姉と姪といって誤魔化しました。
俺の名前は我妻京也。
「よし。全員集まったね」
犯罪組織、戒炎を束ねるヴィランだ。
この日俺はある計画の実行のため幹部をヴィラン連合のアジトに集めていた。
俺たちは今バーの部屋を借りて幹部会を始めようとしていた。
「幹部全員集めるとは!何が始まるのか楽しみだな~!アッハ~!!」
上堂新一。笑う死神の異名を待つ、二丁拳銃使い。
「早く終わらせてくれると助かる。俺はまだ今日の鍛錬を終えていないのだ」
遊馬大介。青藍の長ドスを使用する実力派の剣豪。
「我妻様。今回はお呼びいただきありがとうございます」
角中正樹。棒術の達人にして戒炎屈指の我妻の狂信者。
「早く始めてくれ!俺には時間がないんだ!」
榊原周。古流武術をマスターした双剣の使い手。
「静かにしろ貴様ら!まもなく我妻さんのお話が始まるから待て!」
緋田 功哲郎。戒炎のナンバー3にして冷酷無慈悲な傭兵。
「じゃあ始めようか。我妻ちゃん」
麻生成凪。戒炎のナンバー2で我妻の右腕的存在。
「うんそうだね。じゃあ今から幹部会を開始する」
「俺たちは三日後全員でヴィラン連合の死柄木弔たちと協力して
雄英高校の合宿所を襲う。その襲撃時の目的の理由は二つ。なるべく
奴らに深手を負わせること。そして雄英高校の何人か最低でもこの四人を誘拐することだ」
俺はとある四人の写真を取り出す。
「誘拐対象は........爆豪勝己、緑谷出久、紅林二郎、久我虎徹だ。
爆豪、緑谷に関しては弔たちのメンバーに任せる。そして紅林、久我は俺たちがやる
................って言いたいところだけどこいつらは例の二人に任せようと思う」
「へ~。あの二人に。けど彼ら信用できんの?」
「フフフ。俺たちへの忠誠心の点では信用できないね。けど今回の任務の成功に関しては
絶対的に信用していい。なんせ彼らはあの二人に絶対的な憎悪を持っている。
心配ごとと言えば殺してしまうことだけど、約束はちゃんとさせてるし、
最終的なトドメは譲るって言ってあるから大丈夫かな?ってことで俺たちは
派手に暴れて雄英高校の奴らの注意を引けばいい。だからみんな好きに殺して
回っていいよ。けど一条康明には十分気をつけるように」
「OKだ。でも今回の件といいオールフォーワンは一体なにを企んでいるんだろうね?」
「差し詰め弔への教育に向けての何かだろうね。けどそれも無駄に終わる。
弔にはちゃんと死んでもらうからね」
「おいおい。ついにあの方を出しく抜くの?正直リスクがベリーハイだぜ」
「フフフ麻生の心配はごもっともだ。実際俺もやつに制約の個性をかけられている。
弔を殺すなっていうね。けど彼を殺すのは俺じゃなくていい」
「え?どういうこと?」
「まあこれは今後のお楽しみだ。楽しみにしていてよ」
戒炎の悪意は、そして狂気は膨れ上がり続けていた。
俺の名前は紅林二郎!
「行くぞA組!!」
「おう!!」
A組のみんなと共に魔獣の森を攻略しようとしている雄英高校ヒーロー科の1年だ。
雄英高校の林間合宿。その最初の試練はとても狂ったものだった。
「な、なんじゃこれは!?わー!!??」
バスで知らない崖のエリアに連れてからヒーローグループプッシーキャッツの一人
ピクシーボブが個性土流を発動させ俺たちを崖の下へと落としたんだ!
崖の下で俺たちを待っていたのは土の魔獣!俺たちは合宿所を目指すために
この森の攻略を目指す!
「いくよ!二郎君!!」
「おう!任せろ!!」
俺と出久は見事なコンビネーションで魔獣たちを倒していく。
他のメンバーたちもうまく連携してどんどん魔獣たちを倒していった。
それから夕暮れまで時間が流れる................。
「ハアハア................どこが3時間ですか!?」
俺たちは昼食抜き................いやその必要もないな。あれ?
出久が股間をおさえてうずくまってる何があったんだ?
その後俺たちはプッシーキャッツたちが用意してくれた夕食を頂いた。
く~!二回目の人生のなかで一番うまいかもしれない。みんなも
一心不乱に飯に食らいついていた。その後俺たち露天風呂へと入ることになる。
露天風呂
「ハア~。すごい気持ちいいね二郎君」
「ああ。極楽とは正にこのことだな」
俺たちは疲れた体を湯舟に浸からせる幸せを嚙みしていた。そんな中
切島が俺と出久に質問してきた。
「二人の体ってやっぱりすごいよな!入学当時から思ってたけど
一体どんなトレーニングしてたんだ?」
「え?あ~そうだな。中学の頃はまあ普通に長距離のランニングとか組手とか。
あと海岸のゴミ拾いとかもやったな」
「え?ゴミ拾い?」
「ああ。結構キツいぞ。違法投棄された家電やらなんやろを運ぶのは」
「そうだったね。最初の時は腰とかすごく痛めたりして本当に大変だったよ」
「へ~。いいなそれ!みんなの役に立てるし、体鍛えれるしでいいこと尽くしだな!」
「うむ!2人とも素晴らしいじゃないか!!」
切島以外にも飯田が俺たちを褒めてくれた。
「求められてるのはこの壁の向こうなんスよ...」
皆が思い思いに風呂を楽しんでいる中、一人木の壁に耳をくっつける峰田
「ホラ...いるんスよ...男女の入浴時間ずらさないなんて事故...そう、もうこれは事故なんスよ...」
おいおい!あいつ何をしようとしてやがる!?まさか!!
