あまねく奇跡の召喚録 作:熱核戦争先生
「今、何と言った?」
村角が険しい顔で聞き返す。
「え、あ、はい、キヴォトスにて弾道ミサイルの保有が確認されました」
担当の女性自衛官が少し緊張しながら村角達に再度報告する。
「おいおい、村角。怖がってんじゃねぇか。そんなんだと女にモテないぜ」
「余計なお世話だぞ、阿蘇華」
官房長官兼副総理で大学時代からの村角の悪友である阿蘇華麟太郎が茶化す。
「ウチの村角がすまないね」
「あははは…」
「はぁ…コイツの茶化しは置いとこう。弾道ミサイルを保有しているのは連邦生徒会か?それとも3大学園のどれかだ?」
「保有しているのはキヴォトスの重工メーカーでカイザーインダストリー。キヴォトスの巨大企業カイザーコーポレーションの傘下企業です」
「政府ではなく一企業が弾道ミサイルを保有しているのか。何でそんなもんを持ってるんだ、キヴォトスを恐怖で支配したいのか?」
「こちらが連邦生徒会から提供された弾道ミサイルのスペックです」
・カイザーインダストリー社製弾道ミサイル“アークトゥルスCX”
射程距離:4500km
推進方式:二段式液体燃料ロケット
搭載弾頭:単弾式サーモバリック弾頭
「弾頭は“核”じゃなくサーモバリック弾頭だと?」
サーモバリック爆薬は燃料爆薬の代わりに気体爆薬に置き換えた物で、長時間かつ高温・高圧の衝撃波を起こし、重重篤な火傷・内臓破裂・酸素欠乏による窒息が人体に襲いかかる凶悪な兵器だ。
このサーモバリック爆薬は殺傷能力が高すぎて、ヘイローを持つ生徒でさえ耐えれるか不明であるとし、キヴォトスでは生産が禁止されているが、異世界転移した事によりサーモバリック爆薬の生産・所持の規制緩和が検討されている。
噂程度ではあるが、昔倒産した軍需企業が複数の生徒を使ってサーモバリック爆薬の効果を実験したと言う都市伝説があるとか…
「連邦生徒会によるとサーモバリック弾頭搭載弾道ミサイルは、旧型サーモバリック手榴弾改良事業の際に違法に生産された物で試作品との事です。弾頭の威力は押収した研究データから、破壊範囲は半径数キロに達すると予想されています」
「何だそれは、核と同程度の威力じゃないか!?」
「“道真”による皇居の上空で炸裂した際の被害予想は千代田区を含む東京9区のに住む都民約300万人が死傷。東京9区は壊滅し首都機能の大半を喪失、株価暴落による世界恐慌、首都圏全域で交通麻痺による約1000万人の帰宅困難者の発生、日本全国への物流の遅延による産業・医療・国民生活・メディア等への影響が予想されています」
「弾道ミサイルの射程は日本列島全域とロデニウス大陸を収めています。現在は中距離級のアークトゥルスCXしか確認できてませんが、今後大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルを開発する可能性もあります」
「保有数に関しては定かではありませんが、企業の規模からして通常弾頭搭載はl10から20発は保有しているかと思われます。サーモバリック弾頭搭載は先程述べた通り押収されたので保有していないかと思われます」
「仮に発射されたとして迎撃はできるか?」
「カイザーが保有する全ての弾道ミサイルを発射したとして、迎撃に関してはは問題ありません。全て迎撃できます」
自衛隊のBMD体制は以下のようになっている。
・航宙自衛隊の早期警戒衛星による24時間365日の監視体制
・弾道ミサイル発射時のRCー1情報集偵察機等による監視体制の構築
・弾道ミサイル発射時の国民保護として、当該地区の住民に対する早期の避難命令
・海上自衛隊が有する数十隻のBMD対応護衛艦と陸上自衛隊のBMD対応基地によるミッドコース段階での迎撃
・航宙自衛隊のTHAADと陸上自衛隊の自走電磁加速砲によるターミナル段階での迎撃。
迎撃網は非常に厚い物になっており、時の首相である田中角栄が唱えた列島改造論にて、整備された国民保護シェルターや個人シェルターの普及により住民の犠牲を最小限に抑えれるようになっている。
「また、キヴォトスから弾道ミサイルによる攻撃された際の報復措置として、常時展開している戦略ロケット自衛隊の第7ロケット旅団の92式中距離弾道ミサイルで発射基地を殲滅します」
「そうか...キヴォトスに弾道ミサイルを撃ち込む事態にならなければ良いが」
「連邦生徒会や各学園は我々に温厚かつ友好的です。敵対するような事はないと思いますが、カイザーコーポレーションの動きには注意すべきです」
「そうだな、これ以上血を流したくない物だ。京都と新潟の様に同じ轍を踏んではならない。隣人を疑いたくないが、キヴォトスへの監視体制を強化しろ。特にカイザーコーポレーションが保有していると思われる施設には目を光らせてくれ」
村角の顔はどこか悲哀に満ちていた。
To Be Continued......