【第1章完】セブンでイレブン‼~現代に転移した魔王、サッカーで世界制覇を目指す~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第3話(1)基礎こそ大事

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「ゴブちゃん、もっとボールをよく見て!」

 

「へ、へい!」

 

 ななみがゴブに指導する。

 

「クーオちゃん、それじゃあボールを取れないわよ!」

 

「お、おう!」

 

 ななみがクーオのディフェンスのマズさを指摘する。

 

「ルトちゃん、パスは正確に!」

 

「は、はいっす!」

 

 ななみがルトにパスの正確性を求める。

 

「スラちゃん、そこでボールの持ちすぎは良くないわ!」

 

「は、はいラ~」

 

 ななみがスラの球離れの悪さを注意する。

 

「レムちゃん、ボールの軌道をある程度予測して動いて!」

 

「しょ、承知!」

 

 ななみがレムの動きを修正させる。

 

「トッケちゃん、相手の位置を頭に入れて!」

 

「わ、分かったみゃあ……」

 

 ななみがトッケに考えることを説く。

 

「……あ、もうこんな時間……それじゃあ、各自しばらく自主練をしておいて」

 

「はい!」

 

「ふう……」

 

 ななみがため息をつきながらグラウンドから引き上げる。クラブハウスに戻ろうとするところにベンチに腰かけていたレイブンが声をかける。

 

「……ご苦労なことじゃな」

 

「あ、レイブン……」

 

「貴様がコーチまでやるとはな……」

 

 レイブンがジャージ姿のななみを見て苦笑する。

 

「しょうがないでしょう、人手が足りないんだから」

 

「ふむ、深刻なまでの人材不足じゃな」

 

「その辺は追々解決していくわ」

 

「追々か……」

 

 レイブンが首をすくめる。

 

「それよりアンタいなかったのね、全く気が付かなかったわ」

 

「⁉ き、気が付かなかったじゃと⁉」

 

「ええ、全く」

 

「ま、全く……? この魔王の存在を忘れるとは……」

 

「何をしていたの? ……サボり?」

 

「人聞きの悪いことを言うな、優雅なティータイムを過ごしていたのじゃ」

 

「それをサボりと言うのよ」

 

「この国の『正午の紅茶』というのはなかなかの美味じゃな」

 

「ダメよ、練習はしっかりしないと」

 

「ふん、ワシに基礎練習なぞ必要はない……」

 

「基礎こそ大事よ、何事にも言えることだけど」

 

「そうか?」

 

「そうよ」

 

 レイブンが顎に手を当てて思い出すように話す。

 

「そういえば幼き頃魔法の修練を行っていたが……」

 

「アンタにも幼き頃があったのね」

 

「当然じゃろう。自分で言うのもなんじゃが、それはそれは愛らしかったぞ」

 

「……とてもじゃないけど、想像が出来ないわね」

 

「……ワシをなんだと思っているんじゃ?」

 

「てっきり最初からそういう生意気な態度をしていたのかと」

 

「な、生意気じゃと⁉」

 

「あるいはいけ好かない」

 

「い、いけ好かない⁉」

 

 ムッとするレイブンに対し、ななみはため息を一つついてから話す。

 

「はあ……私は魔法のことはさっぱり分からないけど、最初はやっぱり基本的な魔法から覚えるのでしょう?」

 

「いや、ワシの場合、最初から上級魔法が使いこなせておったからの……」

 

「なっ、天才アピール?」

 

「アピール? 事実を言っておるまでじゃ」

 

 レイブンがこれ見よがしに髪をかきあげる。

 

「くっ……」

 

「なんでも初めからソツなく上手にこなせたものじゃ……『指南役泣かせのレイブン様』と陰で呼ばれとったな……」

 

 レイブンが遠い目をする。

 

「なんでも上手に……随分と器用なのね」

 

「当然じゃ、魔王たる者、そうでなくてはならん」

 

「でもね、あなたは大事なことを忘れているわ」

 

「大事なこと?」

 

 レイブンが首を傾げる。

 

「あなたは今、どこにいるの?」

 

「はっ?」

 

「どこにいるのかと聞いているの」

 

「それは……ジパングのチバケン、フナバシシじゃろう? ちゃんと覚えているぞ」

 

「そう……あなたにとっては『異世界』よ」

 

「……何が言いたい?」

 

「これまでとは違うということよ」

 

「……」

 

「『自分の常識は他人の非常識』という言葉があるわ」

 

「……ワシにとっての常識がこの世界では通用しないと?」

 

「そういうことよ」

 

「はっ、あり得ぬことじゃ……」

 

 レイブンが笑みを浮かべる。

 

「その傲慢さに……」

 

 ななみがレイブンを指差す。

 

「うん?」

 

「足元をすくわれるかもしれないわよ?」

 

「ふん、なかなか面白い冗談を言うな……」

 

「冗談じゃないわ」

 

「なに?」

 

「それを証明してあげる」

 

「証明じゃと?」

 

 レイブンが首を捻る。

 

「そうよ」

 

「どうやって?」

 

「……練習試合を行うわ」

 

「練習試合?」

 

「ええ、近隣のチームとね」

 

「プロとやらか?」

 

「プロが受けてくれるわけないでしょう。アマチュアチームよ」

 

「そうか、まあ肩慣らしにはちょうどいいじゃろう」

 

「……舐めていると痛い目見るわよ」

 

「はん、負ける気がせんわ……それで? 試合はいつじゃ?」

 

「明日よ」

 

「明日⁉」

 

 急な話にレイブンは戸惑う。

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