボコボコにされてしまった。
「ハアハア........」
俺は地面に大の字に倒れてしまった。
「よし二人とも終了だ。少し休憩しろ」
「はい........」
少しの休憩のあと富樫先生の講義が始まった。
「ではまず切島。お前の体をぶつけていく戦い方は俺は嫌いじゃねー。お前の個性の使い方はいいと思う。
だがな、並みの敵ならまあ対処できるかもだが、紅林のような格上の
相手には通用しないぞ」
「う........」
その言葉に俺は息を詰まらせてしまった。先生の言う通りだと実感してしまったんだ。
「まあ、その辺は訓練で何とかなる。さあ、いまから防御と回避の特訓だ!」
「「はい!!」」
その後俺たちの地獄の特訓が始まった。
「よし!俺の拳を防御してみろ!富樫の手加減パンチ!!」
「ぐは!?」
富樫先生の拳を受けた俺の体は半回転しながら宙を舞う.........。
手加減ってなんだっけ?俺の顔は硬化したはずなのに痣だらけになっていた。
「うおー!!負けるか!!」
流石の紅林も俺ほどじゃないがボロボロにされていた。けどあいつは
全然怯まず立ち向かっていく。やっぱすげーなあいつは.........。
そして地獄の特訓1日目が終わった。
その後俺たちはこの特訓を体育祭前日まで毎日やり切ったのだ。
訓練に明け暮れ、防御の形がまとまってきたある日。休憩中に富樫先生が俺たちに
質問してきたんだ。
「なあ切島、紅林。二人にはなりたい自分とか理想の自分ってもんがあるか?」
前の俺だったらプロヒーローレッドクリムゾンのような漢気あふれるヒーローと
答えただろう。けど今の俺にはそう胸を張って言うことが出来なかった。
「なりたい自分ですか?ん~.........。あるにはあるんですが、すいません。
実は最近ヴィジョンがあやふやになってる気がします」
「そうか。ならそのヴィジョンは明確にさせてそれを目指すんだ。
プロの現場にいれば恐ろしいことが山とある。ビビったときはそいつを思い出せ!」
「なりたい自分をですか?」
「そうだ!それがしっかり思い浮かぶならどんな敵にも立ち向かっていける!
多分お前にはそういもんがあるんだろ?紅林」
富樫先生が紅林に熱い視線を向けた。すると紅林は微笑み
ながら拳を握り締め自分の顔に近づけその質問に答えた。
「はい。俺の理想の自分は曲がったことは許さないという信念に命を賭けれる男です。
この信念をつらぬくために俺はもっと強くなります」
そう返答する紅林のかっこよさに俺は見惚れてしまった。
俺も富樫先生や紅林みたいになりたい。そう心から思った。
「と、富樫先生!俺もあなたたちみたいになれるでしょうか?」
「ガハハハッ!なれると思うぞ。最初から強い奴なんていねー。
あの華太だって昔は今のように強くなかった」
「え?小峠先生が?」
「おう。昔、華太は喧嘩があまり強くなかった。けどなあいつはな
歯を食いしばってその現実と戦い続けたんだ。そして今あいつは組の
みんなから信頼される極道に成り上がった。あいつを見ていると俺は思うんだ。
強くなるのに一番必要なのはきっとその道を極めようとする魂だって」
「道を極めようとする魂........」
「そうだ!道を極めると書いて極道。それが修羅の世界の生き方だと俺は思っている!
お前も理想の自分を見つけてその道を極めるんだ!
そうすればきっとお前は最高の漢になれる!!」
俺のなりたい自分はなんだ?
紅林のような熱い男か?先生たちのような腕っぷしの男か?
それともあの時のような情けない自分と決別することか?
いやちがうな。俺のなりたい自分は........!
『ただ後悔のねえ生き方 それが俺にとっての漢気よ!』
どんなときも任侠に命を賭けれる最高の漢だ!!
話は戻って現在。
俺は対戦相手の鉄哲リング中央で睨みあった後審判のミッドナイト先生に指示に従い
定位置に。鉄哲と睨みあってわかったがあいつもなんか雰囲気が以前と全然ちがった。
恐らくあいつも特別教師のだれかから指導を受けたのだろう。戦うのが楽しみだ!
『試合———開始!』
「うおー!!行くぞ!!」
試合開始の合図とともに俺たちは個性を発動させ、お互いの所に向かって走る!
「切島ー!!」
「鉄哲ー!!」
俺たちはお互いの名前を叫びながらほぼ同時タイミングで助走を付けたフルスイングを
互いの顔面に打ち合った!威力は互角........ではなかった。
「おらー!!」
「グアーーー!!」
俺は鉄哲のフルスイングを受け後ろに吹き飛ばされてしまった!!
なんとこの拳の打ち合いは鉄哲に軍配が上がったのだ!
