お兄様は嫁がせたい   作:たらこ40

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難産でした。アザーセルフ、当然そんな魔法主人公に簡単に使わせるつもりはありませんし、40代の男が高校生に交じって学園生活で青春するなんて、ちょっと。


ただ、魔法の使いどころはあるかな、と考えています。


お兄様は帰国しました

 本邸に植えられた桜が丁度満開になっている。四宮に産まれたはずなのに、本邸の桜は殆ど見たことがなかったな。

 

 

 

 黄光兄さんと密談する際に使う、離れから眺める見事な桜に少しの間目を取られる。兄さんはまだ来ていない。

 

 

 目をやると、テーブルの上には酒と何種類かのつまみと料理が並べられていた。言外に俺を信用する、というサインだろう。まぁ、この料理か酒に毒が入っていても特に問題はないから構わないんだが、黄光兄さんが標的と言う逆のパターンもありうる。

 

 

 ま、本邸で出された飲食物をそこまで警戒する必要もない。最近の黄光兄さんを警戒する必要もない。だろう。

 

 

 

 

 

 かぐやが副会長になってからいつの時点で白銀御行に惚れたのかは、原作では明言されていない。

 

 

 原作での時の流れは微妙にわからない。秀知院の生徒会選挙は10月開始。実際には夏休みが終わってから中間テストがあり、それが終わってから生徒会が9月末に解散。その前後から立候補者を募ることになっている。10月の半ばには選挙が実施される。4巻ラストのQ&Aでは9月の選挙と書いてあったが白銀の2期目の選挙日は10月15日だったし俺の時も10月くらいに選挙だった。

 

 普通に考えれば9月だと夏休み明けてすぐの試験に引っかかってしまうから、なかなかタイミング的に難しい。後で設定が変わったのかもしれん。

 

 

 

 

 白銀御行の誕生日の話題がかぐやとの間に出た時は、まだ本当に選挙が終わってすぐの頃だったろう。

 

 

 この間誕生日だったんですね、というセリフとその時の服装から10月前後である事がわかる。

 

 

 そして原作かぐやは高校生になってから弓道の選抜大会に一度も出ていない。その理由は白銀と、もしかしたらクリスマスを過ごすかもしれないから、である。

 

 

 大会開催日はクリスマス日程とどん被り。大会参加をキャンセルする時期はいつでも問題ないかもしれないが、少なくとも12月24日前には白銀に惚れていたという事になる。

 

 

 

 

 だからまぁ11月中には惚れたのかなと思っていた。

 

 

 

 日本に残している部下にそれとなく、かぐやの様子を確認させていた。近況を報告させたのだけれども送られてきたかぐやの写真にはあのリボンが結ばれていた。

 

 

 思わずガッツポーズをしたよ。

 

 

 

 あぁ、アザーセルフ?うん、一応練習したよ。万が一の可能性にかけて。もしかしたら相性が良くてあっさりと覚えられるかもしれないからな。

 

 その時の為に戸籍も一つ作っておいた。ま、無駄になったけどな。

 

 

 仕事は忙しい、プライベートで一人に成れる時間は寝る時間だけ。睡眠時は周辺に警備が付いているから、あんまり大きな音は立てられないし灯りをつけるのも不審に思われる。

 

 

 四条の中でも過激派の動きが活発になっていたからな。常に周りに警護をつけるよう、黄光兄さんから厳命されていたし、本家からかなりの数の護衛を回してもらっていたのもある。

 

 

 あいつら、うちの子飼いと違って融通利かねぇんだよ。

 

 

 今、四宮の血筋の者で外で四条対策の指揮を執っているのは俺だけだから、余計に護衛たちがぴりついている。四宮の海外事業を立て直したのは俺だから、結局俺がやるのが適任だからな。

 

 こればっかりは仕方がない。

 

 

 

 削れる時間は睡眠時間だけ。しかもうるさくすればすぐばれる。

 

 

 当然訓練がはかどるはずもない。いや、ギリギリになってから気が付いたのが悪いだけなんだけどな。

 

 

 

 ま、それでも一応、何とか使えるようにはなった。発動成功率は6割を切るけどな。数か月分の睡眠時間を犠牲にしてようやくこれだよ。

 

