お兄様は嫁がせたい   作:たらこ40

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原作的には99%男であろう天野八雲さん。
でも、早坂愛に刃物を使って拘束された時の体のフォルムや顔つき、その他所々に女性的なラインを感じるんですよね。

しかし要所要所胸のあたりを見るとちゃんと男性的で、白銀に七味唐辛子をぶちかまされたコマの横顔を見ると鼻高な男性に見える。

雲鷹様のブラックな指示に青ざめるシーンは微妙に女性を感じたり。

と言う訳でTSはしませんがネタキャラを投入しました。

追記
何とかかぐや様視点を没らずに纏められましたので記念投稿。
調子に乗ってストック消費してしまいました。
また貯めないと……。


四宮邸にて 二人の八雲

 ママさんには明日以降、なんて言ったけどまぁ、あちらも受け入れ準備に多少は時間がかかるだろうし、此方も何と言うか気まずい。

 

 

 途中、仕事が入った事を理由に、これ幸いと二月ほど欧州をグルグルしていた。

 

 ちゃんと四宮邸の方には断りを入れておいたぞ。

 

 

 日本に戻った時には、もういい加減覚悟を決めて東京の四宮邸に帰る心構えが出来ていた。

 

 飛行機の到着時間が朝、その後色々あって四宮邸に戻った時間帯が昼だったので、学校に通学中のかぐやには合わずに済んだ。

 

 

 ま、約束が、お互いに普段は顔を合わせないようにする、だからな。これでいいんだが、普段は、つーことは引っ越し初日くらいは家主に挨拶すべきだろう。

 

 

 俺にも心の準備がいるから、かぐやが帰宅するまでは用意されていた俺の自室で横になる。昔俺が使っていた主寝室は女の子に相応しく改装して今はかぐやが使っている。

 

 俺はいつまで住み着くか分からんからゲストルームで十分だと言っておいたのだが、一応この部屋はこの屋敷の中では2番目にいい部屋ではある。

 

 主寝室とは一棟分くらい距離が離れているから、時間帯をずらせばそう滅多に顔を合わせる事も無いだろう。

 

 

 

 移動は全て、自分の所有しているジェットで移動したお陰で待機時間も殆どなく快適ではあったが、それでも少々疲れた。ベッドに横になりながらグッと伸びをする。

 

 基本的な部分で庶民感覚が抜けない所があるからな。普通にエコノミーで十分なんだが、と以前愚痴をこぼしたことがある。小学生の頃か。

 

 

 結局、警備や利便性の点で反対された。ビジネスジェットの手配が出来なかったとき、止むを得ず民間航空を利用する際は最低でもファーストクラス。もしくは貸し切りにしろってさ。

 

 予定が詰まっているだろう民間機の貸し切りの方が難しい様な気もするが。

 

 

 まぁ、言いたい事はわかる。普段から危機意識を持てって事だろう。

 

 そこまで危機意識を持たないと案外あっさり被害に遭ってしまうのが、こういう世界に住む人間なんだ、とガキの頃から口を酸っぱくして注意を受けていたから今更この件で反発するつもりは無いけど、な。同じ年頃のママさんに、アメリカに行く前に何度も何度も説教されたよ。なかなかちゃんとした反応を見せなかった俺に、最後には涙ぐみながら。

 

 んで、流石に素直に分かった、気を付けると返事したら笑ってくれた。

 

 

 俺もプライベートジェットを個人で所有する程度には金持ちにはなったけど、嫌だねぇ、こういうのは。

 

 使わねぇ間の維持費が勿体ないから一族で使いたい奴がいれば好きに使わせている。日本からあんまり出ない親父や兄さん達は必要になれば民間のビジネスジェットを借りていたから、急な用事の時に都合が合わせやすくなったと意外と好評だったりする。いくら自分の所の系列の航空会社のビジネスジェットがあっても、お客様の予定を横からキャンセルしてこちらの都合に合わせる訳には行かないからな。

 

 

 小学生まではかぐやとも顔を合わせる機会が多かったし、あの頃は彼方此方社交パーティーに連れて行っていたからな。あの子も何度か一緒に乗った。

 

 

 そう言えば最近、かぐやとは顔を合わせてないな。最後に会ったのはいつの頃だったか。

 

