俺の名前は紅林二郎。
死穢八斎會の若頭である治崎ことオーバーホールを追いつめている
インターン生だ。
俺が奴に再び拳を叩き込もうとしたその時俺たちのいる大部屋の天井が
大きく崩れる。それと同時に鉄砲玉『八斎衆』の活瓶力也とドラゴン状態の
リューキュウがこの地下の空間に落ちてきたのだ。その一瞬の出来事は奴に
逃げる隙を与えてしまう。
「い、今だ!」
「な!?」
奴は地面に手を付けて個性を発動させる。すると奴の立っていた地面は再構築され
開かれ太陽が見える天井に向かって伸びて行った。
「覚えていろ!!いつか壊理は絶対に返してもらう!!」
そう奴は逃亡の選択を取ったのだ。
「おい··········この後に及んで逃げる気か··············!?なめんじゃねぇぞコラ!!」
俺は足にありったけの力を込める。
(足がお釈迦になってもいい!今は限界を変えたジャンプを!!)
「おらー!!」
俺は自分の足の限界を変えたパワーでジャンプする。俺はあっという間に奴の
横に並んだ··············かに見えた。
「うお··············!?」
だが俺は自分の最高到達点を超えてしまい急上昇が止まる。そして下に落ちていくのを
予感した。だが奴はスピードを緩めることなく地上へと向かって行く!
「く、クソ!」
奴をこのままじゃあ取り逃がしちまう。ここまでかと悔しさで拳を握りそうになったその瞬間下から声が。
「二郎君!!」
「な!?出久!?」
なんと出久が下から飛びあがってきたのだ!そしてアイツは俺より上の位置に飛ぶと
下にいる俺に向かって手を伸ばしてきた。俺はすぐにその意図を理解する。俺はすぐさま
出久の手をを掴んだ。
「出久!!」
「二郎君!!」
「「うおーーー!!!!」」
出久はワンフォーオールで握った手を強化し俺を上へとぶん投げる!そして俺は一気に奴の
頭上へと到達した!
「な·············!?」
奴は信じられないという表情で俺を·············俺の拳を見つめた。
「これで終わりじゃ·············クソ野郎!!」
(これは俺だけの·············壊理ちゃんの分だけじゃねぇ!これは今回の
事件にかかわった仲間たちの怒り·············!そして!)
「みんなの想いが籠った拳だーーー!!!」
その時俺の拳が真っ赤に染まる。そしてその上に虹色の光が·············!
「顔面陥没しとけ!!この外道が!!!!!!!!!!」
「ギャーーーー!!!!!????」
俺は空中から過去一番のフルスイングを奴の顔面に叩きつけた!
「ガ·············」
その風圧で奴の足場もすべて崩壊し、その勢いのまま地面に向かって落ちていく。
そして奴は地面にクレーターが出来るほどの勢いで叩きつけられた。
「··························」
奴は完全に気を失っていた。
「やった·············!やったぞ」
俺はそう呟きながら地面に落ちて行った。
「た、倒しおった!」
「フン、あの二人やりがったか!」
戸狩と永瀬は壊理ちゃんその光景を見て勝利を確信していた。だが3人の安否がまだ確認できてない。
3人はすぐに彼らの元へと走っていった。そして地面に倒れている俺とその横で
座り込んでいる出久を見つけた。
「二人とも平気か!?」
「はい·············なんとか」
「僕も·············」
「あ、赤髪のお兄さん·············」
永瀬に抱きかかえられていた壊理ちゃんは下ろされ俺の元へと
歩み寄ってきた。心配そうな目をする彼女に俺はなんとか立ち上がり
笑顔を向ける。
「もう大丈夫だ。壊理ちゃん。遅くなってごめんな」
俺の言葉を聞いた彼女は声を出しながら泣き俺に抱き着いてきた。
そんな彼女を俺は優しく抱きしめ返した。
その後死穢八斎會のメンバーは2人を除いて全員逮捕。組織の事実所の壊滅に
成功した。一人は恐らく逃亡。もう一人は·········生きているのか死んでいるのかわからない。
何故なら奴はオーバーホールと合体してしまったのだから。やつが異形の姿となったのは
それが原因らしい。
我妻、東雲、秋元はオーバーホールが倒されたタイミングで逃亡して、取り逃がしてしまった。
それから数時間後
「ハァ!ハァ!」
俺は病院で軽く治療を受けた後とある病室に向かって走っていた。
普通病院の廊下を走るなんて駄目なことだが今の俺はそれどころではなかった。
俺はすぐさまとある棟のとある集中治療室に入る。そこにいたはバブルガール。
そして体に沢山の管につながれベットに横たわるサーナイトアイ。
「紅林君··········」
「バブルガール!ナイトアイは!?」
「お医者さんが言うにはもう··········この人は········」
「そ、そんな··········」
彼女の口から告げられたのは残酷な事実だった。サーナイトアイは
重傷のミリオ先輩と壊理ちゃんを連れて逃げようとした時オーバーホールの放った
岩の棘に体を貫かれてしまったのだ。その傷は致命傷だった。
俺は震える体を無理やり落ち着かせサーナイトアイの体の傍に立つ。
「な、ナイトアイ··········」
「ああ····················紅林··········ミリオは··········?」
「すいません··········先輩は出血がひどくて··········一命はとりとめたんですけど··········
うう··········まだ目覚めてません··········」
俺はこの辛い事実を瀕死のサーナイトアイに伝えた。俺は説明の途中で
ポロポロと涙をこぼしてしまう。
「そうか··········じゃあ伝えておいてくれるか?お前は将来立派なヒーローに
なっていると··········。予知なんか使わなくても··········それだけはわかるんだ··········」
「はい··········!はい··········!!絶対に伝えます!!俺が··········責任を持って··········!!」
俺は号泣しながらナイトアイの手を握る。無理だと分かってもこの人の鼓動が
止まらないようにと願いを込めながら両手で握り締めた。
「うう··········うう··········」
「そして紅林··········短い間だったが·········インターンに··········来てくれてありがとう」
「え··········?」
「君とミリオとの時間は··········とても楽しかった··········」
その時サーナイトアイの頭をよぎったのは事務所で三人で昼食を取っていた
時の何気ない時の記憶。
『紅林君って本当に頑丈なんだよね!どうしたらそんな体を手に入れらるんだい?』
『はい!毎日ゆで卵を殻ごと食っていますから!』
『え!?そんなことで頑丈になれるの!?』
『フフフ·········そんなわけないだろミリオ』
「どうか忘れないでくれ·········元気とユーモアのない社会に明るい未来はない·········
だから笑おう紅林·········笑っていろ·········」
「はい·······はい·········!忘れません!絶対に·········絶対に·········!!」
その後サーナイトアイは永遠の眠りについた。俺は·········ナイトアイがなくなった後も
その場で泣き続けた。
その後俺は病院の屋上で沈みゆく太陽をただ一人涙しながら眺めていた。
「サーナイトアイ。あなたのこと一生忘れません·········!」
元気とユーモアの絶えない明るい社会。そんな世界を実現してみる。
俺はそう心から誓った。
死んだ先人の想いを継ぐ。紅林にとってこれは初めての経験だった。
次回、護送車に戒炎の魔の手が
悩む上鳴に矢部の兄貴が
彼の死に際にオールマイトは間に合いませんでした。