 不老不死だから、死にはしないだろうと高を括っていたけど、本気で地獄だったよ。医療関係、蘇生関係の魔法を訓練していたときなんかと比較にならないくらい地獄な毎日だった。

 

 

 

 ただ、そんな状態ではまともな魔法の改良なんかできるはずもなし。副案として分身体に変装させる手も考えたけれども、日本に帰れない状態で24時間で消える分身体を作ってもあんまり意味ないよな。

 

 

 秀知院の外部生の願書もとっくに閉め切られちまったし、今回作った戸籍はまたなんかあったときに利用すればいいかとすっぱり諦めた。ま、アザーセルフ自体は使える魔法だからな。特に仕事をこなしながら気晴らしで遊べるというのは良い利点だ。

 

 

 単純に仕事の処理量も2倍になる。覚えておいて損はない魔法だから、タイムリミットが過ぎた後も、睡眠時間を削って訓練は続けていた。

 

 ただ、まぁ、リミット過ぎた後は少しは寝たよ。朝方ちょっとはな。

 

 

 あぁ盗撮、盗聴系列の魔法はどうしたって?正直まだ心の中の倫理観が邪魔をして使っていない。

 

 

 一応、日本時間の夜中に動作確認のために一度だけ使ってみたけど、それだけだ。

 

 通学していた時も生徒会室に何か仕込まれていないかアラームの魔法と組み合わせて使っていただけで、別に悪い事には……。

 

 

 四条の情報を抜くために使ったのは悪い事カウントに入れなきゃ駄目か?あぁ、そうか。うん、悪い事には使っているけど、下劣な事には使ってない。

 

 

 四条幹部の不倫現場の情報を手に入れる際に、少々、過激な場面に遭遇したことはあるが、故意ではないから許してほしい。

 

 おかげで、彼は良い情報源になってくれたよ……。

 

 

 

 妹のラブコメをデバガメするのは……下種な行為、だよな。

 

 

 あぁ、本当にどうしよう。

 

 

 

 悩んでいる内に時は経ち……春を迎えて、黄光兄さんがまたあの時みたいに一度日本に帰ってこいと連絡をしてきたのを切っ掛けに、日本に帰ることになった。

 

 

 仕事も少し落ち着いたし、この時期なら多分、石上の件を生徒会で色々やっている時期だろう。

 

 もしかしたコミック1巻目の部分はもう始まっているかもしれない。

 

 

 そんな風に落ち着きを無くしはじめていた俺には、丁度良いタイミングの召還命令だったから、とりあえずの最低限の引継ぎだけして飛行機に飛び乗った。

 

 

 

 

 現地引継ぎのスタッフが「これが最低限の引継ぎ資料ですか。」とうんざりした顔で膨大な資料を確認していたよ。

 

 

 データーで渡した量もそれなりにあるけど、未だにこういう処理は紙でやるのが多いんだよね。皆古い時代の人間が多いから。

 

 

 

 

 

 「おぅ、悪かったな待たせて。なんだ、先にやってなかったのか。遠慮するこたぁねぇのによ。」

 

 

 

 思考が一段落着いたタイミングで兄さんが部屋に入ってくる。

 

 

 

 「酒はいくら飲んでも酔わない性質だからね。一人でやってもつまらないんだよ。」

 

 

 

 「……言葉使いがガキの頃に戻ったな。何かあったか。ま、なりはガキのまんまだけどな。もう四十を超えているはずなのによ。

 

 

 本気でお前を研究した方が人類の為になりそうなんだが。」

 

 

 もう原作雲鷹を真似る必要は、多分ないからな。後は早坂愛の誘拐劇だけど、あれはちょっと考えている。白銀の活躍……うん?あれは活躍していたっけ?あぁ、七味を八雲にぶっかけたか。まぁ、活躍はなくなっちまうかもしれないけど。

 

 

 時期が来たらママさんと早坂愛に話を持ち掛けてみるか。

 

 

 黄光兄さんを直接攻めるって手もなくはないけど、既に早坂愛は情報漏洩をやらかしているのだから、根本的な解決にはならんし。

 

 

 

 「勘弁してくれよ。まだあきらめていなかったのかい。」

 

