あまねく奇跡の召喚録   作:熱核戦争先生

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予想外の接触

「「「「えっ?」」」」

 

その場にいた者たちが同時に声を重ねた。

何せ接触した者の容姿が予想外すぎたのだから。

 

「か、艦長、女の子ですよ。女の子が銃を持ってますよ」

 

「どうなってるのだ?俺達は夢を見ているのか…」

 

池田達海上自衛隊側は、臨検で乗り込んできたのが銃を持った年端もない女の子だからだ。

 

「戦闘委員長、男っすよ。先生と同じ男がたくさん!」

 

「あっちも銃を持っているし正規軍?」

 

サラミス戦闘委員部も、海上自衛隊と名乗る船団の人間が先生と同じ男だったからだ。

 

あまりの予想外の出来事に両者はしばらく固まっていたが、サラミス戦闘委員部は自分達の任務を思い出し任務を遂行する。

 

「あ、エイギル沿岸警備大学校大型警備艦サラミスの戦闘委員部です。貴方方らは、すでにキヴォトス領海に侵入しているのですが、航海目的を教えて頂きたい」

 

「我々は海上自衛隊第1航空打撃護衛艦隊です。我々は日本国政府により、この先にある該当地域の把握と現地政府との接触をするため派遣されました」

 

両者は挙手の敬礼をし一通りの紹介を終えた。

 

「海上自衛隊第1航空打撃護衛艦隊?日本国政府?聞いた事もありませんね」

 

「我々もエイギル沿岸警備大学校と言う学校なんて聞いた事もありません。キヴォトスはギリシャ共和国の事ですか?」

 

池田達が言うキヴォトスは南ヨーロッパのギリシャ共和国グレヴェナ県の村を指す。

だが、ギリシャ共和国も転移してきてないのでありえないはずだが、念の為に確認する。

 

「ギリシャ共和国?聞いた事ありませんよ。キヴォトスはキヴォトスじゃないのですか?」

 

両者の認識が一致しない事に戸惑いを隠せなかった。

 

「とりあえず言える事は、我々は貴女方には敵対する意思はありません」

 

「それにしても、銃でお出迎えなんて物騒ですね」

 

「貴女方も中々物騒ですよ。自動小銃ならまだしも臨検隊には過剰な機関銃を携行してますから」

 

話は平行線のままになりかけてる。

戦闘委員部はあとの対応をウミヨ学級委員長達に任せる事にした。

 

「私達では埒が明かないので、後の事は学級委員長とお話しましょう。もうしばらくしたら来るのでお待ちを」

 

「学級委員長?」

 

「民間船やカイザーのフリゲート艦で言う船長か艦長です」

 

 

10分後、戦闘委員部に続きサラミスの学級委員長であるウミヨが他の学級委員メンバーを連れてヤマトに乗り込んだ。

 

「大型警備艦サラミス学級委員長の東堂ウミヨです」

 

「海上自衛隊第1航空打撃護衛艦隊旗艦ヤマト艦長の池田拓人です。海将補で海軍少将と同じ階級です」

 

「日本国外務省より出向しました小原来乃未です」

 

池田とウミヨがお互い挙手の敬礼をし、小原とウミヨは握手する。

 

「こんなところで立ち話も何ですから、本艦の士官室で話をしましょう」

 

池田達はウミヨ達学級委員と戦闘委員部の生徒2人を連れてヤマトの士官室に通した。

 

 

大型護衛艦やまと 士官室

 

幹部自衛官が食事をしたり、寛いだり、部外者を応接をする部屋として機能する。

池田達幹部自衛官とウミヨ達学級委員は士官室の長机を隔て着席していた。

 

「東堂艦長、日本やギリシャは本当に知らないのですか?」

 

「聞いた事もありません」

 

「と言う事はイギリスもフランスもドイツも?」

 

「はい」

 

地球の国家を知らないとは一体どういう事なのか謎は深まるばかりだ。

 

「東堂艦長達が言うキヴォトスは、我々から見ると地球のヨーロッパと言う地域に該当する場所なんですよね。キヴォトスの地図かなにかありませんか?」

 

「地図だったら、僕のスマホでよろしければ」

 

ウミヨはそう言い、懐から林檎が実った木のマークのスマホを取り出し、地図アプリを開く。

池田は官給品のタブレットを開き、イギリス・西ヨーロッパ地域の地図を映し出す。

 

「似てるどころかそのまんまじゃないか」

 

「ちなみにこれがイギリスです。キヴォトスでは何と呼ばれていますか?」

 

「ここはトリニティ総合学園とゲヘナ学園がある自治区です。この2つ以外にも中小規模の学園の自治区がいくつかありますけど」

 

