お兄様は嫁がせたい   作:たらこ40

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あぁ、何か色々とおしかりを受けそうな回です。

得にチート関係では。

ただ、一つ言えるのは、この主人公、投資以外でチートをあんまり有効活用できていませんし、今後もそうなるでしょう。

こんなもんは本当に大事な所でちょっと使えればいいんですよ。
多分。


原作の開始 秒読み

 特にイレギュラーが起きる事もなく、かぐやと早坂愛の関係が崩壊する事もなく日々がすぎ……、どうもかぐやは原作の通り、藤原千花を友人にしたようだ。

 

 

 同時に天才ピアニストの引退の記事が少しの間新聞の紙面を騒がせた。藤原がかぐやの友人になったのはピアノを辞めて暫くしてからの筈だから、タイミング的にはおかしくない。

 

 

 約定通り、直接顔を合わせる訳では無いが、同じ屋根の下に暮らしてりゃ、かぐやの様子が少しずつ変わっていってる事がわかる。とは言え、彼女を完全に変えるのは藤原千花ではない。白銀御行だ。

 

 

 あと数年でそうなる、はず。

 

 それまでノンビリ日本で暮らすつもりだったんだけどね。

 

 

 運命の歯車が少しずつ回り始めるのを感じて、俺は……。仕事に忙殺されアメリカ、欧州、アジア各地を飛び回っていた。

 

 

 この所、四条家の動きが主に欧州で活発化していて、対応するのに手一杯になっているんだよね。地味に移動に時間を取られるのが痛い。本気で転移魔法関係の習得をすべきか悩んだ。

 

 

 意外と死者蘇生の魔法よりも習得が難しいらしくて二の足を踏んでいた。もうほとんど使っていない魔法に関しての知識から、相性の問題って結論が出ているので早期の習得は諦めた。

 

 まぁ、来世までには使えるようになっていればいいや、みたいな感じで。

 

 一応、投資に必要な狡い魔法の一部や簡単な魔法は暇な時に訓練しているんだけど。

 

 魔力のコントロール力を鍛えて、顔だけでももう少し年を取りたいし。

 

 

 

 四条家の細かい動きは原作からは読み取れないけど、大まかな動き、フランス銀行を四条家の投資部に統合するというアクションがあったはず。あれも実際に色々事業を展開して投資していると判るけど、どうやってやったのか不思議だったんだよね。

 

 

 フランス銀行ってフランスの中央銀行な筈で、あそこを四条家とは言え一民間企業が経営統合出来る筈が無い。四条家が武力なりでフランスを征服でもしない限り無理でしょ。

 

 

 んで、色々と調べたら日本語訳した際にフランス銀行と訳される比較的小規模な銀行がこの世界にはあったという落ちが付く。なるほど、それで納得いった。

 

 

 こっちは万が一を考えて十年以上前からフランス銀行内部に草を仕込んでいたのに、全くの無駄になってしまった。

 

 まぁ、何かの役には立つでしょうという事で、仕込んだ草はそのままにしてあるけど、入り込んでいる者たちはいつか来るかもしれない四条との戦に備えて、来るはずもない命令を待ち続けるんだなぁと思うと、少し泣けてきた。

 

 今から統合されるであろう別のフランス銀行に草を仕込むわけにもいかない。時期がちょっと近すぎて、四条家に洗い出しされたら直ぐに排除されるだろう。

 

 

 後、実際の四宮グループの総資産、原作だと200兆円とか言っていたけど、何かの間違いか実際はもっと大きい。今の段階で四条が海外、日本ひっくるめて総資産120兆くらいだし、四宮はそれよりもでかい。

 

 四条と共に抜けた四宮の海外事業の立て直しがある程度終わっているから、300~350兆くらいの総資産があるはずなんだよね。

 

 あ、俺個人の事業を抜かしてだけど。

 

 

 四宮がでかいのはもしかしたら俺のせいかもしれないけど、四条が原作よりもでかいのはちょっと気になる。微妙に原作との差異がこの世界にはあるのかもしれないね。ま、俺みたいな異物が入り込んでいる世界だからね。何処かに矛盾が出てきてもおかしくないとは思うけど。