「おい峰田!やめろ!」
「壁とは...越えるためにある!!Plus Ultra !!」
「教訓を汚すなって...あ........」
「どうしたんだよ切島?ってゲ!?」
「おい峰田?テメー外道に落ちる気か?」
「え................?グべ!?」
その時!腰にタオルを巻いた小峠先生が峰田の首を掴む。
「外道に落ちるなら........お前は俺の粛清対象だな~峰田?」
「カヒュ!?カヒュ⁉チェンチェー........」
「一回落ちとけ」
「ギャ!?」
峰田は強制的に気絶させられ、裸のまま脱衣所に放置された。
「ハ~!いい湯だな。ん?どうしたお前ら?そんなだんまりして」
全員湯舟の中で正座していた。いやいやあんたが怖すぎるせいだよ小峠先生。
そんな中、切島はチラチラと小峠先生の背中を見ていた。
「おい切島。聞きたいことがあるならちゃんと口に出せ。正直鬱陶しい」
「あ、はい。あの........その背中について聞きたいんですが」
「見ればわかるだろ?昇り鯉の刺青だ。俺が若い時にこの世界に骨埋める決意を
固まるためにいれたものだ」
「へ~。なんかすごいカッコいいすね!どこで入れたんすか?」
「........それ聞いてどうする気だ?」
「え?いや........あの........漢らしくてかっこいいし........俺も入れてみようかなって。
って痛た」
小峠先生は切島の頭に軽くチョップをかます。
「馬鹿野郎。これはファッションで入れるもんじゃねぇ。いれたら最後絶対に消えないし
世間からもあんまりいい目で見られなくなっちまう。そして何よりお前らはまだ子供だ。
そんなことしたら親が悲しんじますぞ。
まあ、ある程度年取って覚悟をきめたのなら紹介ぐらいはしてやるよ」
「うっす!!」
そういって切島は気合の入った返事をした。しかし刺青について語る
小峠先生の表情が何故か俺には寂しそうに見えたんだ。
みんなが眠りについた深夜。小峠先生は一人施設の出口の近くで
タバコを吸いながらスマホの画面を眺めていた。そこに映っていたのは
若かった時の自分ととある中年男性。
「江藤の兄貴。今日、生徒に刺青入れてみたいって
言われちゃいましたよ」
「あれ?小峠さんじゃないですか?眠れないんですか?」
小峠先生がボーとしていると寝巻の姿をしたマンダレイこと
送崎信乃が現れたのだ。
「ああ。こんにちわ送崎さん。そうですね職業柄の理由もありますが
今は寝る気分ではないですね」
「ああ、確か天羽事務所は夜の繁華街を守っているですものね。
それにしてもさっきからスマホを見ながらブツブツ言ってましたけど
どうしたんですか?」
「ああ。ちょっと過去のことを思い出していましたね。死んだ兄貴たちの
ことを思い出していたんです」
「そ、そうなんですか........ごめんなさい、不謹慎でしたね」
「いえいえ気にしてませんよ。俺たち極道ヒーローは常に死と
隣り合わせですからね。畳の上で死ねるのは稀。けど俺たちはそれを覚悟の上で
極道を張っています。江藤の兄貴、喜多川の兄貴、米倉の兄貴。みんな
その覚悟を胸に散っていきました。だから俺も兄貴たちに恥じないようにって
今日まで命を張ってここまで来れたんです。あの人たちの死を絶対に無駄にはしません」
その話をきいたマンダレイは目に薄っすらと涙を流していた。
そして彼女も静かに口を開き話を始める。
「実は私の姉もヒーローをしていたんです。けどとあるヴィランとの
戦いで殉職してしまいした。大切な一人息子を残して」
「それがあの洸汰君ですか」
「はい。私も小峠先生と同じように姉の死を無駄にしないようにと頑張ってます。
けど........あの子にはそれが理解できないんです。あの子は自分の両親の死が
納得していません。自分の両親はなんで命なんかかけたのか理解できないんです。
ヒーローたちが何故あんなに命をかけられるのかって........
私は残されたあの子になにをしてあげればいいんでしょか.......うう」
小峠先生は黙って彼女の嘆きを聞き続けていた。しかし小峠には
彼女の望む答えを返すことが出来なかった。
この時俺たちは知らなかった。
この林間合宿が俺たちの運命を狂わせることになるなんて。
次回、林間合宿が悪夢に染まる
合宿パートは短めですぐ襲撃パートに入るかも