みんなで乾杯をした後。
なぜか俺、コクトは半人半霊の剣士と手合わせをすることになった。
別に今じゃなくても良くない?
「あー、まずハンデとして、俺は能力を一切使わない。」
「容赦なく斬っていいと?」
「俺が『斬れれば』の話だけどな。」
このセリフに妖夢は色めき立つ。
下に見られていることに少しカチンと来たのだろう。
「もう始めていいですよ、ねっ!」
勝手に妖夢が試合を始めてしまった。
まあいいや…………。
「(月面最強格の剣士かは知らないけど、とりあえず間合いに入った瞬間に斬る。ただそれだけ。)」
妖夢が二振りの刀でコクトを斬り裂こうとした…………
「どうした?そんなものか?」
「…………!」
コクトは一振りの刀だけで妖夢の刀を両方止めたのだ。
妖夢はコクトの刀を振り払い、再び落雷のような踏み込みを見せる。
「遅い。」
気がついた時には、妖夢の首筋にコクトの刀の切っ先が当たりかけていた。
「これで俺の勝ちか。」
「………なぜ、能力を使わないんですか?」
「………あ?」
「能力を使えば、もっと早く終わる筈なのに。」
「やってみるか?」
コクトの言葉に急に重みが感じられるようになった。
「これさ、使い方次第で毒にも薬にもなる、ある種の危険な能力だ、そんなのをここではいどうぞって見せる奴は居ない。」
「………そうですか。」
「やる?三狐神。」
「できるんなら、やるけど?」
三狐神のこの言葉に宴会に参加している全員が沸き立った。
「さて、全力出してもいいよ?」
「あら、じゃあお言葉に甘えて………。」
「全力で足掻く!」
もはや宴会では無くなってきた気がする。
「mode∶INFELNO ZERO BIGBANG」
「挑まなきゃよかった。」
「吐いた唾は飲めないぞ、三狐神。」
「久しぶりに使うか。」
「?」
「変えて、と………時よ止まれ!!」
三狐神の声に呼応するように、辺りの時間が完全に止まる。
三狐神は神狐をナイフに変え、大量にコクトの目の前に飛ばした。
「あと3、2、1………そして時は動き出す。」
「ぬあああああ!?こりゃ反則だろ!」
「そりゃどう……、も!」
三狐神はさらにナイフを投げつける。
そしてそれを防ごうとコクトは刀を振るう。
「こうなると思った………。」
「あーあ、負けたのは久しぶりだよ、」
正面の防御に極振りしたら必ず横がガラ空きになる、そこを三狐神は狙った。
どうせきりがないと避けるかさっきのように刀で防ごうとするかのどちらかだから、三狐神は賭けに出た。
結局その賭けは三狐神が勝ったのだが。
「戻るか、まだまだ夜は長い。」