 

 と、まぁそういう訳で、現在中々日本には帰れない状況が続いていたりする。

 

 で、日本に中々帰れないままかぐやは中学を卒業して、今年の春から高校生になった。

 

 

 ……駄目な保護者だよな。中学校の卒業式にも出てやれないなんて。事情を理解しているから、親父に出てやれなんて言えない。

 

 多分、親父も自分の薄情さを自分で責めて、今回も自室に籠って苦しんでいるんだろうな。小学校の卒業式の時も親父はそうしていた。

 

 一声かけるだけでも、良いはずなのに、それがどうしてもできない。

 

 

 かぐやの性格から考えるに、本当に四宮の血筋だと思わない?原作雲鷹さんもそんな感じだよね。伝えるべき言葉を伝えず素直に成れず憎まれ口を叩く。まあ、簡単に言うと素直じゃない。親父の場合は事情が事情だから仕方がないかもしれないけど。

 

 

 因むまでもなく、俺は本当の意味で外道人間だけどな。なにせ全て分かっていて自分の我儘で見捨てているんだから。

 

 

 

 一応、近況は同居している者の義務としてかぐやと早坂愛、四宮邸の者には伝えているが、事ここまで至ったら、多少の言葉を送っても大勢に影響はないだろうと判断して、一言だけ綴ったカードをかぐやに送った。

 

 

 「卒業、おめでとう。」

 

 

 とだけ手書きで書いたカードだけど、殊の外かぐやの心に刺さったらしい。あの氷姫の筈のかぐやが、俺を嫌っている筈のかぐやが、俺の送ったカードを大事に机の中にしまい込んでいると奈央さんからチクリがあった。

 

 

 因みに、早坂愛はこの件に関して一切の情報を俺に漏らさなかった。うん、それでいいんだと思う。

 

 

 そうこうしている内に、春が過ぎ、夏休みが終わって暫く。かぐやが生徒会に入り副会長になったと知らせが来た。生徒会長はもちろん白銀御行だ。ここで変なイレギュラーは起きずに済んでホッとしたよ。一応、同姓同名の別人の可能性もあるので、日本に滞在させている俺の直属に生徒会長の写真と履歴を送ってもらったから、間違いはない。

 

 

 あぁ、原作開始まで後約半年。感慨深いものがあるが、ここで一つ問題がある。

 

 

 

 

 俺は原作の名シーンを再現し、それを見る為に必死になって原作の流れを追い続ける努力をしてきた、つもりだ。

 

 でも、俺は今仕事に追われてとても日本に帰る余裕なんかない。

 

 

 よしんば、仕事に蹴りを付けて日本に帰れても、どうやって二人の名シーンを見ればいいのだろうか。

 

 

 いや、真の目的はかぐやを白銀御行に嫁がせる、であってデバガメが目的ではないのだから、悩みどころが違うという突込みは甘んじて受けよう。

 

 

 ……今更そんな事を考えるな、もっと前から対策を打つべきじゃないのか?という突込みも当然甘んじて受けるべきだろう。

 

 いやさ、何となくだけど原作さえ再現すれば普通に漫画やアニメを見るような感じで、二人のストーリーが見れると何の疑問もなく思い込んでいたんだよ。

 

 

 

 ま、まぁ?デバガメするのだけが目的なら、んー……、方法は無くはない、な。

 

 今までほとんど使い道のなかった魔法は、情報収集に限って言えば盗聴、盗撮に便利な魔法も幾つかある。その内の一つは最初にある程度仕込んでおけば距離によるデメリットは発生しない。

 

 

 

 この魔法は、それほど難易度が高い物じゃなく、魔法の練習に熱が入っていた時期に使えるようになっていた。なんでこの魔法を練習したかは聞くなよ。

 

 

 因みに既に秀知院生徒会室には魔法の種は仕込み済みなんだよね。うん、俺が生徒会長の時に、ちょっとね。

 

 

