あまねく奇跡の召喚録 作:熱核戦争先生
第2文明圏 ムー
クラークリアで最古参の科学文明国家にして日本と同じ地球からの転移国家である列強国“ムー”。
首都であるオタハイトの官庁街の一角にある白い大理石作りのムー国防省内にある統括軍情報通信情報局情報分析課ではキヴォトスに関する分析報告会が開催されていた。
「発言したい者から手を挙げてくれ」
ブチャラティみたいな髪型をした情報分析課課長で技術士官のマイラスが、席に座る士官達に発言するように促す。
「では陸上班から。キヴォトスは我が国や日本やグラ・バルカスと同じ銃火器や戦車を主としています。しかし、銃火器に関しては日本ような近代的な物から我が国やグラ・バルカスが使ってるような物が自動車並みに普及しております」
「例えるなら我が国の人口の半数が銃を保持していると思ってください。キヴォトスの人口は2億2500万なので人口の1億以上が銃火器を保持している計算になります。公的機関や民間軍事会社や幽霊銃も合わせたらそれ以上はあるかと思われるのでざっと見て2億~3億はあるかと推定されます」
ちなみに銃器社会であるアメリカの銃の保有数は2億7000万挺とされている。
「どこがアメリカもびっくりな超銃器社会なんだいい加減にしろ」と思われるかもしれないが、キヴォトスでは日常的に銃撃戦があちこちで発生している上使える銃火器も拳銃からレールガンなどと幅広いのでアメリカもびっくりな超銃器社会と言えよう。
「戦車についてですが、口径は40mmから105mmと各学園によってバラバラです。こちらがキヴォトスの戦車です」
技術士官はそう言い日本製のデジタルカメラで撮影した写真を出す。
写真に写ってるのはトリニティのクルセイダー、ゲヘナの無敵鉄甲虎丸、ミレニアムの
「口径はもちろんだが形状も何もかもバラバラだな」
その後陸上班は分析結果を報告していく。
「水上班です。こちらもですが、陸戦班と同様各学園が保有する艦艇は形状などバラバラです。例にノースポイントのようなグ帝的な物やエイギルのような日本的な物もあります」
「私も“ラ・オイアワ”に乗ってキヴォトスに行ったから知っていたが、まさかキヴォトスにもグレードアトラスター型が居たのは驚きだったもんだ」
マイラスは、キヴォトスで一堂に会した科学文明国家の最新最強戦艦が集まった光景を思い出す。
「ノースポイント学園でしたっけ?タナガー以外にも相当数の戦艦を保有している学園ですね」
ノースポイントは戦艦タナガー以外にも地球基準の超弩級戦艦を40隻以上保有している。
これは現在のミリシアル帝国海軍やグラバルカス帝国海軍最盛期に匹敵する保有数である。
なぜそんなに戦艦を保有しているのか。
ノースポイントは自他ともに認める戦艦狂の生徒が多く在校しているのが要因である。
「戦艦こそが正義!それ以外は二の次!」と言う考えなので戦艦以外の艦艇の保有数はそれほど多くない。
「ちなみに潜水艦は?」
「潜水艦はチラホラとではありますが保有しています。中でもミレニアムスクールが保有する潜水艦“アンドロメダⅡ”は驚くべき性能です」
ミレニアムサイエンススクールの水上艦は先進的な物が特徴。
ミレニアムのダイエ型大型警備艦やセンチネル型沿海域警備艦はステルス性を重視した見た目である。
アンドロメダⅡも一般的な潜水艦の形状とは違う見た目となっている。
「全長400m、最大排水量125000トン、水中速度は一時的ではありますが、200ノットでの高速航行が可能。高解像度の無線型潜望鏡や、微細動タイルと呼ばれる水流音やソナーの音波を減衰させるシステム、水中光線兵器や防御用水中擲弾やサウンドクラスター魚雷などの水中防御兵装を搭載しています。」
「な!?水中を200ノットで航行なんて水中での抵抗は大きい…」
マイラスはあることを思い出した。
日本から取り寄せた潜水艦に関する書籍の中に200ノットでの航行が可能な魚雷の存在。
「まさか、スーパーキャビテーションか?ジェットエンジンを潜水艦に載せたのか!?」
スーパーキャビテーションは物体の先端に気泡を大量に発生させ、物体全体にを膜を作り水中での抗力を減らす現象を利用した航法。
これを応用したのが旧ソビエト連邦のVA-111シクヴァルやドイツの水中航走体バラクーダなどがある。
「恐らく航空機用のジェットエンジンではなく大出力のロケットエンジンを複数搭載してるかと思われます」
アンドロメダⅡにはミレニアムスクール宇宙部の大型ロケット“アルデバランV”のN1エンジンを15基搭載している。
液体燃料を大量に搭載した結果、潜水艦としては桁違いの大きさと重さになった。
「仮にスーパーキャビテーションを応用したとして、なんでこんな潜水艦を作ったんだ?この技術はどちらかと言えば魚雷に適してるはずなんだが」
このスーパーキャビテーションはその特性が故舵を操舵するのが困難である。
そのため直進でしか進まない魚雷にしか使えないとされている。
「恐らくミレニアムスクールの特性上、興味本位で作ったのかと思われます」
ミレニアムサイエンススクールは千年難題と言う七つの課題を研究したり最先端技術を追求するのが校風である。
だが、どこかの部活では短機関銃をタバスコ発射機に改造したりと変な方向へ追求してしまう事もある。
アンドロメダⅡも「潜水艦にロケットエンジンや静粛性の高い技術を着けたら最強の潜水艦になるのでは?」と言う理由で研究開発された代物である
「純粋な軍事利用が目的ではなく興味本意で作っただけか」
他にも、アンドロメダⅡに搭載されている微細動タイルの静粛性は、海上自衛隊の潜水艦より更に静かで、屈指の潜水艦探知技術を有する海上自衛隊の護衛艦や哨戒機のソナーを使用しても探知できない程だ。
この微細動タイルは、周波数さえ調整すれば音紋を欺瞞させ、他の潜水艦や魚群と誤解させる事もできる。
サウンドクラスター魚雷はスピーカーを内蔵した子弾を拡散させ音波を発振させる事で音の幕を形成させ、音の幕に隠れる事は勿論の事ソナーを撹乱させる事が可能である。
一定時間が過ぎると周波数を変調させ、自艦のソナーや通信の周波数もそれに合わせて周波数を変える。
こう言った新技術も詰め込んだ結果、開発費は高騰。
分かりやすく例えるとアメリカの最新鋭原子力空母ジェラルド・R・フォード級の調達コストが約1兆8000億円なのに対し、専用施設の建設も含めアンドロメダⅡはその2倍の約3兆5000億円に昇る。
これを知ったセミナーの会計担当は口から火が出るほど怒り、開発に携わった部活の次年度予算を5割削減させたのは有名な話である。
そんな裏話を知るはずもなく分析報告会は続く。
To Be Continued......