廃棄寸前の砂糖水   作:とくめ一

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▼wavebox(拍手機能的なやつ)始めました。
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黄猿の能力に関しての作者の予想に対する答えを公式からお出しされる前にどうにかここまでは書きたかったので、急ピッチで仕上げました。なのでいつも通りそれっぽい捏造全開です。楽しかった……。




足掻け。超えろ。失わない為に。

 

 カイドウが海軍を惹きつけてくれているお陰で、私はどうにか気づかれることなくミニオン島まで来られた。

 ……少し不都合なことはあるけど。

 

「こうも雪が積もっていると足が冷えそうだな。抱えて移動してやろうか」

「キングさん……」

 

 そう。カイドウから、避難の条件としてキングを護衛として連れていくように言われてしまったのである。

 

「私は氷系統の技も使うんだから、寒さには結構耐性あるんだよ?」

「……そうか」

 

 因みにワノ国を出る時にカイドウにも同じような説明をしたのだが、「それでもだ」と一蹴された為私は今超高性能冬用ブーツを着用している。足がとてもあったかい。すごい。

 

 キングも私の履いているブーツのことは知っている筈なんだけどなぁ……。

 

「ところでさっきから妙に迷い無く進んでるようだが、今はどこに向かってんだ」

「ん〜、面白そうな方?」

「……つまり分かってねェのか」

 

 勿論そんな訳はないし目的地はある。ロシナンテ達が来る予定の崖だ。

 ……多少の制約こそあるにしても、大口真神の伝説に『道案内』の要素が含まれていて助かった。

 

 なんてことを考えている内に目的地らしい崖が見えてきて。

 後はあそこに潜んでロシナンテを待って、上手いこと交渉して契約を結べば作戦はほぼ成功である。いやその交渉が厄介なのだが。

 

 万が一にも失敗するわけにはいかない。ロシナンテ達も来ていない内に、交渉内容の最終確認もしておこう。

 

 

 □■□

 

 

「何か来た。お前は隠れていろ」

 

 キングのその声を聞いて海の方を見ると、確かに小舟がこちらへ近づいてきているのが見える。恐らく、いや、間違いなくロシナンテ達だ。

 私は取り出した望遠鏡を覗き込みながら、キングに問いかけた。

 

「……キングさん。あの船に乗ってる子、肌に白いのが浮き出てるけど……あれは何?」

「白い……?」

 

 差し出した望遠鏡を受け取って覗き込んだキングは、直後信じられない物を見たような反応をした。

 

「…………まさか、珀鉛病か!?」

「珀鉛病って確か、フレバンスの?」

「あぁ。国ごと政府に消された筈だが……生き残りがいたらしいな」

「……ねぇ、ちょっと私だけであの人達と話してみてもいいかな」

 

 まぁ十中八九断られるだろうけど、キングがいると警戒されるからと正直に言えばゴリ押せるだろう。

 海兵が四皇幹部のことを知らない筈もないし、流石にキングを連れて行くのはマズい。

 

「………………危険を感じたらすぐに逃げろ」

「へ?」

 

 あれ?? 

 

「何を驚いてる」

「……断られるかと思ってた」

「……政府にも狙われるお荷物を抱えている相手だ。おれが一緒ならともかく、お前みたいなガキを突然攻撃するほど暇人とも思えねェ」

 

 ぽかんとした顔でキングの方を向くと、キングはそう答えて顔を背けてしまった。

 

「……おれはすぐに対応出来る距離にいるからな」

 

 それだけ言って獣型になり空へと飛んだキングを見る私の脳内は、クエスチョンマークで一杯だ。

 まさかあのキングが、こんなにも簡単に頼みを聞いてくれるなんて。

 

 一体、どうして──…………あ。

 ……そっか、生き残り(・・・・)……。

 

 確証は無いけれど、間違っている気もしない。

 

 思わぬ幸運だと喜びきることもできないまま、私は崖の上の茂みに身を隠すのだった。

 

 

 □■□

 

 

 嵐に揉まれながらもどうにか到着したミニオン島。

 ここなら誰にも見つからないだろうと崖下に小舟を停め、おれはローを抱えて崖の上に登った。

 

 あと少し、あと少しだ。

 耐えてくれよ、ロー……!! 

