お兄様は嫁がせたい   作:たらこ40

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ストックは へりはすれども ふえはせず

忙しいのと考え中で次弾装填は済んでいますがその次がありません。
花火大会の日、どう考えても雲鷹様って邪魔なんよね……。


アソート2

かぐや様は1位になりたい……、早坂?

 

 

 「お兄さま、今日から暫くは食後直ぐに部屋に下がらせていただきますね。」

 

 この所、食後のこの一時は私の癒しになっている。もちろん、早坂とのお話もとても大切な時間ではあるのだけれども。早坂にはお兄さまにお話しできないことを話せるし、お兄さまにはその日あった事を何となく話していると楽しい。

 

 

 こんな本当に何でもない事を話す事が楽しく感じるなんて……、普通の兄妹ってこんな感じよね?

 

 

 「あぁ、時期的にはそろそろテストか。勉強は大いに結構だが、無理しすぎて体を壊すなよ。」

 

 

 残念なのは、お兄さまに勉強を教わる必要がないって事なのよね。私くらいの成績になると授業や試験内容を理解できていないという事は無い。間違えるのだって数問、ケアレスミスだったり引っかけ問題に引っかかったり、勘違いしていたりと言うのはあるけど。

 

 全く分からなかったという事は無い。だから、誰かに教えていただく必要は無いし,かえってそれは時間の無駄にもなりかねない。

 

 

 今回こそは、本気で学年1位を狙っている私としては、ここで手を抜くわけにはいかないから……。残念ですけどお兄さまに教えてもらってテスト勉強と言うのは後日に取っておいた方が良いかもしれないわね。

 

 

 「はい、わかっています。試験前日に体調を崩すわけにもいきませんし。」

 

 

 コーヒーを飲みながら、全くだと呟いて早坂を見るお兄さま。

 

 

 「あぁ、早坂。お前も勉強する必要があるだろう。俺の人員をそっち中心で使っていいから、お前も少しは自分の時間を作れ。

 

 なんだったらかぐやと一緒に勉強していろ。

 

 それで集中できない様なら別の部屋でもかまわんが、ついでにかぐやがやり過ぎないように見ていてくれると助かる。

 

 

 気が回らんで、急な予定変更だが、大丈夫か?八雲ーズ。」

 

 

 急に話を振られた早坂がいつもとは違う雰囲気であたふたしている。この子、この前生徒会室に潜入した後位から、なんか変なのよね。

 

 ん-……気に留めておきましょう。

 

 

 

 「ええ、こちらの応援なら問題なく勤められます。女八雲なら、かぐや様の側付きも早坂程ではありませんが努めることも出来るでしょう。

 

 雲鷹様に問題が無ければテスト期間中はそのように手配しますが。」

 

 

 「問題ない。大体うちの労働環境がおかしいんだ。こんな子に小さい頃から……いや、昔からよくある話ではあるか、こういう家なら特に。」

 

 

 ……それは確かに私も考えたことはある。でも私にとって早坂は……友達であってほしい人。お姉ちゃんになってほしかった人。側で支えてほしかった人。この四宮の家が常識的な行動をする家なら、きっと今、私の側に早坂はいなかった。私の我儘ではあるけど、早坂が側に居てくれないと嫌だ。

 

 早坂にとっては、迷惑な話で本当は普通の高校生でいたかったかもしれないけど。

 

 早坂なら許してくれるかな。

 

 

 「え、あ、ありがとうございます。本当に宜しいんでしょうか。」

 

 

 嬉しそうにはにかむ早坂。なんか頬が赤い気がする。……いや、ここはまだ観察の一手ね。余計な事を言わずに良く空気を読む必要があるわ。

 

 柏木さんでしたっけ、「芽生えかけた芽に触れすぎると、成長せずに枯れてしまう」とか言っていた気がする。もしかしたら別の人の言葉だったかもしれないけど。

 

 

 「あぁ、男八雲に一時的に屋敷の使用人の指揮を執らせる。適宜、早坂の指示を確認する必要は出てくるだろうが、此奴もなかなかできる男だからな。

 

 何も心配せずに、暫くは学生らしく過ごしてみろ。安心しろ、その間の給与は通常通り支給される。」

 

 

 

 「不思議と男の人には見えないんですけどね、男八雲さん。」

 

 

 何かの照れ隠しなのか、お兄さまの言葉を受けて早坂の言葉が八雲さんを弄る。弄られた八雲さんの顔も特に不快な表情はしていない。こういうやり取りは私の知らないところで何度か繰り返されてきたみたいで、二人の間にある種の信頼関係が透けて見える。

