【第1章完】セブンでイレブン‼~現代に転移した魔王、サッカーで世界制覇を目指す~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第12話(4)戦い終わって

「やったー!」

 

「ええ……」

 

「優勝よー!」

 

「そうね……」

 

「ヒョオー!」

 

「もう声にすらなっていないわね……」

 

「イエーイ! イエーイ!」

 

「だ、だから肩をバンバンと叩かないでよ!」

 

 フォーがななみの腕を振り払う。

 

「……な~んか冷めてるよね~?」

 

「横でそんなに狂喜乱舞されたら、かえって冷静になるものよ……」

 

「え? 狂喜はしたけど、乱舞はしていないよ?」

 

「はい?」

 

「乱舞した方が良い?」

 

「いい! しなくて良いから!」

 

 フォーが服を脱ごうとするななみを抑える。

 

「嫌だなあ、冗談だってば」

 

「冗談って……」

 

「『美人クラブ広報、半裸でピッチに乱入!』とかってなったら、とんでもないビッグスキャンダルだわ」

 

「さりげなく自分のこと美人って言ったわね……」

 

 フォーが呆れた視線を向ける。

 

「でも、ありがとう……」

 

 ななみが真顔になって話す。

 

「な、なによ、急に……」

 

「フォーちゃんが監督じゃなかったらここまでこられなかったよ……」

 

「そうかしら?」

 

「そうだよ、フォーちゃんの立てた戦術、執った采配で勝ち上がれたようなもんだもん」

 

「まあ、それはそうかもね……」

 

「否定しないんだ。そこは謙遜するのが美徳だよ~?」

 

「アタシは異世界からの転移者だから。賞賛は素直に受け取るわ」

 

「あ~それもそっか……」

 

 ななみが苦笑する。

 

「それでもアイツらがよくやってくれたわ」

 

「そうだね……」

 

 フォーとななみがピッチを見つめる。

 

「ケットシー……」

 

「ぬおっ! 賢者⁉」

 

 トッケが話しかけてきたレイナに対し身構える。

 

「なにをそんなにビビっているの?」

 

「ビ、ビビってないにゃあ……」

 

「アンタだけにじゃないけど、まったくしてやられたわ……」

 

「なにがにゃあ?」

 

「まさかシュートを撃ってこないという攻略法があるとはね……」

 

「ああ……」

 

「それで魔法が発動しなかった……」

 

「うん……」

 

「事象への理解や認識などの度合いを深める必要性があると感じたわ。この次はこうはいかないわよ。じゃあね、言いたいことはそれだけ……」

 

「出来ればもう対戦したくないにゃあ……」

 

 その場から離れるレイナの後ろ姿をトッケは苦笑交じりで見つめる。

 

「うおい!」

 

「うわっ⁉ な、なんすか?」

 

 ルトは自分の肩をガバッと抱いてきたヒルダに驚く。

 

「あのケットシーもそうだが、お前さんにもしてやられたよ!」

 

「そ、そうっすか?」

 

「そうだよ!」

 

「いやあ、苦戦したっすよ、姐御の堅い守りには……」

 

「そりゃあ鍛えているからな! ……姐御?」

 

 ボディビルのポーズを取ったヒルダが首を傾げる。

 

「あ、なんとなく、姐御って呼びたくなったっていうか……」

 

「なんじゃそりゃ」

 

「嫌だったっすか?」

 

「別に嫌じゃないけどね……」

 

 ヒルダが鼻の頭をこする。ルトがヒルダをまじまじと見つめて呟く。

 

「しかし……本当に鍛えているっすね……」

 

「ああ、もっと見ても良いぞ?」

 

 ヒルダが見せつけるようなポーズを取る。

 

「あ、もう大丈夫っす……」

 

「そうか、さらに鍛えて、次は勝つからな! 覚悟しておけよ!」

 

「……いよいよモンスターの領域へと入りそうっすね……」

 

 その場を去るヒルダの背中を見つめながらルトはボソッと呟く。

 

「へっ! どうだ!」

 

「ひっ!」

 

 ゴブに声をかけられ、ピティはビクッとなる。

 

「そ、そんなにビビらなくたっていいだろう……」

 

「す、すみません……」

 

 ピティが頭を下げる。

 

「ま、まあ、オイラの恐ろしさにあらためて気づいたってことだな?」

 

「いや、それは無いです」

 

 ピティはきっぱりと否定する。

 

「な、無いのか……」

 

「ええ、まったく」

 

「ま、まったく無いのか……」

 

「はい、ありません」

 

「そ、そうか……」

 

 ゴブはその場を去ろうとする。

 

「あ、ゴブリンさん!」

 

「あん?」

 

「優勝おめでとうございます!」

 

「うおっ⁉ ま、眩しい……!」

 

「?」

 

 ピティの心からの祝福はゴブに結構なダメージを与えた。

 