 だがそれで果たして原作を満喫できていると言えるのかと思うとちょっと違う気がする。いや、目的は原作の満喫じゃないだろうと言えばその通り。だがどうせなら苦労に見合った成果を得たいじゃないか。

 

 

 ……もう一度高校生になって秀知院に潜り込むというのはどうだろう?戸籍を新しく作る位俺ならばどうという事は無い。既に今まで似たような事はやらかしている。世の中奇麗事だけじゃ回らないって事だよ。

 

 今からかぐやと同じ学年に入り込むのは目立つだろうから、来年の新入生になれば……。

 

 まさかここで俺のベビーフェイスが役に立つときが来るとは思わなかったな。

 

 あぁ、でも、いや。

 

 

 うん、いや冷静に考えれば無理だわ、これ。普通にかぐやにばれるな。うん、一応俺の優秀なブレーン、ではないけど突込み担当のママさんにも妄想で意見を聞いてみよう。

 

 

 「何それ普通にキモイ。」

 

 

 って言われて、軽蔑されて終わったな、うん。

 

 

 他に何か方法はないかな。

 

 なにか原作に干渉したいわけじゃないんだ。ただ、折角この世界に転生したんだからほんの少し原作の空気を間近に感じていたいだけで。

 

 

 んー、暫く思い浮かべもしなかったから魔法に関する知識が錆びついてて何か有効な魔法が無いか、全然頭にうかばない。

 

 

 いや、たとえ学校に潜り込む方法が浮かんだとしても、この仕事が忙しい状況で全てをほっぽりだして日本に帰る訳にもいかんよな。そんな事をしたら折角対四条用に用意した様々な対抗策を全て失いかねない。

 

 

 それだけ凄い勢いで四条は活動を活発化させている。

 

 もうちょっと現場で踏ん張っていれば、後は日本から指示を出す形でも何とかなりそうだけど、それが後どのくらいかかるか。半年か一年かまだわからん。

 

 

 あー……んー……、これ詰んでないかい?

 

 

 

 

 

 大人しくデバガメで我慢するべきか。いや、倫理的にNGな部分を覗くつもりは無いんだけどさ、せめて原作の幾つかのシーンを心のアルバムに取っておきたいからさ。「かぐや様は告らせたい」の大ファンとしては。

 

 

 距離の問題、時間の問題、見た目の問題。全て解決するベストな方法。尚且つ絶対に身内バレしないで万が一にでも早坂ママにキモイって言われない方法。

 

 

 そんな方法ある訳な……ぃ?

 

 

 あー、そうか。アザーセルフ、「もう一人の自分」って魔法が確かあったはず。

 

 

 確か元ネタはそれなりに使いにくい制限がかかっていたと思う。24時間しか効果が続かないとか、自分と全く同じ姿しか作れないとか、作成時、自分の側に複製体が作られる仕様になっているとか。

 

 

 ただ、俺が手に入れたチートならば魔法の改良も出来る筈。ただし、相当に魔法の訓練をしなくては使えないだろうけど。

 

 

 今から、魔法の訓練を始めて間に合うのだろうか。仕事もそれなりに山積みで、人目を避けて一人になる時間もない。

 

 

 いや、やるしかない。

 

 

 ここまで踏ん張ってきたのだから、あと半年いや、必要な手続き含めると……たしか秀知院学院高等部の外部生願書受付って1月初めくらいだったよな。

 

 で、今が10月末。えっと、11月、12月、1月……えっと、えっと。

 

 

 後2か月とちょっとあるかないかって事、だよな。

 

 

 あぁ、無理だわこれ。




ネットで生徒会長選挙は9月に実施と書かれていました。4巻末尾のQ&Aにも同じく9月と……

ですが、そうなると会長の2期目のスケジュールを見ると夏休み明け数週間で中間テスト、生徒会解散、生徒会長選挙と立て込んでしまいます。話を読んだ感覚的にも時間間隔がサザエさんの様な不思議時空になっていない限りおかしなことになってしまいます。

のでこの作品を作る前、何度も読み返して、ふと、生徒会長選挙の掲示物が作品内に張られているのに気が付きました。

10月15日実施

あぁ、やっぱり、そうだよね。うん。

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