 

 

 「これは主の指示で仕方なく。私の趣味ではありません。」

 

 

 決まり事を答える様に八雲さんの言葉は淀みがなかった。

 

 

 お兄さまの指示、ですか。お兄さまには男の人を女装させて楽しむ趣味でもあるのかしら。

 

 ……ハッ!もしかして、お兄さまが未だに独身なのは……、えー!?えーえー!!?そう言う事なの?そう言う事なの!?八雲さんとお兄さまはっと危ない、表情と声に出てしまう所でしたわ。」

 

 

 

 

 「いや、声に出てるし、そう言う事じゃねぇから。最初は冗談だったんだがな、女装できる男がいれば、色々と便利だって言う理由がある。後はかぐやの警護をするときにも便利だからな。

 

 無論、男が付いていけねぇセンシティブな部分には流石に女八雲が付いて行かなきゃならんが。

 

 周りに女しかいないと油断した襲撃者の隙を突けるのは大きいからな。」

 

 

 

 うっかり声に出ていたようね。恥ずかしさのあまり顔が真っ赤に茹で上がるのを自覚したわ。お兄さまはちゃんと私の事を考えて八雲さんを女装させていたというのに……。

 

 

 「あーはいはい、かぐや様ー。折角頂いた時間なんですから有効に使いましょう。

 

 あんまりいい思い出ではありませんが、また小さい頃の様に机を並べて一緒に勉強しましょうか。

 

 分からないところがあったら教えてくださいね。

 

 それでは皆様、お言葉に甘えさせていただいて、私達は失礼させていただきますね。」

 

 

 いいタイミングで早坂がフォローを淹れてくれて、私を自室の方に連れて行く。

 

 自室へ向かう廊下で早坂の足取りがいつもよりも軽やかな事に気が付くけど、態々指摘するような野暮はしない。もし今、私が早坂の自分でもわかっていない想いを自覚させてしまったら、産まれたばかりの芽は枯れてしまうかもしれないから。私の勘違いの可能性も高いし。

 

 代わりに別の部分を弄る。

 

 

 「あなたも本気を出せばそれなりの成績は取れるでしょうに、いつもテストは手を抜いているんでしょ。」

 

 

 「いや、単純に勉強する時間があんまり取れませんからね。授業の時間くらいしかなかなか勉強できませんよ。

 

 それでもあんまり目立たないように、上位に食い込むような成績は取るつもりは無いですけど。

 

 普通にやってあんな感じの成績ですよ。」

 

 

 そうは言うけど、中学、高校と大体の範囲は小学生の時にある程度なぞって頭に叩き込まれているし、今の彼女の言葉にも余裕を感じる。

 

 いえ、……無粋な真似は止めておきましょう。

 

 

 折角持てた、一緒に勉強する機会を無駄にしないように大切にしましょうか。

 

 

 

 

 

 

会長は怖じ気つく訳にはいかない

 

 

 

 「四宮の家へご招待、だと。」

 

 

 期末テストが終わり後は生徒総会を控え、段々と忙しさを増していく生徒会。普段はいつの間にかにやってきて、仕事を終わらせいつの間にか帰っていく石上会計もこの所、生徒会室にいる時間も多い。

 

 この手の書類仕事に関しては、たいして戦力にならない藤原書記も自分に出来る範囲の作業を手伝ってくれている。

 

 とは言え、まだ準備期間は余裕がある上、各部活動などから上がってくるはずの書類もまだまだ全てがあがってきている訳でもないから、進捗状況を見ながら作業を進めていく感じで、切羽詰まっている状況じゃない。

 

 今も作業が一段落を終え、皆で休憩していた所なんだが。

 

 

 「皆さん、夏休みの初日に何かご予定はありますか?

 

 予定が無ければですけど、もし宜しければ皆様を当家の夕食にご招待したいと思いまして。」

 

 

 個人的には大きな爆弾を四宮が投げてきた。

 

 

 驚いている石上会計を横目に、何故か藤原書記が自慢顔で胸を張っている。

 

 

 咄嗟に高速回転を始める頭の中。予定は、いや、四宮に誘われる可能性を考えて現時点では入れていない。まて、何故いきなり四宮は誘ってきた。何か裏がある?皆と言ったな。という事はこれは特に裏がある訳では無く、生徒会の団結力を高めるとかそういった意味合いでなのか。

 

 いや間違えるな白銀御行。四宮はそんな単純に物事を進める奴じゃない。何が切欠にせよ必ず、何か思惑が隠されていると考えるべきだ。夕食と言ったな。夕食を頂いてただ帰るという事は無かろう。その後少なからず談笑したり、藤原書記も来るのであればなにかゲームを持ち込んでくる可能性もある。

 

 当然、時間も遅くなり、もしかしたらお泊りという事も無くはない。いや落ち着け白銀御行、冷静に考えろ。

 

 

 夏休みの初日!?そうか、夏休みの初日に皆が集まる切っ掛けを作る事で、夏休み中に男女で集まる抵抗感をなくす為の策。それにしても四宮からそんなに積極的な手を打ってくるとは……。何を狙っている?