 

 「あぁ、親父もこの所体調が良くない。ま、年だからな。俺だってもう、それなりに歳だ。おめぇを研究して長生きできるかもしれねぇなら、やらねぇ手はねぇだろ。」

 

 

 

 「見た目だけ若いだけだよ、こんなの。」

 

 

 

 「調べてみねぇとわからねぇだろ?まだ一度も病院にもいっていねぇみたいじゃないか。一度バラしてみるのも一興だぜ?」

 

 

 

 「調べるにしても何でいきなりバラされなくちゃいけないんだい?第一、一興とやらで死にたくないわい。最近リアルに危機感覚えているから、そういうのやめてもらえると助かる。」

 

 

 

 残念そうに、酒を注いだ杯を手に持つ兄。静かに合わせて杯に口をつける。

 

 

 

 「外向けの仕事、ご苦労だったな。正直、お前以外に適任者がいなかった。」

 

 

 「出来るだけの手は打ってきたけど、これ、あちらさんは止まらないぞ。」

 

 

 「あぁ、ここ十数年で四宮は更にでかくなった。四条が飛び出していく前と遜色ない規模に回復している。だが、四条も国内の四宮との取引を一部切り上げ、新規開拓した分でかくなっている。

 

 欧州は兎も角、アジアで少々後れを取ったのも痛かったか。」

 

 

 

 欧州は、俺がここ数年力を入れてきただけあって、四条と勢力圏はどっこいどっこい迄持ち込んでいる。ただ、アジアは色々リスクがあるから、俺は積極的には動いていなかった。

 

 

 

 「まだ欧州が落ち着いたわけでもないけれど、今回の召還はどういう意図があっての事かな?

 

 正直、日本に帰れてうれしい反面、現場を放っておくのが心配なんだけど。」

 

 

 

 

 長期占いの結果も、良くはなかったから、このままいけば原作通り……いや、双方の規模がでかくなっているから原作以上に強烈な衝突になるかもしれない。

 

 

 ただ、原作と違い地力の差がかなりあるから、どうやり合ったとしても最後に残るのは四宮になるけど。

 

 

 そうなるように今までいろいろと調整してきたからな。四宮とは直接関係ない俺の事業もそれなりの規模になっている。

 

 

 四条が動けばカウンターパンチで俺の事業が勢力を伸ばせるように、もう仕込んである。

 

 

 何もかも目論見通りにうまくいけば、だけどね。

 

 

 

 「あぁそれだがな。」

 

 

 以前もしたように兄さんは自分の顔を一頻り撫でまわし少し上を向く。途中ため息が漏れていた。

 

 

 

 「おめぇ、最近まったく眠っていねぇそうじゃねぇか。」

 

 

 「へぇ、それは何処からの話だい。」

 

 

 

 「おっとこえぇ顔すんな。年寄りには堪える。勘違いすんな。おめぇの周りに手は入れていねぇよ。護衛の奴らにも余計なことはさせていない。

 

 

 おめぇの側周りの奴らから、おめぇを心配して一度まとまった休養を取らせてほしいと訴えがあったんだよ。

 

 それをうちの護衛が俺に伝えてきた。ま、身内が漏らしたんだ。いい話じゃねぇ。だが、今回は素直に受けな。」 

 

 

 

 一瞬、子供の頃の苦い記憶が胸をよぎる。分かっていたからこそノーダメージなんて言っていたけど、実際にやられると中々厳しいものだよな。あれ。

 

 

 「いいのかな?数年以内に四条は動くよ。早ければ一年。」

 

 

 「親父が健在だ。まだ仕掛けてはこねぇだろ。」

 

 

 

 原作通りなら今年の秋頃に一度倒れるはず。ちょうど生徒会長選挙のあたりだろうか。夏に一度急に呼び出されてかぐやが皆と買い物に行けなかった時があったはず。あの時に既に何か予兆を感じていたのかもしれない。

 

 素直に接することはできなくても、死ぬ前にもう一度会っておきたかった、とかな?