 

 歯を食いしばりながら情報を元に島の東に向かおうとした、その時。

 

「ねぇ」

 

 突然聞こえた声に、おれは思わず足を止めた。

 振り向いた先にいたのは、般若のような面をつけた子どもだ。聞こえた声からすると女だろう。

 ……何故こんな島に子どもが……? 

 

 おれの警戒など気にも留めていない様子で、少女は言葉を続ける。

 

「その子、珀鉛病だよね」

「!! ……だったらなんだ」

 

 ──ドジった。子どものような見た目に油断した。

 政府関係者……いや、おれの知らない間に増えたファミリーの関係者か……!? 

 

 冷や汗が流れる感覚にどうにか平静を保ちながら、バレないように懐の拳銃に手を伸ばす、が。

 

「取引しようと思って」

「取引……?」

 

 予想だにしなかった言葉に、おれは目を見開いた。

 

「もしあなたが戦闘不能状態に陥ってその子を守れない状態になることがあったら、私がその子を逃してあげる。その代わり、あなたには私の奴隷になってほしい。どうかな」

「そんな誘いに乗ると思うか? ……そもそも、お前は何を知ってる」

「何も知らないよ。でも分かりやすい弱味をぶら下げてるんだから、利用しない手はないかなって」

「ウッ」

 

 確かに珀鉛病のことを知っているなら、おれが政府から狙われていることも察しがつくだろう。

 

「勿論、あなたがその子を守れなくなるような状態にならなければこの取引は無かったことにするよ。まぁつまり、万が一の時の保険ってことだね。

 ……味方が欲しいのはお互い様だと思うけど、どうする?」

「お前が取引を成立させる為におれ達の邪魔をする可能性だってあるだろ」

「心配ならあなたの危機に私が加担してたら取引は破棄ってことで良いけど……そんなまどろっこしいことするくらいなら、あなたからその子を奪ってそのままその子を人質に言うこと聞かせてるよ」

「……」

 

 怪しいことこの上ない誘いではあるが、今のおれはそれを加味してもこの取引に応じたい状況にある。……だが……。

 

「……コラさん……」

「ロー!」

「そんな取引、応じなくていい。コラさんが奴隷にされるくらいなら、おれの命なんて、助からなくても……」

 

 ……おれは、何を迷ってんだ……! 

 

「分かった、取引成立だ」

「っコラさん!?」

 

 これが罠でも構わねェ。

 ローを守れるなら、何だって利用してやる。

 

「よかった。じゃあ、頑張ってね」

 

 おれの覚悟を知ってか知らずか、少女は感情の読めない声でそう告げた。

 

 

 □■□

 

 

 少女とロシナンテが取引をしている頃、スワロー島では苛烈な戦闘が繰り広げられていた。

 

 既に周囲にはボルサリーノ以外の海兵はいない。つるを含めた全員が、遠方にいる百獣海賊団と戦っているのである。

 カイドウとて弱者をいたぶりたい訳ではないし、目の前から消えてくれるのであれば願ってもない。自分の部下であればつる達相手にも凌げるだろうし、わざわざリスクを背負って深追いする必要もないのである。

 

 よって戦場に残っているのは、距離を取りつつ遠距離攻撃を放ってくるボルサリーノと、それに対応するカイドウのみ。

 

 カイドウも強者としてボルサリーノの立ち回りの上手さには感心するが、その反面苛立ちもかなり募っていた。

 

「ア〜……ちょこまかちょこまかと、ウザってェ……!!」

「まともにやり合って勝てると思うほど驕っちゃあいねェよォ」

 

 ……中々賢明だが、時間稼ぎが透けてンなァ。

 

 しかしそれが分かったところで、だ。

 