 

 

 「ええ!?四宮先輩の家ってすっげぇ金持ちですよね。そんな家にお呼ばれされるなんて、気後れするんですけど。

 

 服って何を着ていけばいいんですかね。フォーマルな服なんて前に親戚の結婚式に出席したっきりだからサイズもう合わないだろうし。」

 

 

 ん?確かに。服か……、中学時代に買ったものくらいしか持っていないし、フォーマルな物は手持ちに無いな。大体制服で何とかなったから、今までそろえた事が無かった。その内一着仕立てんといかんなとは思ってはいたが。

 

 

 「そんな形式ばった集まりではないので、気になさらないでくださいな、石上君。制服とか普段着で全然大丈夫です。

 

 私の兄が、私がいつもお世話になっている生徒会の皆さんにどうしても一度お会いしたいと申していまして。

 

 皆さんもご予定があるかもしれませんから、無理にお願いする訳には行きませんが、もしよろしければ兄の我儘を聞いていただければ幸いですわ。」

 

 

 ちょっっっと待て!四宮のお兄さんだと!?つまりご家族と初顔合わせって事か。いやいや落ち着くんだ。世話になっている生徒会の皆さんって所を素直に受け取るべきだろう。なるほど、それなら仕方なく、止むを得ずといったスタイルを保てる。

 

 その上で夏休みに男女が集まる抵抗感を弱めることも出来るだろう。

 

 ここは乗るべきだな。いや、裏があろうがなかろうが四宮からのお誘いを断る手はないのだが。

 

 それに制服でも問題ないというのであれば、急な出費も免れることも出来る。一応、コストパフォーマンスは悪いが、衣装レンタルと言う手も考えたんだがな。

 

 

 「会長は、夏休みの初日なにかご予定はありますか。」

 

 

 「あ、あぁ、大丈夫だ、問題はない。バイトの予定もその辺りは空いているからな。喜んで参加させてもらおう。」

 

 

 四宮のお兄さんか。幾つ上なのだろうか。もしかしたら大学生くらいかもしれんな。ん?、たしか四宮家の家族構成に関して、以前チラッと聞いたことがあった気がするが、四宮に年の近い兄がいたかな?

 

 ……いや、こういう上流階級の家族構成なぞ、公表されることは滅多に無い。何かの気のせいかもしれんな。

 

 

 目の前では石上が四宮に参加する旨を伝えている。何故か怯えの表情を浮かべながら、ではあるが。

 

 

 「四宮先輩のお兄さんですか。なんかすっげぇ怖そうなんですけど。」

 

 こちらに寄ってきてこそっと小声で漏らす石上。あぁ、心配するな。俺も正直結構ビビっている。だが、ここで怯むわけにはいかないんだ。いずれ四宮との関係が進めば、正式にご挨拶をしなくてはいけない相手だからな。

 

 ここで苦手意識を持つわけには……。

 

 

 「それでは皆さん、ご参加くださるという事で、兄に伝えておきますね。」

 

 

 四宮の輝かんばかりの笑顔と、その隣にいる藤原の微妙に引き攣っている笑顔に、どうしても一抹の不安をぬぐい切れなかった。

 

 

 大丈夫だよな?俺、お兄さんに取って食われたりしないよな。




かぐや様は1位になりたい……、早坂?

 期末テスト前の風景ですね。かぐや様の家族愛はまだ全然満たされていません。今迄が渇いた砂漠状態でしたので、食後にくだらない内容でもお話するのが楽しみな様子です。


会長は怖じ気つく訳にはいかない

 好きな女の子の家に招待される、は良いけど、招待してくれた人は好きな人の兄。これは結構胃に来ませんか?

 絶対に失敗する訳にはいきませんし、身内に敵を作ってしまうと好きな人と上手くいかなくなるかもしれない。これは厳しいですよね。

 会長さん、がんばれー。
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