八咫烏をお空の身体から出ていかせれたと思った。
しかし、それがマチガイだった。
なぜ、お空に背を向けた。
直後、腹部に今まで経験したことのない痛み。
なんだこれは。
まるで、内側から灼かれているかのように、熱い。
気づいた時にはもう遅かった。
血が自分の口から出たとき、初めて自分が攻撃を受けたのだと知った。
そこからは身体が言うことを聞いてくれなかった。
自分の身体は重力に逆らうこともできずに落下していく。
「三狐神さん!」
雷炎が叫んでいる。
でもそれもあまり聞こえない。
このまま灼熱地獄へと落ちるのか。
ガシッ。
何者かが自分を助けてくれたのか。
う………もう……意識が………。
○
「紫苑!」
「雪炎か。こいつを頼む。」
牡丹はそれだけを言って八咫烏、お空のもとへと飛び立った。
「こんな三狐神、初めて見た。」
三狐神の腹部には風穴が空いており、意識を失っていた。
(主人公補正とやらでなんとかできないのか?)
答えはどちらでもない。
すまない、雪炎。
「さとりさん、あとは………そこにいるんでしょ?無意識少女。」
「わー、見つかっちゃったー。」
「とりあえず、頼む。」
「………稲荷大明神様は………。」
「………もうどうにでもなってしまえ。」
雪炎が弱気になっている。
珍しい。
「行くぞ。」
「はい、紫苑さんを死なせる訳にはいかないので。」
雪炎と雷炎は八咫烏が発する『波』を頼りに飛行を続ける。
「………。」
「し、おんさん………?」
たどり着いたときに二人は絶句した。
なぜなら、紫苑は気を失って尚八咫烏と交戦していたのだ。
普通ならばありえない。
なのに、なぜ?
「勇儀!星熊 勇儀!此処に来たれ!」
紫苑が吼えた。
「なっ…………!」
「うそ……だろう………!?」
紫苑は気を失ってるんだぞ?
なのに、こうも動き、声を発せられる?
「とりあえず………、雷炎、紫苑と勇儀のサポートに。」
「言われずとも………、」
「さて、自分は………」
できることをやる。
倒せなくても足止めくらいなら自分にもできる。
今の、稲荷大明神のこの力全て使い果たしても、
神でなくなっても、
何も、悔いなどないのだから。
「ウカノミタマノオオカミ、力を貸してください。」
雪炎はそういうと、
「掛巻も恐き稲荷大神の大前に、恐み恐みも白さく
大神の厚き広き恩頼に依て家門を令起賜ひ
令起賜ひ夜の守り日の守りに守幸へ賜へ恐み恐みも白す。」
そういった。
これは稲荷祝詞といい、本当ならばもっと長い長文なのだが、
雪炎の場合なら略してもウカノミタマを呼び出せるのだ。
いつ出るのかは不定期だが。
QのBGMかっこよすぎだろ!