 倒されそうかと言えばそんなことは無いのだが、当たらない攻撃がストレスであることに変わりはない。

 

 長距離攻撃は避けられる……が、距離を詰める方法も思いつかねェな。

 

 こんなことならこの男が来る前にヤマトを避難させてつるを戦闘不能に追い込んで、さっさと目的地のルーベック島に移動しておくんだった。

 そこまで考えたカイドウは、ふととある会話を思い出した。

 

『今日は何を読んでんだ?』

『この前の誕生日にパパがくれた本の中にあった、ベガパンクの著書だよ』

『あァ、そういやァそんな本も混じってたな。面白ェのか?』

『色んな事が書いてあって面白いよ。例えば、光は一秒で30万kmくらい進めるとか……』

『……まァ、面白ェならいい』

 

 そして湧いて出たのは、明確な違和感。

 

 …………試してみるだけの価値はあるな。

 

 一つの可能性を確かめる為、おれはその場で獣型に変型した。

 

「“龍巻壊風(たつまきかいふう)”!!」

「おっとっとォ……っ!?」

 

 案の定光になって攻撃を避ける姿を見て間髪入れず叩き込んだ熱息(ボロブレス)を、あの海兵は避けきれずに吹き飛んだ。

 しかしすぐにこちらへと戻ってきた男に、おれは一度攻撃の手を止め口を開く。

 

「ギリギリ武装色で防御したのは褒めてやるが……どうやら思った通りみてェだな」

 

 救援に来る速度然り、この戦闘中回避や移動にかけている時間然り。

 当然人間の速度とは比べ物にならない程度には速いし、政府のイヌ共の使う(ソル)とかいう技よりも速いのは確かだ。

 

 だが、あの本の情報が事実なのだとしたら──

 

「てめェ、能力を制御しきれてねェんだろう」

「!!」

 

 ──この男は、遅すぎる(・・・・)

 

 最初頭に浮かんだ可能性は二つ。

 

 一つ目が悪魔の実が本物の光を再現できていない可能性だが、これはほぼあり得ないだろう。何せ常識破りの悪魔の実だ。できない事がある方が想像できない。

 となると、必然的にもう一つの可能性が有力になってくるわけで。

 

「……いや、その言い方は意地が悪ィか。『人間としての感覚や認知機能で間に合わせるにゃあ光ってモンが速すぎる』っつった方が正しいな。

 だからてめェの動体視力で対応できる速度じゃねェと移動ができねェし、回避一つにも繊細なコントロールが必要になる。うっかりにでもこの場から離れすぎりゃあ、その一瞬の隙でおれは向こうでウチの奴らと()り合ってる軍艦を片付けられるからなァ」

 

 何故かは知らないが百獣海賊団(おれ達)をここに留めておきたいらしい海軍側からすれば、つるたちを消されるのはどうあっても防ぎたいだろう。

 

「とはいえそのスピードを出せる動体視力と感覚は大したモンだ。厄介なことには変わりねェ。

 …………だがな。人間と変わらねェ部分があるなら、おれは全力でそこを叩き潰しに行くぞ」

 

 要はあの男の動きを予測して、移動先に現れるとほぼ同時にそこへ攻撃を叩きつければ良い。

 決して簡単なことではないが、余裕が無くなれば無くなるほど綻びは生まれやすくなるわけで。

 

「さァどうする。逃げに転じるってんならおれは追いつけねェが……」

「冗談のセンスはねェみてェだなァ〜……。

 お前がわっしの動きを読むってんなら、わっしはそれすら追いつけねェ速度で動くだけだよォ」

「ウォロロロロロ! そう来ねェとなぁ!! 

 精々、おれの期待を超えて見せろ!!」

 

 

ハーメルンを最もよく開くのは大体何時頃ですか?(投稿時間の参考にするための質問です)

  • 夜中(23時〜5時)
  • 早朝(5時〜7時)
  • 朝頃(7時〜12時)
  • 昼頃(12時〜16時)
  • 夕方(16時〜19時)
  • 夜(19時〜23時)
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