「紫様!藍様!」
「おお、橙か。」
橙。私の式神でとてもかわいい。
尻尾はまだ二つと知識経験と共に少ないが、彼女なりに努力しようとする姿をよく目にする。
そういえば、私も九尾になる前は今の橙のようだったな。
○
私がまだ五尾だったとき辺りから記憶は無い、つまりは忘れてしまったのだが、日々雑魚の妖怪に襲われ、蹴散らし、食い漁った。
そんな日常に嫌気が差し、私は旅を始めた。
旅をしていく内に色々なことを学んだ。
知識、文化、その他諸々………あ、しっかり妖術の腕も磨いたぞ?
そうして大体500年が経った。
九尾に、念願の九尾狐になったのだ。
九尾はどの妖怪からも恐れられる存在。
で、その九尾になって私は調子に乗りすぎたのだ。
私は、今の月の都に行こうとした。
案の定、警備に見つかり、脱出しようとした。
そうしたら、銃で撃たれたのだ。
体中に32発。自分でもなぜ死ななかったのか不思議でならない。
撃たれた後は、意識がなくなって、だ。
その後も旅を続けた。
道中度々三狐神と遭遇することもあったが、軽い挨拶を交わすくらいだった。
また生きて会える。
特に神の三狐神だからこそ、安心して軽い挨拶を交わせたのだろう。
○
しばらくして、紫様と出会った。
あ、出会ったんじゃない、三狐神に紹介してもらったのだ。
紫様は腹の中が読めない。
だから好奇心がそそられた。
だから苦楽を共にできた。
かわいい式神も作れた。
幸せだった。
今の、今まではな。
『メリーさん』
こいつに人間が多数殺されたと聞いたとき、紫様は、泣いた。
幻想郷のことを第一に考える賢者だ。
紫様が泣いたからには、その涙の分のけじめはとってもらう。
そう思ってメリーさんを橙と探しに出たが、
「あら?九尾の狐はそんなものかしら?」
全く攻撃が通じない。
暖簾に腕押し。
ただ自分がナイフで身体を徐々に抉られ、削られるだけの戦いとなった。
橙は逃した。
だから心配はいらない。
「ぐっ、ごほっ……」
ここまで死を間近に感じたのは久しぶりだ。
スペルカードルール完全無視の『昔の戦い』。
「私の正体、教えようか?」
「…………」
「私は古明地こいし。」
「!?」
こいし?
あの覚妖怪の妹が、一連の犯人、だと?
「古明地こいし、なぜ、こんなことをする。」
「うーん、なんだろうね、ただ単に『殺したい』からかな?」
「………」
「聞きたいことは終わり?じゃあ、殺すね。」
こいしが高くナイフを振り上げる。
チリンチリン。
乾いた鈴の音。
どこからだ。
「この化け猫を寄越してきたのは、お前だな、藍。」
「ちぇ……ごほっごほっ!」
まずい、どこか内臓が負傷して上手く息ができない。
「あら、『偽物』も来たのね。」
「おい、『メリーさん』。久しぶりに俺を怒らせてくれてありがとうよ、」
「三狐神?」
「かかってこい!」