廃棄寸前の砂糖水   作:とくめ一

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【前書き】

 おっほっほほホオーウホッホアアー!!!(某掲示板ネタ)

 今日はフルーツ大臣である私が、あんた達にジャムとコンポートの違いを教えに来たよォ!

 フルーツを控えめの砂糖を加えて煮込んだものがコンポート!
 大量の砂糖を加えて煮詰めたものがジャム!
 保存期間もコンポートとジャムじゃ大きく異なるわけさね!

 へっへっへっへ!! こいつはすげえぜ!! まるでグルメ小説みてえじゃねえか!!(某掲示板ネタ)

 んでもこの作品の完結時期に関しては一切が謎のままだねぇ(雑コラ感)


 □■□

 評価、ここすき、コメント、お気に入り登録などなど、いつも本当にありがとうございます!
 今後も皆様にお楽しみいただけるよう精進いたします!

(追記:
▼ジャムレシピ参考ページ
https://cookpad.com/jp/recipes/20703150-%E6%A1%9C%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%A0 )





そうだ ジャム、作ろう。

 

 あの後カイドウやら看板やらに大量のお土産を渡して色々話したりなんかして眠った次の日。

 

 私は、ワノ国の厨房に立っていた。

 

「今日は桜のジャムを作ります」

「じゃむ」

 

 監督役兼調理補助を申し出たカイドウが、少し驚いたように私の言葉を繰り返す。

 

「菓子を作るってんなら、最初はクッキーなんかからだと思ってたんだがな」

「それも考えたけど、ワノ国ってジャムがないでしょ?

 今後クッキーとかケーキとかマフィンとか色々作るときにも使えるし、先にそういうのを作っておいても損はないと──ちょっと待ってお父様ってお菓子とか作ったことあるの!?」

 

 カイドウから『お菓子を作るならまずはクッキーとかから』みたいな話が出てくることってあるんだ!!?

 

「おれァねェが……昔、知り合いのババアが腹減らした時に『クッキーを作れ』と言われてよ。

 なんでクッキーなんだと訊いたら、あのババア『ガキに菓子を作らせる時は大体クッキーから作らせるから』だとか言ってきやがって、それからそういうイメージになった」

 

 ……絶対ビッグなマムのことだ……。

 ……そして絶対ロックスな海賊団の頃の話だ……。

 

 唐突に飛び出してきたとんでもない頃の情報に、私が「へー……」としか返せなかったのは仕方のない話だと思いたい。

 

「で、まずは何すりゃァ良いんだ?」

「え、あっ、と……」

 

 今回作る桜ジャムの量だが、カイドウやら看板やらの食べる量が多いことも考えて、桜二百キロ分は作ろうと思っている。

 つまり本来であれば桜を二百キロ分軽く洗い、それを乾かし、がくを取り……というところから始めるのだが、桜の回収と洗いと干しは昨日の晩に。それらの回収とがく取りは今日の早朝に、周りに手伝ってもらいつつ済ませておいた。

 

 なので今回は、まず材料の準備から始めていくとしよう。

 

「じゃあ、そこの食料倉庫から頼んだ量の材料を運んできてほしいな」

「おう、任せろ」

 

 本を見せながらそう告げるとカイドウはドンと胸を叩いた。

 作る量が量なだけに材料の量も比例して多くなるので、カイドウが手伝ってくれるのは頼もしい限りだ。

 

「あー、まずペクチンが五十キロ」

「ペクチン?」

「ゲル化剤のことだね」

「使う花びらが二百キロな割にゃあ、まあまあ使うモンだな」

「そうかな? こんなもんだよ」

 

 なんて会話を挟みつつ、まずは五十キロ分のペクチンを運んできてもらい、ついでに鍋に入れてもらう。

 

「で、次が……えーっと……」

 

 普通のレシピではこんなに馬鹿げた量作る想定で書かれてないから仕方ないけど、一々計算しなきゃいけないの割と面倒だなぁ。

 一回外国で買う前に計算したメモ、ちゃんと残しとけばよかった。

 

「砂糖が一トン」

「ちょっと待て」

 

 と、突然カイドウの待ったが入った。

 一体どうしたというのか。

 

「……あ、必要な砂糖はちゃんと外で買ってきてあるから、鬼ヶ島の在庫を変に減らすことはないから安心してね」

「ンな心配しなくても、そのくらいいくらだって買ってきてやる。──じゃなくてだな」

 

 あれ、違うのか。

 

「花びらは二百キロなんだろ?」

「そうだね」

「砂糖は?」

「一トン」

「花びらなんぞ大した味はねェよな」

「まぁ、うん」

「……なら今から作るのは、ジャムっぽい砂糖なんじゃねぇのか……?」

「……」

「……」

 

 