「次にフランスで、こっちがドイツ、ここがベルギーとオランダです」

 

「そこはミレニアムサイエンススクールの自治区とゲヘナの飛び地で、こっちはレッドウィンターの自治区です」

 

「ベルギーと呼ばれた場所は、連邦生徒会や複数の学園がある自治区。オランダには百鬼夜行連合学院と山海経高級中学校の自治区があります」

 

おおよその地域の把握は終わり、小原はさっきから気になっていることを質問しようとする。

 

「そのさっきから学校の名前が出ているのは何故ですか?いや、それ以前に東堂艦長達は明らかに学生の上、重武装の警備艦を乗り回しているようですけど」

 

名称が学校の名前である事に疑問を持っていた。

日本やアメリカみたいに国名もしくは県名か州名で呼称する物だ。

それに自治区とは一体どう言う意味なんだ。

 

「キヴォトスは数千の自治権を持つ学園とキヴォトス全域の行政権を持つ連邦生徒会によって構成されている学園都市です。自治区の運営や行政の運営は基本的に私達生徒がやっています」

 

キヴォトスは地球で言うアメリカ合衆国と言った連邦制を採用し、日本の学園都市を凌ぐ数の学園で形成された超巨大学園都市だからだ。

 

「学生が都市の行政を運営するなんて聞いた事もないぞ!?」

 

あまりの非常識的な答えに1人の幹部自衛官が声をあげ驚いていた。

 

「えっと、ちなみに我々みたいな“大人”はいないのですか?」

 

「“大人”は先生かロボットか犬猫ぐらいじゃなかったけ?」

 

「池田艦長達のような大人は先生ぐらいですね」

 

池田は今把握した情報を集約してある仮説に辿り着いた。

 

「東堂艦長、これは私の一個人の意見だが、お互いの正体が分かるかもしれない」

 

「お互いの正体…」

 

「池田艦長、分かったのですか?」

 

東堂達学級委員と小原と幹部自衛官は池田の説明を聞くため部屋は静かになった。

 

「量子力学における多世界解釈論をご存知ですかな?」

 

東堂達は量子力学と言う言葉を聞き嫌そうな顔をした。

科学系の勉強は嫌いなようだ。

 

「ははは、勉強はあんまり好きじゃないようですね。私も勉強あんまり好きじゃないのでわかりますよ」

 

“微笑ましいな”と思いながらも本題に入る。

 

「簡単に言ってしまえばパラレルワールド…1つの世界から可能性が分岐し並行して存在する世界の事を指します。私が海自の戦艦の艦長じゃなくただのサラリーマンとして家庭を築いたり、日本が世界を支配する可能性だってあります」

 

「我々から見ればキヴォトスは可能性が分岐した並行世界の地球、貴女方から見れば我々は可能性が分岐した並行世界のキヴォトスになります」

 

「つまり、僕達と貴方方は同じ惑星の可能がある並行世界の住民と言う事ですか?」

 

「これは私個人の意見です。キヴォトスとヨーロッパの地形情報がほぼ一致しているとは言え、宇宙には天文学的な数の惑星があります。低い確率ではありますが、地形や言語形態などが似ている惑星もあり、更に低い確率でこの世界に転移して来たかもしれません」

 

その可能性も十分に有り得るし既に“グラバルカス帝国”と言うモデルケースが存在しているのだ。

 

日本とキヴォトスはお互い可能性が分岐した並行世界の同一惑星か、天文学的確率で一致した別惑星の地域となる。

ウミヨ達はお互いの正体は何となく分かったが、あとの細かいところは連邦生徒会かミレニアムスクールの研究者共に押し付けとけば良いだろう。

 

しかし、ウミヨはある単語に疑問を抱き質問する。

 

「失礼、この世界に転移して来たと言ってましたが、ここは地球ではないのですか?」

 

「まだ把握してないのですか?精巧な地図があるので既に人工衛星で把握していたと思っていましたが」

 

「???」

 

そういえば、最近人工衛星からの情報更新がなかった事を思い出した。

連邦生徒会は追及する事を許さない程混乱していたから、それが関係しているのだろうか。

 

「良いですか、落ち着いて聞いてください。キヴォトスは我々と同じく別の惑星へ領土ごと転移したのです」

 

「つまり?」

 

「…キヴォトスは魔法と科学が混同する世界“クラークリア”に転移して来たのです」

 

しばらくの沈黙の後、東堂達は信じられないと言う顔をしたが、池田から航宙自衛隊の情報収集衛星で撮影した今の世界地図を見せられた。

 

「「「なななな、なっ、何ですってーーーーーー!?」」」

 

 

To Be Continued......

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