あまねく奇跡の召喚録 作:熱核戦争先生
サンクトゥムタワー 第7会議室
「そう、そうですか。無事で何よりです。会談時間は遅れるのは構いませんが、襲撃されないように徹底して警備に当たってください」
カンナからの事態収拾を知った連邦生徒会では安堵の声が漏れていた。
日本国の外交官達が乗る装甲車の車列にスケバンが襲撃した事を受け、連邦生徒会では混乱に陥っていた。
万全な警備体制を敷いていたのに戦車などで武装して襲撃し、その理由がクロノス名物の暴走報道を信じて事件に至ったのだ。
挙げ句の果てには港に停泊している同国の海上自衛隊からは“外交官保護のための自衛隊機の出動許可”が出される始末に。
自衛隊機の出動許可は出さなかったが、幸いな事に襲撃してきたスケバンは鎮圧できた。
一歩間違えれば外交問題に発展し、今後の交流に影響を与えかねなかった。
「...全く、クロノスのバカ達は。放送権と配信権を取り上げてやろうかしら」
「報道部の報道のあり方は前々から問題でしたし、見直す必要が出てきましたね」
解決すべき問題が出てきたことに連邦生徒会は頭を抱えた。
大型護衛艦“やまと” 航海艦橋
「ほう、鎮圧できたのか。それは良かった」
やまと航海艦橋では、護衛の自衛官からの暴徒鎮圧と外交官の無事の報告が入り池田達は安心していた。
混乱に陥っていたのは連邦生徒会だけじゃなく池田達幹部自衛官もだ。
池田達は道中何事も起きず無事に終わって欲しいと願った矢先にスケバンが襲撃してきた報告が入ったからだ。
不測の事態に備え空母“ほうしょう”の甲板にはオスプレイが、いつでも出動できるように待機し、あとは現地政府である連邦生徒会に出動許可を取るだけだったが、連邦生徒会からは出動許可が下りなかった。
なんとか現地警察が暴徒を鎮圧し、外交官や護衛の自衛官も無事であった。
外交官が死傷すれば、外交問題にもなるし世論がキヴォトスへの報復を望む声が上がっていたかもしれない。
「本国には外交官の無事と会談開始時間が遅くなる事を報告を」
「分かりました」
サンクトゥムタワー前
小原達を乗せた装甲車の車列はスケバンの襲撃以降は何事もなく進み会談場所のサンクトゥムタワーに到着する。
「ここが会談場所か」
「小原さん、この建物浮いてますよ。反重力で浮いてるのか?」
「ミリシアルのパル・キマイラみたいなの浮遊魔法かもしれないわね」
小原達はサンクトゥムタワーが浮いている事に驚きを隠せなかった。
重力制御技術に関してはあちらが上かもしれない。
「どうぞ」
カンナから来るように促される。
「行きましょう」
「ええ、こちらも準備できています」
小原達外交官と自衛官は装甲車から降り、会談場所であるサンクトゥムタワー内部に入る。
小原達はカンナに案内され、白を基調とする青のラインが入った制服を着た連邦生徒会行政官の元に辿り着く。
「私の案内はここまです。あとはこちらの行政官が案内します。次会うのは会談終了後になります」
「案内ありがとうございます、尾刃局長」
「では」と言い、カンナはヴァルキューレ式の敬礼をしその場を後にする。
案内を引き継がれた連邦生徒会行政官が前に出る。
「日本国の方ですか?僕は連邦生徒会行政官の浅瀧トウコです」
金髪クラウンブレイドのトウコは主席行政官兼連邦生徒会長代行の七神リンの部下である。
「日本国外務省の小原来乃未です」
「本当にシャーレの先生と同じですね…失礼、主席行政官は上でお待ちしております。案内しますのでついてきて下さい」
トウコに案内され一行はエレベーターに乗り会談場所である第七会議室がある188階を目指す。
到着までには1分かかる。
「この建物って高さはどれくらいなんですか?」
「サンクトゥムタワーですか?たしか浮遊している場所も含めると15000mはありますね」
予想外の高さに小原達は絶句していた。
世界最大の電波塔である東京スカイツリーの634m、2年後に完成予定の世界最大の高層ビル“エアロポリス1563”の1563m、日本最大の山である富士山の3776m、バブル期に計画されたハイパービルディングである“東京バベルタワー”の10000mより高い。
「土木技術に関してもあっちが上ね」
「ええ、恐るべき技術力です。キヴォトスの地域の特性上、こう言ったハイパービルディングを建てれるのかと思いますが、それにしては高すぎます」
プレートの境が集中し地震が多い日本とは違い、キヴォトスはプレートの境に位置していないヨーロッパ地域に所在している。
地震が少ない事からこう言ったハイパービルディングをこれでもかと建てれるが、それでもサンクトゥムタワーの高さは異常であるのは変わりない。
「あの、僕からもよろしいですか?」
次はトウコのターンだ。
「良いですよ」
「小原さんの国って先生みたいな“大人”の人がいっぱい居るんですか?」
「先生みたいな“大人”?」
トウコの質問に小原の頭にハテナが浮かぶ
「先生は、ある日突然やってきた“大人”で、キヴォトス各地で起きている学園から生徒間の問題を解決してくれる方のことです」
「その、先生とトウコさん達は何か違うんですか?」
「僕達にはヘイローって言う頭の上に浮いている物があるんですけど、先生にはそれがないんです」
トウコは自分の頭に浮かんでいるヘイローに指を指す。
トウコのヘイローは日本の外務省のロゴマークに十字6つの金色のデザインをしていた。
「あ、これヘイローって言うの」
「はい、そうです」
小原はトウコの質問の意味に理解する。
「そうですね、基本的に日本国民全員はトウコさんようなヘイローはありませんね」
「え、じゃあ日本の生徒のみなさんも?」
「ありませんね」
その事実にトウコは絶句する。
キヴォトスの生徒にとってヘイローはアイデンティティでもあり生命の源でもある。
そんなヘイローがない日本の生徒に理解が追いついていけなかった。
両者が互いの常識に絶句している内にエレベーターは目的の階である188階に到着した。
扉が開くと、トウコと同じ連邦生徒会の制服を着たスタッフが立っていた。
「こちらは護衛の方を別室に案内する者です。会談が終わるまで別の場所に待機してもらいますのでご了承ください」
トウコの問いに小原は難色を示した。
「えっと、自分一応三佐...少佐なんですが、ダメですかね?」
隊長である自衛官は三等陸佐の階級を持つ者で幹部である。
「幹部の方でしたら同席は構いません」
了承を得た小原と隊長以外の自衛官は二手に分かれ歩き出す。
「着きました。こちらが第7会議室です」
小原達は連邦生徒会の面々が待つ第7会議室の前に立つ。
トウコがドアをノックすると、中から「どうぞ」と言う声が返ってくる。
「それでは、お入りください」
トウコに促され小原達は第7会議室に入る。
To Be Continued......
すまんな最近調子が乗らないんだ