 …………君のような勘のいい四皇(ゾク)は嫌いだよ……。

 

 

「か、香りとか色とかはちゃんとつくから……」

 

 そう目を逸らすと、カイドウも「まぁ、そうだな」と目を逸らした。

 ……今度作るなら苺ジャムとかにしよう。

 

「だが甘みをつけるにしても、材料の五倍ってのは多すぎる気がしちまうな」

「あぁ。砂糖はジャムを腐りにくくする意味でも入れてあるんだよ」

「……材料の五倍分も入れなきゃなんねェのか」

「うん。中途半端に砂糖を入れると、逆に腐りやすくなっちゃうんだって」

「なるほどな……」

 

 話しながら、カイドウはひょいと一トン分の砂糖を運んできてくれた。

 

 うーん、まあまあ大きめの冷蔵庫サイズの量の──重さで言えば一般的な袋入り砂糖千個分の砂糖をあんなに軽々と持って来るところを見ると、やはり四皇だなぁとしみじみ思う。

 砂糖を運んでる四皇が四皇らしいかと問われるとちょっと悩むけど。

 

 

 □■□

 

 

「お父様!」

 

 自分の体に対して幾分か大きい手押し車をガラガラと押しながら、カイドウの方へと駆ける。

 手押し車の上に乗っているのは、クローシュ──料理に使われる大抵銀色のドーム状の蓋みたいなアレ──だ。

 

「おお、どうしたヤマト」

「昨日ジャム作り手伝ってもらったから、お礼を持ってきたんだ」

「あァ? 山ほど土産貰ったんだ。礼なんざなくても構わねェってのに……」

 

 そう告げるカイドウに「いいからいいから」と言いながらカイドウの前まで押してきた手押し車のストッパーを下ろして、巨大なクローシュを持ち上げる。

 

「じゃーん! お父様と完成させたジャムで作った、ジャム大福!」

 

 クローシュのお陰でまだ温かいジャム大福を見て、カイドウがぽかんと目を見開いた。

 

「……これを、お前が作ったのか?」

「うん! ──って言っても、生地を作ってジャムを包んだだけだけどね。

 できたての温かいのが美味しいらしいから、折角ならお父様に一番に食べてほしくて持ってきたんだ」

 

 カイドウは私の言葉を聞くと、何度か私と大福を交互に見て、「お前がそう言うなら」と恐る恐るといった様子で大福に手を伸ばして。

 そのまま僅かに手を震わせながら大福を一口分口に含んだカイドウは、細部まで味わうように咀嚼を繰り返してから大福を嚥下し、かと思うとそのまま固まってしまった。

 

 ……一応味見はしたのだが、口に合わなかったのだろうか。

 

 不安に思いながら自分用に持ってきていたジャム大福を口に含んだけれど、そう問題のある味には感じない。

 単にカイドウの好みに合わなかったのかもしれないと予測を立てながらカイドウに視線を戻して、今度は私が固まることになってしまった。

 

 

 ────……な、泣いてる…………!?

 

 

 カイドウはウェディングケーキを食べた時のビッグマムの如き綺麗な涙を流していたのだ。

 

「お、お父様……?」

「…………今まで食ったモンの中で一番美味(うま)い……」

「お父様!?」

 

 「一生これだけ食えと言われても構わねェ」と涙を流し続けるカイドウは正直普通に怖い。そんな大した味でもないだろうに。

 

「……え、えーっと、喜んでくれたなら良かった……?」

「『喜び』なんて言葉じゃ到底足りねェよ。お前は良い嫁になるだろうなァ」

 

 カイドウの吐いた言葉におじさん臭いなぁなんて考えていると、何故かカイドウがしなしなとしょげていってしまった。

 え? は?? 何???

 

「どうしたの?」

「……お前ェがいつか嫁に行くんだと思ったらよ、おれァ……!」

「お父様……」

 

 これは感動の『お父様……』ではない。呆れの『お父様……』である。

 私が食べたイヌイヌの実は『モデル:大口真神』ではなく『モデル:チベットスナギツネ』だったのかもしれない。

 

「私は結婚なんかしないよ」

「ンなモン分かんねェだろうがよォ……!

 うぅッ、おれァ認めねェぞ……おれを倒せるような男以外がヤマトと結婚なんぞ……!!」

 

 ほなジョイボーイか……。

 

 などというツッコミは呑み込んで、私は私の(架空の)婚姻相手のことを考えてしなしなになるカイドウを宥めるのだった。

 

 

 

ハーメルンを最もよく開くのは大体何時頃ですか?(投稿時間の参考にするための質問です)

  • 夜中(23時〜5時)
  • 早朝(5時〜7時)
  • 朝頃(7時〜12時)
  • 昼頃(12時〜16時)
  • 夕方(16時〜19時)
  • 夜(19時〜23時)
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