 

 かぐやの誕生日の時には既に一度倒れていたって言う事になる。そしてその事実はかぐやに伏せられていた。

 

 まぁ、いいよ。それは。わかるから。

 

 

 

 「内部の掃除はできたのかい?」

 

 

 

 「鼠はいくつか排除できたが、把握しきれん。汚れ仕事の方はしがらみが絡みまくって自浄なんかできやしねぇよ。

 

 やったら四宮は内部から崩れる。」

 

 

 

 「まぁ、切っ掛けがなくちゃねぇ。

 

 あちらの穏健派とは連絡はとれているのかな?」

 

 

 

 「いくつか穏健派閥のリーダーには繋ぎを取っているが、あちらも過激派の抑えが利かないらしい」

 

 

 

 「手打ちの目途は?」

 

 

 

 「今はまだ想定も出来ん。あちらがどう出てくるかだが。……青龍が四条家の息子と以前から接触を持っている。

 

 もしかしたらその辺りから何か来るかもな。前からお前が言っていたろう?最悪の場合はってな。

 

 どうやらそれが当たりそうだ。」

 

 

 

 「その場合、俺がどういう行動に出るかわかって言っているよな。」

 

 

 「あぁ、そん時はそん時だ。情で従業員に飯は食わせていけねぇ。」

 

 

 

 「ふぅ、分かった。そん時はそん時だ。」

 

 

 睨むわけでもなくもう一度杯を交わして、立ち上がる。

 

 

 

 「久しぶりに楽しかったよ、兄さん。忠告通り、しばらく休養を取ることにする。お手並みを拝見させてもらうよ。」

 

 

 

 「はんっ。ここまでお膳立てされて、みっともねぇザマ晒せねぇだろ。おめぇは精々羽を伸ばしてろ。」

 

 

 

 黄光兄さんの言葉を背に部屋を出ていく。

 

 

 

 ようやく、兄さんがラスボスを務めるだろう確信が持てたことに安堵と。

 

 ……かぐやを裏切っているような嫌な気分になりながら。

 

 

 

 

 

 




青龍は白銀に手切れ金を渡しに行った際に、以前からこういう状況を予期していたあらかじめ段取りは済ませていたと話していました。


これ、青龍が自分が予期したみたいな事を言っていますけど、多分四条家が、もっと言うと四条帝が青龍に接触して事が起きた時の落としどころを提案していたんだと思います。


つまり比較的早い段階で青龍だけではなく黄光も四条と衝突した際の手打ちの条件の一つとしてかぐやを嫁にやる手を認識していたって事になりますよね。


時期としては最初に雁庵が倒れた秋頃ですよね。


それを切っ掛けとして四条の過激派の暴走が始まった。
そして時が来たことを理解した帝が青龍と接触した。



かぐやがスタンフォードに行く事を決めた後、それを阻止する為に動いて、嫁ぎ先は俺が決めるなんて言葉を出したのも、これがあったからじゃないかと想像します。


実際にかぐやを嫁にやることが手打ちの条件の一つになるかわからない。
四条と衝突したとして四宮が追い込まれるかもわからない。

でも手札が白銀御行にさらわれてスタンフォードに行くのは許容できない。
恋愛は自由にしてもいい、純潔も守る必要はない。

だけど結婚だけはこっちで決める。


実際にその時が来た時に伝えるのではなく、対抗する時間を与えてしまうとしても先に伝えておくあたりに、何かを感じます。

……気のせいかもしれませんけどね。



今作では、お父さんが倒れる前から過激派が活動し、帝君が動いた、という事にしております。



追記、かぐやが惚れた時期、多分当初設定だと生徒会選挙は本当に9月だった。だからかぐやが夏服なんですよね。生徒会解散の時ファミレスの打ち上げで直ぐに衣替えだという話がありますが、そうすると原作の回想シーンでのかぐやの夏服はおかしい事になります。

つまり後日設定が変わっています><;

微妙に10月半ばまで衣替えの猶予があったとか、その月は10月初めてに選挙があったとかそんな感じでお願いします。

この先、お話の展開はどういうものが好みですか?

  • サッパリサクサク早早展開
  • 多少は学園内原作を絡めて行ってほしい
  • 盗聴盗撮どんとこい。
  • 今からでも遅くない、同級生か下級生
  • 生徒じゃなくて潜入 当初予定パターン
  • その他 もうちょっと考えてよ
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