「クソ!」
俺は何とか空中で体勢を整え地面に着地する。それを見た鉄哲は
俺に追撃を食らわせるために俺の所に走る!
「おらー!!まだまだ行くぜ!!」
「ぐ!?」
鉄哲の大量のパンチが俺を襲う!奴の拳は中々鋭く俺の硬化した肌を
何箇所か抉った!俺は何とか防御の姿勢を取ったがダメージを多く受けてしまった!
「どうだ!近藤先生直伝の極道パンチだぜ!!」
そう。鉄哲はあの近藤先生からパンチの撃ち方を教わったらしい。
近藤先生の主な武器はメリケンサック。その動きと鉄哲の
鋼鉄の拳は見事にマッチしていたのだ!!
「クソ!」
このままじゃジリ貧だ!俺はなんとか反撃のタイミングを見計らい
強引に奴に拳をあてに行く!
「烈怒交吽咤(レッドカウンター)!!」
俺はカウンターの右ストレートを奴の顔面にかました!
しかし俺の拳に伝わってきたのはまるで壁を殴ったかのような
不動感のみだった。
「な、なに!?」
なんと奴は俺の拳を受けて平然としてやがったんだ!
「こんなの全然効かねーぜ!おら!!」
「グアーーーー!?」
俺は奴からお返しのパンチを顔面に受け吹き飛ばされてしまう!
俺はそのまま地面に大の字でぶっ倒れてしまった。
「ハハハハハ!どうだ!!俺はこの時のために海瀬先生にも鍛えて貰ってたのさ!!」
そうやつは海瀬先生にも鍛えてもらっていたのだ!その内容は狂気的なもので
海瀬先生に金砕棒で本気で自分の体を殴ってもらうというものだった!
『おらー!!軟体動物になっとけやーーーーー!!!!!!!!』
『うおー!!負けねーぜ!!!!』
その特訓のおかげでやつは文字通り鋼鉄の要塞と化していたのだ!
俺はなんとか立ち上がり再び防御の姿勢を取る。
(クソ。攻撃だけじゃねー。防御という点においてもうやつの方が上か!
こいつに勝つにはもう........あれしかない!覚悟を決めろ!!)
『いいか切島。お前の防御の姿勢を捨てての硬化は2つのシチュエーションまで切り札として取っておけ』
『2つのシチュエーション?』
『そうだ。一つは後ろに守るべき奴らがいるとき。
そしてもう一つは起死回生の逆転を狙う時だ!相手の攻撃をお前のガチガチに固めた体ではじき返すんだ!その時相手の人生ごとはじき返すつもりで歯を食いしばれ!』
『じ........人生ごとはじき返す........』
『耐えればそこにチャンスがある。どんな奴でも殴った直後に隙があるんだよ』
(覚悟を固めろ!俺はこいつの人生ごとはじき返す!!)
「これでしまいだーーーーー!!!!」
やつはとどめを刺すべく俺の顔面に渾身のパンチを食らわせる!
俺はその拳を全身をガチガチに固め、覚悟を決めて受け止めた!!
(グ!?鼻骨が粉砕しちまった........だがやっと隙を見つけたぜ!
拳に魂を込めろ!!)
やつは俺がこの一撃でダウンすると思ったようで驚いた顔をしていた。
俺はこの隙をつく!!
「どうせなら一発貰ってけよ!!烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!」
俺の魂を乗せたボディブローがやつの鳩尾に直撃した。
「グハ!?」
(や、やばい!?俺のスティールを超えてきやがった!?)
鉄哲は腹の痛みに耐えかね腹を抑えながら後ろに下がろうとする。
この隙こそ千載一遇の大チャンスだった!!
(もっとだ!!拳にもっと力を込めろ!!あの紅林のように
一撃で戦況をかえるようなあの一撃を!!)
俺は拳を固く握りしめ、腰を大きくひねって素早く構える!そして限界まで固めた拳を
に鉄哲の顔面に振り落とした!
「おらー!!顔面陥没しとけやー!!!!!!!!」
「グべ!!!!!!????」
俺の渾身のフルスイングは奴の鋼鉄の体を粉砕した!俺の拳を受けた鉄哲は鼻血を噴水のようにまき散らしながら地面に大の字で倒れた。そして鉄哲は気絶する前にぼっそと一言喋る。
「お前の........勝ちだ........」
『鉄哲君、戦闘不能!よって勝者、切島君!!』
「よっしゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
俺は勝利の雄たけびを上げた!俺は1回戦突破だ!
紅林お前も絶対上がってこいよ!!俺と勝負だ!!
切島と鉄哲。この体育祭の後ヒーローコスチュームを変える決意をする。
そして紅林の紹介を受け、西城にデザインを頼むのだが........おっと
これはまだ先のお話。