俺の名前は紅林二郎。
事務所の屋上でプロヒーローサーナイトアイと話す雄英高校ヒーロー科の1年だ。
サーナイトアイ。オールマイトと出久の個性であるワンフォーオールの秘密を知る
数少ない者たちの一人。だがオールマイトとの仲はあまりよくないらしい。
なんでも喧嘩別れしてしまったとか。
「紅林。彼を············私は緑谷出久をワンフォーオールの継承者として
認めていない」
「············そうなんすね」
屋上での話の中俺たちはワンフォーオールの後継者のことについて話をしていた。
サーナイトアイはどうやら出久がワンフォーオールを受け継いだことを認めていないらしい。
少し不服だが話をこの人の話を聞くと妙に納得できる部分があった。
確かにその責任重大な力を無個性の得体のしれない少年に渡すなど事情を知らない
ナイトアイから見たらたまったものじゃなかっただろう。ミリオ先輩のような
優秀な候補がいたというのに························。
「彼は多少の実力は持ち合わせているらしいがミリオの力には
まだ全然及ばない。彼は············オールマイトの平和の象徴を受けつぐに
値する人材だと君は思うかい?」
「············え?」
俺はその質問を聞いた瞬間············焦りが生まれた。
平和の象徴を受け継ぐ、それがワンフォーオールという個性を受け継いだ
者が負う責任。だが今の出久はその責任を果たせる状態なのだろうか?
アイツはヒーローを目指す心が我妻の策略によって破壊されてしまった。
アイツは今我妻を倒すことしか正直頭にない。
『二郎君。僕はまだ戦うよ。我妻を············戒炎を止めないといけない。
けど我妻を倒したら僕はヒーローをやめようと思う。僕はヒーローには
なれない。その気持ちは変わらないから』
『そうか············』
『それでさ二郎君。ワンフォーオールの次の継承者のことをオールマイトと話し合ったんだけど············
二郎君。君が継承してくれない?』
『!?』
「すいません···········その質問には今答えることはできません」
「···········そうか」
サーナイトアイとの話で俺たちはこの社会の運命を握るであろう選択を迫られている
ことを強く再認識した。俺は···········俺たちは一体どんな選択をすればいいんだ?
そんな考えがしばらく俺の頭を悩ませることとなる。
俺の名前は切島鋭児郎!
「おいコラクソガキ共。街中で暴れおって···········覚悟はできてるんやろうな?」
「ひ~!?ご、ごめんなさい!」
「もう悪さしないから許して···········」
(うおー···········渋谷さん迫力半端ないな)
関西の天王寺事務所でインターンをさせてもらっている雄英高校ヒーロー科の1年だ。
俺は今天王寺事務所二大武闘派の一つである戸狩派のナンバー2である渋谷大智さん
に面倒を見てもらっている。この夜俺はこの人と共に街で暴れたヴィランたちの
対応を行っていた。
「おらー!!クソガキ共全員痛い目見とけー!!」
「「「「ぎゃー!!??」」」」
渋谷さんは武器を使わず拳とその身のこなしでヴィランたちをのしていく。
「や、やばい!逃げろ!」
ヴィランの一人がバイクに乗り仲間を一人後ろに乗せて逃げようとする。
俺はすぐさまそいつらを逃がさないよう前に立とうと動いたが
それよりも早く渋谷さんがバイクのハンドルを握っている奴の頭を鷲づかみにする。
そしてそのまま引きずり落した。
「ぎゃー!?」
「おいコラクソガキ。俺から逃げれると思うたんか?」
そして渋谷さんはそのまま奴を睨みつける。奴は恐怖のあまり
ガクガクと震え涙を流した。
「た、助けて···········」
「このままサツに引き渡しや。ブタ箱でしばらく反省しぃ」
(うお·······!渋谷さんこえーな)
その後俺は渋谷さん共にとあるお好み焼き屋で夕食を取ることに。
渋谷さんはよく大阪のグルメを俺に奢ってくれるんだ。
「うまい!この前の店のとはまた違った良さがあります!」
「おー!それが分かるとは切島なかなかやるやないか!まあ俺も
この店には初めて来たんやけどな。この前ファットはんにこの店の
ことを教えてもらたんや」
「ファットさんって···········もしかしてもしかしてプロヒーローのファットガムすか!?」
「そうや!あの人とはよく大阪のグルメを語り合う仲なんやで。たまに
お互いの行きつけの店の情報を交換したりしてるんや」
「へー!そうなんすね!」
店を後にした後俺たちは事務所に戻ろうと街中を歩く。そんな中
前の方で何か騒ぎが起こった。なにか大きな人だかりができている
「なんでしょうか?」
「何か揉め事やな、ヒーローもいる感じやが念のためちょっと様子を見とくか」
俺たちは状況を確認するために揉め事の起こっている所へと歩い行く。
しかしその瞬間···········発砲音が全体に響き渡った。
「渋谷さん!」
「ああ!すぐに助太刀や!」
俺と渋谷さんはすぐさまトラブルの現場へと走った。
そしてその場のヒーローたちへ声を上げる。
「天王寺事務所、渋谷が応援にきたで!ってファットはんやないか!?」
「し、渋谷君!?なんでここに···········ってそんな場合ちゃう!
うちのインターン生の天喰が撃たれた!犯人はあっちの方に··········」
「あっちすね!渋谷さん俺行きます!」
「え!?お、おい!!」
俺はすぐさま逃げっていた奴を追いかけていった。
「おい!待てこの野郎!!」
「ち!付いてくるなや!!」
俺は奴を追いかけとある路地裏へと入っていく。そしてその場は行き止まりに
なっており奴は逃げ場を失っていた。
「観念しやがれ!」
「クソ!オラー!!」
奴は右手に刃を発現させて俺に斬りかかりに来る。だが俺は冷静に
足を上にあげて伸ばし、奴の顔面にハイキックを食らわした。
「おら!!」
「グハ··········!」
奴は俺のキックを受けて鼻血を吹きだしながら後ろに吹き飛びその場に倒れる。
そして俺はすぐさま倒れた奴の胸ぐらを掴み無理やり目線を合わさせる。
「おい!街中でチャカはじくなんて何を考えてやがるんだ!?それに
撃ったなら撃ったで意地を張り通せよ··········!仲間助ける姿勢を貫き通せよ!」
「ひ!そ、そら兄貴助けたいわアホンダラ!でも怖いやん。
むしろ撃った勇気を褒めろや!強くなりたかったんや··········」
奴はそういって涙を流し始めた。だが俺はそんなことをお構いなしに
奴の頬に渾身の右ストレートを放った。
「そんな生半可な覚悟で悪事に加担してんじゃねぇ!一回意識飛んどけ!!」
「グァ!?」
俺の拳を受けた奴はそのまま吹き飛ばされその場に倒れ込んだ。
先生方から教わった戦場の心得!敵に反撃の可能性を与えるな。
なるべく敵に能力を引き出す隙を与えないようにしろ。だから
こうして意識を奪うのが一番だ。
「おう。捕まえたみたいやな」
「渋谷さん」
「まったく!勝手に突っ走んなやボケ!まあ捕まえたみたいやから
今回は許したる。やけど次はあんま勝手動かんといてや」
「はい!すいません!!」
「じゃあこいつ警察に突き出すで」
そういって渋谷さんは気絶したヴィランを肩に担いぎ、俺たちは
そのままファットガムの所へと向かって行った。けどこの時の俺は知らなかった。
この小さな事件がとある大事件を引き起こすということを。
次回、紅林。謎の少女と出会う。