元暗殺者、宮益坂女子学園へ赴任する   作:俺っちは勝者の味方ー!

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思い付いてから三時間で書き上げた駄文。



始業の時間

 

 

 四月。

 

 新しい学校、新しいクラスの教壇に上がる度に、僕の心は春風のようにざわめき止まない。こういう瞬間(とき)感じる不安や心配はこの先どんなに経験を積んでもなかなかに慣れない気がする。…いや、今まで在籍してきた高校との雰囲気の違いからくる緊張のせいだ、きっと。

 

 なぜなら、ここは都内でも有数の女子校こと宮益坂女子学園。正直のところ、立派な男性教諭である僕ーーー潮田 渚が赴任するには場違い感が否めない。

 

 初めこそ転任のお誘いを断ったものの、その後もほぼ連日貰い続けるお声がけに僕は折れざるを得なかった。それだけ押しが強いのは僕を正当に評価してくれているのだと、素直に嬉しく感じたからでもある。

 

 言わずもがな、教員免許取得以降濃い個性を持った男子生徒ばかりの私立極楽高校でしか教員生活を送ってこなかった僕に、女子校で教鞭を振るった経験など皆無に等しい。『せめて共学での経験値さえあれば…』と弱音が過ったりもした。

 だが、悲観するヒマがあるなら、これからガラッと一変するであろう日常を楽しもうと前を向いた。どこから聞きつけたのか、そんな僕の新たな門出を教育実習生時代からのOBを筆頭に多くの生徒が泣きながら祝ってくれたっけ……。

 

 

「よし…!」

 

 

 嬉しい思い出に浸りながら、胸を張り、視線を高く持ち上げる。初めて対面する2()()B()の皆んなを安心させられるような最高の笑顔も作って、僕は教室の扉に手を掛けた。

 

 ーーーーーー始業のベルが鳴り響く。

    さあ、宮女での初仕事だ。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「初めまして!君たち2年B組の担任を務める、潮田渚です。今年度から宮益坂女子学園に赴任してきたのでまだわからないことだらけだけど、僕もたくさん学んで精いっぱい頑張ります!これから一年間よろしくね!」

 

 

 と、教室中の視線を一身に浴びながらも、臆することなく自己紹介を終える。入室してすぐに「あの人が担任?」「女の人?それとも男?」「か、かわいい!」とか…少々聞き捨てならない内容も含めたコソコソ話が耳に入って内心ドキリと心臓が跳ね上がったが、好奇の眼差しに負けず僕はやりきった。

 

 拍手の数や女生徒たちの反応から察するに、良い感じに僕の第一印象が伝わってくれたのだろう。皆んなの表情は朗らかになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()、だろうか。

 

 

 ただ一人異質な雰囲気を放つ生徒の存在に僕は気が付いてしまった。今にも吸い込まれてしまいそうな紫紺の髪と整った顔立ちが特徴的な彼女は()()()()()()()()()()()()()、クラスメイトと同様に穏やかな()()を浮かべて拍手をしてくれている。

 

 『表面上では笑っているけれど、その実()()()()()()()()』…至極単純かつおおよそ女子高生にはあり得ないその事実に、僕の背筋は凍り付く。感情の起伏が読み取れず、まるで彼女の心電図だけが止まっているかのようにも思えた。

 同時に、彼女の背中に子どもでは背負い切れない重荷の存在を直感する。

 

 

『これはまた、違った意味での問題児なのかもしれないなあ…』

 

 

 これが僕と、僕の教員生活史上最恐の問題児…朝比奈まふゆさんとの初めての出会いだ。

 

 




なお、私塾の経営主兼事務員兼講師(浅野元理事長)からのスカウトは見送って頂いた模様。
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