 

 

 

 そんな事を考えていたらいつの間にか寝ていたようで、側近の天野の声で目を覚ます事になった。あぁ、天野八雲。原作では本当の所どうだかわからなかったけど、所々体のラインやスーツの前の合わせの部分の数コマ分の微妙な違和感で、女じゃね?このキャラクターって思ってはいたんだけど、少なくともこの世界では女だった。

 

 

 そう思って喜んで側近にしたんだが、考えてみれば俺が人材を集めるのは大抵本拠地だったアメリカだ。で、原作雲鷹が人材を登用したのはおそらく日本。主流である兄の本家派閥から外れている家に天野家って所がある。

 

 

 もしやと思って調べたら、そこにも天野八雲がいたよ。つまり原作の八雲は多分、日本にいる方なんだよな。性別を調べたら普通に男だった。

 

 

 テンションは下がったけど、同姓同名で異性、って所が気に入って日本の方の八雲も雇った。話を付けると八雲の両親が大喜びで、命懸けて忠誠を誓いますってさ。だから怖いんだって、そういうの。本人もやる気満々でやんの。

 

 元々早坂家と同じように汚れ仕事なんかを担当していた家柄で、このまま主流から外れて没落すると、いずれ使い潰されるかもしれないと将来を不安に思っていた所に俺からの誘いだったから、俺が救い主に見えたんだろう。

 

 

 原作では雲鷹に忠誠をつくしてはいたけど、なんとなく無理難題を押し付けられたせいか表情が暗い感じがしたからな。

 

 この世界では俺の思い付きで少し髪を長めに整えさせ、一目みると女性かなと思わせる様に装わせている。

 

 そのおかげか、それとも俺がブラックな方面で無理難題を言わない影響か、普通に笑顔が可愛い女の子に見えるよ。こいつが目覚めたら俺のせいだな。

 

 

 もちろん、面白いからそうさせているだけで、俺にそんな趣味は無い。これは誓って本当だぞ。実は二人とも遠縁の親戚らしくて、顔立ちが似ているから、二人とも女の格好をさせておけば色々と利用できそうでつい、ね。

 

 

 

 だから今連れ歩いている側仕えは両方が天野八雲だったりする。片方は先輩の女の子、もう片方が後輩の男の娘っぽい感じの子。本人は趣味じゃないけど、言いつけに従ってくれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、アメリカに残していこうとしたら、真っ先に是非お側に置いてくださいと二人とも志願してきた。その時の勢いが少し怖かったから、つい押し切られちまった。因みにその時の女八雲の方の顔がギラギラしていたので、出来る限り二人きりにはならないように気を付けている。

 

 

 あぁ、因みにママさんが遊びに来てくれた時に部屋に一人残ったのは男の方な。理由は女八雲を部屋に残すのが何となく怖かったから。

 

 

 

 「雲鷹様、お休みの所申し訳ありません。かぐや様がお戻りになりました。」

 

 

 もちろん、部屋に一人で女八雲が入ってきて声を掛けてくれば、警戒心が跳ねあがり、パッと目が覚める様に条件反射が出来ている。

 

 怖いが、目覚ましには丁度いいんだよ。本人はそんな風に思われているなんて考えていないだろうから、起こしに来るときはお前が来いという俺の指示を能天気に喜んでいる。

 

 

 

 これ、多分俺がショタな外見のままだから、女八雲さん目覚めちゃったのかもしれんな。一応、分を弁えてはくれているから、本格的に身の危険を感じたことは無いんだけれどもな。

 

 

 「あぁ、すまんな。」

 

 

 一声礼を言ってから、軽く身だしなみを整えてかぐやの待つ応接室へ向かう。甲斐甲斐しく女八雲が髪を整えてくれる。あかん、胃が痛くなってきた。

 

 

 

 

 「2か月の間、欧州でのお仕事お疲れさまでした、お兄様。これからは我が家でゆっくりとお寛ぎください。」

 

 

 「おう、その言葉に甘えよう。急に世話になる形になっちまってすまんな。変わりはないようだな。」

 

 

 「えぇ、おかげさまで、お兄様も……っ!……お変わりがない様で。ええ、本当に……。」

 

