「………月まで384,400kmあるんだよね?」
「そうだよ?」
「それを僕一人で行けと?」
「yes.」
でも"こうすれば"一瞬で月に行ける。
(地球から月までの距離を『変えた』だけです。)
「………チート………。」
「やかましい。」
お前も十分チート能力だろ。
「そんじゃ、行ってきまーす!」
「死なないようにねー。」
○
「着地………あ。」
着地の勢いで大きめのクレーターを作ってしまった。
まあいいや。
「………これが"最後"であればいいんだけど………。」
最後か、
「もうこんなに神力を持ってても使い道もない。」
………ならいっそのこと他の作品にでも出張しようかな、と考えていた時だった。
「ギャーーーッ!!」
悲鳴が聞こえた。
「嫦娥よ、見てるか!?お前らの月のうさぎがどんどん死んでるぞ!」
「………。」
もう限界だ。
「天死。」
僕は一つ、刀を『変えて』投げつけた。
「!」
しかしそれもすぐに『純化』されてしまう。
「………………。」
「やっと来たか………三狐神…………!」
純狐はまるで獲物を狙うかのような目をしていた。
「………なぜ、」
「なぜ、月のうさぎ達を襲う。」
本来ならほとんど無関係なのに、なぜ純化するのか、その理由を聞きたい。
「嫦娥を出してもらう為さ……!」
そんなことの為に………!
「ハッ………ハハハハハ!!」
もはや呆れるしかない。
「そんな我欲の為に人が築き上げてきた物を壊そうというのか……………!」
「私はただ嫦娥を出して欲しいだけだ。」
「そう………なら、」
僕は一瞬で間合いを詰める。
「この世から、消えてもらう。」
「(速………)」
そして、身体を爪で引き裂く。
刀は使いたくない。
できるだけ、苦しませる。
「…………。」
「まだ、断罪が終わった訳でもない、僕が殺されるか、お前が死ぬまで、終わらない。」
警告した。
確かに、月に行く前に、警告をした。
それを無視したなら、どうなっても文句は言えまい。
「吐いた唾は飲めないぞ、裏切り者!」
もはやこいつに慈悲の心などいらない。
「さて、純狐、最後に警告しよう、」
純狐の目の前に立つと、
「まだ戦うか?」
僕の問いに対して、
「………もういいわ。」
不貞腐れたように純狐はこう答えた。
「………なら、」
改めて神狐を構え、
「満足するまで、手合わせをしようか………。」
もう、僕にはこれくらいしか出来ないけど、
「あ、もちろん死合とかじゃないよ?」
「ヤメローシニタクナイー」
「殺しはしないよ………。」
本当にこれで"最後"になるのだろうか?