「は~はっはっは!」

 

「ひっ⁉」

 

「なにをビビってんだよ、デカい図体をして!」

 

 ビアンカがクーオの背中をバンと叩く。

 

「い、いや、おめえは……」

 

「ああん?」

 

 ビアンカが睨みつける。

 

「い、いえ、お姉様はなんというか、オラが今まで出会った中で見たことがないタイプの女騎士さんだなっていうか……」

 

「今まで出会った中って……まるで自分が経験豊富みたいな言い方してるけどさ。アンタ、どう見たってチェリー……」

 

「ち、違うべ! 断じて違うべ!」

 

「まあいいや、ワタシがオンリーワンだっていうことだね? ありがとよ、またな」

 

「正直好みではあるけど、出来ればお会いしたくはねえべ……」

 

 颯爽と去っていくビアンカを見つめながらクーオは呟く。

 

「ゴーレムさん!」

 

「な、なんだ?」

 

 話しかけてきたラドに対し、レムは戸惑う。

 

「最後すごかったね! オークさんと一緒にブロックしたやつ!」

 

「あ、ああ、結局は弾き飛ばされたがな……」

 

「でもあれ、ラドも結構力使ったんだよ?」

 

「け、結構であれか……恐ろしいな」

 

 レムが若干肩を落とす。

 

「ラドが4点以上取れなかったのは。ゴーレムさんが初めてかも!」

 

「そ、そうなのか?」

 

「うん!」

 

「3点は取られているわけだから……喜ぶべきなのかどうか……?」

 

 レムが首を捻る。

 

「今、ラド、とっても悔しいよ!」

 

「そ、そうか……」

 

「だから、また今度必ず遊ぼうね! バイバ~イ!」

 

「バ、バイバイ……単に遊ぶだけなら良いのだが……」

 

 レムはため息交じりに呟く。

 

「ど、どうもラ~」

 

「……なんだ?」

 

 腕組みしながら立っているリンにスラが話しかける。

 

「ナ、ナイスゲーム!」

 

 スラがサムズアップする。

 

「はっ、ナイスゲームなものか……」

 

 リンが自嘲する。

 

「ええ?」

 

「一時は6点差をつけたのにも関わらず、逆転を許したのだぞ? 世界からも注目度が高い一戦でこの体たらく……我々にとっては恥でしかない」

 

「そ、それは恐らく一部の意見ラ~」

 

「! む……」

 

「戦ったボクたちはお互い全力の限りを尽くしたのラ~。見ている人にもきっとそれは伝わったはず……まともな人なら誰も批判しないはずラ~」

 

「ふっ、まさかスライムに諭されるとはな……」

 

「うん?」

 

「……ナイスゲーム」

 

 リンとスラが握手をかわす。

 

「いや~負けたよ……」

 

「……」

 

 ローがレイブンに話しかける。

 

「まさか6点差を追いつかれるとは……しかも終盤突き放したのに、逆転されるとは……」

 

「………」

 

「黙ってないで、なんとか言ったらどうなんだい?」

 

「……ワシの完璧なる勝ちじゃな」

 

 レイブンが右手の親指で自らの胸を指差し、勝ち誇る。ローが反論する。

 

「か、完璧ではないだろう、8失点もしておいて……」

 

「むっ……とにかく勝ちは勝ちじゃ」

 

「はあ……それにしても最後のコーナーキック……あれはどういうわけだい? レイナのコースを変える魔法はしっかり発動していたように見えたが……」

 

「……それを利用しただけじゃ」

 

「なっ⁉ そこまで読んでいたのかい?」

 

「誰だと思っている? 魔王様じゃぞ?」

 

 レイブンが胸を張る。

 

「ふっ、確かに負けは負けのようだね……どうする?」

 

「どうするとは?」

 

「周りを見てみなよ、勇者と魔王が健闘を称え合う姿をカメラにおさめようと報道陣の皆さんが群がっているじゃないか……握手でもするかい?」

 

「握手とはいかにも芸がないな……」

 

「ならばハグでも……」

 

「なんで貴様なんかと抱き合わなければならん……」

 

「むっ……それならユニフォーム交換でも……」

 

「貴様の汗臭いユニフォームなどいらん」

 

「くっ……あ、あのさあ、少しは場の空気ってものを読みたまえよ……」

 

「ならば、跪け」

 

「はあ⁉」

 

「それならば多少は画になるだろう……」

 

「ふざけるな! わずかでも優勝を祝福する気持ちが消し飛んだよ!」

 

 勇者が憤慨する。レイブンが笑う。

 

「ふふっ、そういう顔が見たかった……」

 

「! いいかい! 僕を倒しても、まだ真の勇者、伝説の勇者がいるんだからね!」

 

 勇者はその場を離れる。

 

「どんな捨て台詞じゃ……」

 

 レイブンは苦笑する。

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