 

 応接室、向かい合ったソファーに座る久しぶりに見るかぐや。俺が原作で観た、氷姫のかぐやそのままで、冷たい目で俺を見ている。一瞬何故か表情が作画崩壊の様に崩れたが、気のせいだろう。俺も負けじと四宮家の血筋を全開にして、冷たい視線をかぐやに送る。

 

 

 少しでも気が抜けるとふにゃっとした笑顔になりそうだからな。腹の下から力を入れんといかん。心なしか、かぐやも気合を入れているのか、力が入っている気がするんだが。

 

 

 

 かぐやは兄弟中、俺にだけこんな態度を取る。黄光兄さんや青龍兄さんには内心は兎も角、にこやかに挨拶を交わすくらいの芸当はちゃんとできる。

 

 かぐやにとって黄光兄さんも青龍兄さんも敵、だからだ。少なくとも味方ではない。隙を見せる訳には行かない相手という事になる。

 

 という事は、俺はそうみられていないのか、という事だが、まぁ育ての親の様なもんだったからな。腹の中はお互い分かっているって事だろう。

 

 

 今更取り繕う必要は無いって奴だ。

 

 

 これは原作でも恐らくそうだったのだと思う。しょっちゅう顔を合わせていたわけではないが、他の兄弟よりは顔を突き合わせ、年中パーティーに連れまわし、人脈形成をさせていたんだ。

 

 当然、原作でも教育方針は雲鷹が決めたのだし、彼女の幼少期を支配していたのは間違いなく雲鷹だっただろう。この世界でも同じだ。

 

 

 当然原作でもこの世界でも、彼女にとって俺は……敵、だろうなぁ。原作では最後に感謝はしているって言っていたけど、この世界ではどうなる事やら。

 

 

 つい懐かしくなって応接室を見渡す。あぁ、幾つかの調度品がおそらくかぐやの趣味に合った物に取り換えられているな。

 

 

 「何かございましたか?」

 

 

 そんな俺の様子が気になったのかかぐやが訪ねてきた。

 

 

 「あぁ、いや。所々、昔と変わっているなと思ってな。良い趣味だ。」

 

 

 「申し訳ありません。元々はお兄様のお屋敷だったのですからご不快に思われたらご容赦ください。」

 

 

 

 氷のように冷たい目で、礼節だけは完璧に冷たい声色でそんな事を言う。

 

 いや、そんな事を言われてもな。この世界ではそうかもしれないけど、原作ではかぐや様の屋敷だったし、世界の異物である俺の立場からしたら、どことなく居心地が悪い感じがするんだ。すんません、産まれてきてすんません。

 

 

 「いや、今はここの主人はお前だ。お前の好きにすればいい。俺は適当に隅っこで暮らすから、約定通り、必要以上に関わるな。お互いにな。」

 

 

 

 「っ!……分かりました。お兄様。それでは私はこの後用事がありますので失礼しますわ。」

 

 

 そう言うと、ソファーから立ち上がり一度だけ何かを言いたげな視線を俺に向け、力なく振り返り自室へと戻るかぐや。

 

 その後をついていく早坂愛。会話中の様子を見るにどうやら、二人の間に存在した拗れは徐々に解消されつつあるようで、先ずはめでたい。

 

 

 ん、……んー?

 

 

 心の隅に浮かんだ疑問をとりあえず放置して自室へ戻る。女八雲に夕食にコンビニ弁当を買ってきてくれと伝えて自室のソファーで横になる。

 

 

 なにやら両方の八雲がちゃんとしたお食事をとらないと駄目ですとかうるさいから、それじゃハンバーガー買ってこいって命令したら、またぎゃーぎゃー騒ぎ出す。

 

 お屋敷のコックが哀れです、とか、かぐや様の面子がとかうるさい事を抜かすので、出された飯も買ってきた奴も両方食うからさっさと行ってこいと一喝して外に出した。

 

 

 

 うん、かぐやの最後の様子少しおかしかったよな。俺、何かやらかしたかもしれん。




八雲さんネタはあんまり引っ張らない感じでモブ2人のようにこの先は流すかもしれません。
原作も重要そうに名前が出てきた割には、その後モブのまま消えて行ってしまいましたし。
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