廃棄寸前の砂糖水   作:とくめ一

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今日も元気におねだりおねだり!~パパー、護衛が欲しいな三人くらい~

 

 さて、おでんを座敷牢に閉じ込めて約一ヶ月程が経った頃。

 

「パパ~、ひまだよ~……」

 

 私は退屈で疲弊していた。

 だって私のいられる場所といえば鬼ヶ島だけだし、おでんにも一方的に話すだけだから流石に最近話題が尽きてきたし……。

 

「あァ?散歩にでも行くか?」

「ううん。パパいそがしいでしょ?」

「ウォロロロロ、おめェはそんなこと気にする必要はねェと言ってるだろ?」

 

 ……私だけなら、ギリギリ顔を隠して町を歩ける。しかしこの着いてくる気満々の男を連れていくとなるとそうもいかない。もう体のサイズだけで誰か即バレである。

 とはいえ一人で町に行くのは流石にハイリスク過ぎるし……。

 

「でもわたし、お仕事がんばるパパ好きだから……だいじょうぶ!がまんできるよ!」

「おめェは本当に良い子だなァ……!!

 ワノ国の統治に関する諸々が済んだら沢山構ってやるからな」

「うん!楽しみ!!」

 

 アーーー護衛が欲しい~~~~~。

 自由にやっててもカイドウに報告しない、カイドウの部下じゃない私直属の護衛が欲しいよ~~~~~。

 

 え?おでんがいるだろって?

 無理に決まっとるやろがい!!

 力抑え込んでないと何しでかすか分からないし、外になんて連れ出せるわけないし、顔が見られたら大問題だから!!何よりあんな暴れ馬の手綱握れるか!!

 生きてるって知られただけでも民衆の敵意の火種になりかねないのに……あ。

 

 …………そういえば、いたなぁ。

 おでんが生きてるっていう情報と私の立場を使えば、護衛に出来ないこともない人たち。

 

 ……原作とは流れも違うし色々心配事もあるけど……ま、とりあえずやってみるか!!

 

 思い立ったが吉日。

 私は早速私を膝に乗せて書類──城の改築案らしい設計図──に目を通しているカイドウに声をかけた。

 

「ねぇパパ」

「ん~?」

「天岩戸に、お侍さんが三人くらいいるんでしょ?」

「……どこで聞いた?」

「みんなが話してたよ?」

「……はァ…………お前にゃ知らせねェつもりだったんだがな」

 

 ため息をつくカイドウは、彼らの存在を知ればカイドウの知る“ヤマト”がどういう行動に出るのか察していたのかもしれない。

 

「パパ、わたしごえいがほしいな!三人くらい!」

「……お前は優しすぎるぞ……」

「えへへ、パパのむすめだもん!」

 

 まぁ、実際は脳内打算だらけなんですけどね~!!

 カイドウの中の“ヤマト”は天真爛漫で優しい性格ってことになってるから、それになぞらえて動きますとも!わはは!

 

「しかし……あいつらは手強いぞ?

 おでんと違って弱りきってるわけでもねェし……」

「でもおでんさんのお友達なんでしょ?」

「!……ウォロロロロ!!なるほどなァ。

 やっぱり、血は争えねぇモンだな」

「??パパに似てるってこと?」

「あァ、そうだ」

「えへへへ、やったぁ!」

 

 ──知ってるよ。

 人を容赦なく利用して、苦しめて、心を痛めることがない残酷なところがそっくりだなんてこと。

 

 

 

 そんなこと、もう、とっくに。

 

 

□■□

 

 

 ──天岩戸が、開いた。

 

 

 カイドウが遂に業を煮やし我ら三人の処刑を決めたかと思い、このまま殺されるのならばせめて一矢報いてやろうと刀も持たぬなりに身構えたが、開いた岩戸から顔を出したのは一人の幼子だった。

 

「あの……大名の、人たちですか?」

「…………そうでござるが。おぬしはなんだ」

「わ、わたしはヤマト。カイドウのむすめです」

 

 そう言われてハッとした。

 あの大きな角、そして白い髪。

 花の都で、おでんの処刑を止めた娘だ。

 

「その、わたしの、ごえいになってくれませんか!!」

 

 緊張したような面持ちで少女が告げたその言葉に思わず一瞬目を見開いて、それから一つため息をついた。

 

「……自分の父に負けた侍に何を申すかと思えば……他を当たれ」

「でっ、でも、わたしはあなたたちがいいの!」

 

 甘やかされて育ってきたのだろうか。

 駄々を捏ねる少女の言葉に首を振り、更に返す。

 

「拙者達は既に仕える主君を定めた身。

 頼まれたからと乗り換えるような覚悟であるならば、今こうしてここにはおらんよ」

 

「──……その、しゅくんのためでも?」

 

 頑として断りの姿勢を見せ続けていると、突然少女の雰囲気ががらりと変わった。

 先程までの幼い表情は何処かへと消え失せ、貼り付けたような穏やかな微笑みでこちらを見ている。

 

「……どういうことだ」

「おでんさんは、生きてるよ」

「!!」

「ッな!?」

「嘘をつくな!」

 

 皆一様に動揺を見せるが、少女の表情はまったく変わらない。

 凪いだ水面のように、穏やかな瞳でこちらを見たままで言葉を紡ぐばかりだ。

 

「パパはおでんさんを殺さないよ、わたしのお願いだから。

 ……でもわたしが死んじゃったりしたら、どうなると思う?」

「キサマ……ッ!!」

「こようきかんは二十年。その間だけは、何があってもわたしがあなたたちみんなをまもる。

 あなたたちは二十年を待てるしおでんさんもまもれる。代わりにわたしはあなたたちにまもってもらえる。

 ……おたがいにとって、とくしかないと思わない?」

 

 反論できない我らに、少女は微笑む。

 満足そうに、幸せそうに、なのにどこか薄っぺらい、真意の見えない表情で、微笑み続けている。

 

「…………おでんに、会わせてくれぬか。話はそれからにござる」

 

 

 






■幕間■

「おぬしの提案を呑もう。
 ……だが、何ゆえ二十年後までなのだ」
「…………ひつようがなくなるから」
「っ、それは……!」
「あ、ころすとかじゃないよ。
 おでんさんを閉じ込めておくひつようがなくなるってだけ。そのころにはわたしにごえいをつける意味もなくなってるだろうし」
「……おぬしには、一体何が見えている?」
「…………結末、かな」

 幸福かどうかは、分からないけれど。

ハーメルンを最もよく開くのは大体何時頃ですか?(投稿時間の参考にするための質問です)

  • 夜中(23時〜5時)
  • 早朝(5時〜7時)
  • 朝頃(7時〜12時)
  • 昼頃(12時〜16時)
  • 夕方(16時〜19時)
  • 夜(19時〜23時)
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